プレス金型:基本設計
- プレス金型用ガススプリング 最大荷重一覧表 従来品と新商品の初期荷重値は同一です。 最大荷重は静的環境の理論値です。荷重は温度で変化します。 荷重(kgf)=荷重N×0.101972 荷重(N)=荷重kgf×9.80665 一部、外径公差が異なるサイズがあります。詳細はカタログにてご確認ください。
- 1.金属プレス加工品の普通寸法公差 JIS B 0408-1991- 表1 打抜きの普通寸法許容差 単位:mm 基準寸法の区分 等級 A級 B級 C級 6以下 ±0.05 ±0.1 ±0.3 6を超
- 通常の金型でのパンチとダイの関係を保つための工夫の概要を示したものが【図1】です。 パンチとダイは上型と下型に分かれて配置されますから、クリアランスを合わせるには、何らかのガイドが必要です。その役割は通常の金型では、ダイセットのガイドやインナーガイドが担っています。いくつかの部品の関係を通じて、クリアランスが保たれていることとなります。個々の部品精度を高め、組立方法も工夫して精度を保つ
- ハット曲げのような形状を普通構造の金型で曲げると、割れ等の問題が起きることがあります。その対策として、可動ダイとすることで問題を解決することができます。その1例が【図1】に示したリンクを使った曲げ構造です。 加工前の状態は『(a)加工前』で示すように開いた曲げダイの上にブランクを乗せ、ブランクに拘束がかからない状態で曲げが進行するように工夫されています。『(b)加工途中』の状態を見ることで
- 金型の前に付けられるストックガイドは、材料を金型に案内する部品として使われます。通常ストックガイドは、材料幅にあわせて作られます。そのときのガイド幅は、材料の幅公差を考慮して広めに作り、スムーズな材料の動きを実現します。しかしこのようにすることで、材料はガイド幅内で動き、金型内での加工に影響を与えることがあります。 【図1】は材料の片側がつながっている形状加工例です。このような製品では材料
- 曲げ加工では、材料がダイ肩半径(またはパンチ肩半径)部を滑りながら移動して曲げられます。このときに肩半径が小さいと材料にかかる負担が大きくなり、キズを発生させることがあります。この現象は材料の板厚が厚くなるほど顕著になります。また、めっき付き材料等でも同様です。加工キズを減らすには肩半径を大きくすることも対策となりますが、材料が肩半径上を滑ることをなくすことはできません。 【図1】に示すV
- 順送りプレス加工では、ときどき間欠加工(数回置きに加工したり、しなかったりすること)がしたくなるときがあります。例えば、数ピッチ送って材料を切断するような加工です。間欠加工では加工回数をカウントして定期的に出力信号を得て、加工します。プレス機械に取り付けられているプリセットカウンターを利用して信号を得る方法もありますが、金型内に組み込んで利用したいこともあります。 このようなときに使える方
- プレス加工では、プレス機械スライドの上下運動だけでは製品加工が難しいことがあります。このようなときには上下運動を方向変換して利用することになります。その代表的な方法がカム機構ですが、その他にもいくつかの方法があります。 【図1】はレバーを利用した方向変換です。レバーに溝を設けて、その溝を案内として駆動軸、従動軸が動くようになっている機構です。このようにすることで戻しばねが一つでも動くように
- 金型内で製品に横から加工をしようとするときにはカム機構を思い浮かべることが多いですが、大きなスライド量が欲しいときは、カム機構ではカムドライバが大きくなり、構造のまとめが難しくなります。このようなときに【図1】に示すようなリンク機構を利用すると、下型内で運動機構を作ることができます。リンクの中央を上型に取り付けた「押し棒」で押すことで、山形をしたリンクが直線に近づきスライドを押します。スライド
- 斜面を利用することで運動の方向を変えるのがカム機構です。【図1】はカム機構の基本的な形を示しています。構成は運動を与えるカムドライバ(ドライバ)と斜面で受けた運動の方向を変えて伝えるカムスライダ(スライダ)からなっています。 カム機構の成立は角度Kが45°より小さいことが必要です。角度Kが45°のときドライバとスライダは1:1の動きをします。角度Kが小さくなると、ドライバ移動距離>スライダ移
- 小さなこう配を持った斜面は「くさび」とも呼ばれるものです。こう配の角度は5度前後のイメージです。単純なものですが用途はいくつかあります。 (1)部品の固定 【図1】に示すように、斜面を利用して締め込むことで部品Aを固定することができます。「くさび」の基本的な使い方です。軸と穴のはめあいで圧入状態とする方法がありますが、【図1】の方法では基準面を正しく作っておけば、部品Aは多少誤差があって
- 金型では調整などで微小な動きを必要とすることがあります。このようなときに使う機構の一つが、ここに示す差動ねじと呼ばれるものです。差動ねじは2つのねじのピッチの差を利用して、微小送りを実現するものです。 【図1】は、太いねじ(a)と細いねじ(b)が一体になった軸が本体部分に取り付けられ、細いねじ(b)にスライダが取り付けられた構造です。スライダは回転しないように取り付けられています。 ハン
- 金型は製品加工に必要なパンチ、ダイの動き以外にも、補助的な機構を必要とすることがあります。今回はスライダとその位置決めに関する内容を紹介します。 【図1】は、金型内の部品を上下運動させる機構の例です。スライダは一定位置で固定されなければなりません。その方法として、V溝とボールを用いた例です。V溝とボールは2点接触で固定されます。V溝をねじで直接押さえるより安定した位置決めを得ることができま
- 金型を構成する部品の組み付け方によって、金型の組立・分解作業が変化します。 【図1】は配慮のない金型部品の組み付け例です。3本のパンチがありますが、それぞれ固定方法が違います。 (a)のパンチを外すためには、止めねじ、ダウエルピンを外して、金型を分解しなければ外すことができません。 (b)のパンチでは、ストリッパボルトを外してからストリッパプレートを外し、上型を反転して、パンチ止めねじを
- 金型を構成するプレートのねじ止めは問題が無いように思えますが、金型の組立やメンテナンスの際に作業がしずらいとのクレームが入ることがあります。 なぜかを考えてみます。【図1】で解説します。ねじ止めの標準といえる形が上型、下型共に(a)で示すものであろうと思います。小さな金型であれば上型、下型の分離や反転は容易に行えますから(a)の形で問題はありません。 金型が大きくなってくると、上型や
- 丸パンチの植え込み部(軸=D)は、パンチプレートの穴に入れられ保持されます。保持の方法には【図1】に示す固定ストリッパ構造(可動ストリッパ構造でパンチの先端をストリッパでガイドしない場合も含む)の場合と、【図2】に示すパンチ先端を可動ストリッパでガイドする構造の2つのタイプに分かれます。説明します。
- リフター(ストックガイドリフタを含む)は、被加工材のダイ面からのレベルを保つために用いる部品です。必ずスプリング、スクリュープラグとセットで使われることが多い部品です。したがって、リフター本体、スプリング及びスクリュープラグをセットで、穴との関係を整理しておくと使いよいです。 【図1】はリフターと穴の関係を示した例です。解説します。 リフターの軸(D)に対して、穴(D1)寸法はあまりガタ
- ストリッパボルト、コイルスプリング及びスクリュープラグは密接な関係があります。それぞれの部品に関係する穴寸法を整理しておくと、金型設計や金型加工が楽になります。 【図1】がその内容をまとめた例です。解説します。 ストリッパボルトでは、軸寸法(D)と頭部寸法(A)及びねじサイズ(M)がポイントです。金型のプレートサイズとのバランスから、ストリッパボルトの軸寸法とねじサイズを基準に選択します。
- 金型に使われる丸部品と呼ばれるものは、現在では製作することが少なく、標準部品として購入して使用することが多いと思います。そのために、プレートに埋め込まれる部分の寸法(植え込み部寸法、ここでは軸寸法と呼びます)は整理されています。整理の方法は標準数(JIS Z 8601)を基にしています。標準数にはR5、R10、R20及びR40と呼ぶ基本数列があります。【図1】に示すような丸部品では、R20の基
- 【図1】は順送金型内の上曲げ加工を行うダイ部分の構造を示したものです。図の(a)、(b)は曲げ加工の前後を示しています。上曲げダイはダイプレート面より凸(s寸法)になっています。一体で作るより、図に示すように厚さ(s)のスペーサを入れることで、上曲げダイ、ノックアウトの厚さをダイプレートの厚さ(T)に揃えることができ、部品加工を容易にすることができます。一体式のダイプレートの場合、このようにす
- 金型製作では組立・分解がしやすく、組立・分解を繰り返しても金型精度に変動が無いことが求められます。例えば【図1】のような入れ子部品は、プレートの穴に圧入されることが多いですが、組み込み導入部(0.01mmほど周囲に段をつける)が無いと、穴に対して入れ子が傾き圧入がうまくいかず、穴の側面を傷つけてしまうことがあります。
- 製品加工の工程設計を終えると金型の大きさが見えてきます。一般的には【図1(a)】のように1枚のプレートで金型を作りたいと考えます。【図1(a)】に示すA、B寸法が、工作機械の加工限界以内であれば問題は無いのですが、注意を払わずに設計すると、工作機械の加工限界を越えてしまう問題が起きます。プレートの加工では、粗加工用のフライス盤、面加工用の平面研削盤、穴加工用のフライス盤やマシニングセンタ及びワ
- 金型を表すとき、下型は上から見た状態で表現します。製図法での平面図となります。上型は下型から外して、反転した状態で表現することが多いです。製図法での下面図となります。この上型の表現の仕方がいくつかあります。 【図1】は上型を前後に反転した状態の表現です。図は2面基準で表しています。X軸方向の寸法は変化しませんが、Y方向の寸法は前後が反転した状態となります。この状態は順送り加工用の金型であれ
- 物を加工するには基準が必要です。基準を曖昧にすると加工しづらく、求める品質も得られないことがあります。プレス金型を構成するプレートでは、いくつかの基準の取り方があります。それぞれに特徴がありますが、統一した基準を持たないと加工現場が混乱したり、時には金型の組立に支障をきたすことになります。【図1】に加工基準の種類を示します。そして以下に特徴を示します。
- ダウエルピンは2本を使うことで部品の取り付け位置を決めます。2本のダウエルピンの関係は遠い方がよいです。【図1】を参照に説明します。プレートに加工される穴の位置は、常に加工誤差があると認識します。そうしますと、1点を基準にして考えたとき、加工誤差の大きさが同じと仮定して、もう1点の穴位置が近い場合と遠い場合を比較すると、近い方が誤差の影響が大きくでます。このことから、ダウエルピンの間隔は遠い位
- ダウエルピンは、プレス金型部品の位置決めとして多用されています。一般的な使い方は、2部品に軽圧入して位置を決めます。ねじと同様に金型部品の大きさよって、ダウエルピン径を選択します。 【図1】は、プレートの厚さとダウエルピンの径の関係を示したものです。一般的にプレートの厚さと面積の関係は相対関係にあり、厚さに対して極端に大きな面積のプレートは使用しないだろうとの想定にたっています。
- 金型を設計していて、プレートへのねじの配置に悩むことがあります。ねじサイズを大きくしてねじの本数を少なくするか、ねじサイズを小さくしてねじの本数を多くするかといった問題がまずあります。この問題については「ねじの使い方-1(プレス金型構造設計の基礎 その1)」を参照して下さい。 ねじサイズを決めたとき、ねじの間隔をどのくらいにしたらよいかが気になります。 【図1】は、ねじサイズとねじ間隔の
- 金型を構成する多くの部品はねじで締結され、構造が作られています。しかし、身近すぎるねじの使い方は意外と惑わせるものがあります。ここでは、プレートの厚さからのねじサイズの選択と端面からの寸法について解説します。 ボルトの締め付け力やトルクについては、ミスミ「プレス金型用標準部品」カタログの付録「技術データ」に掲載されていますから参考にして下さい。 ここでのねじは、六角穴付きボルトを想定してい
- 【図1】は下向き絞りの金型構造を示しています。この金型構造は、主にフランジのある絞り加工に使われる構造です。 ダイの中にノックアウトを組み込んだ構造です。下向き絞り落とし型(円筒絞りの金型製作の要点 その4)で示した絞り落とし型と違って、ダイR下のストレート部分(ベアリング部)は長くても問題がありません。ベアリング部が短いと、絞り加工によって下げられたノックアウトが、ベアリング部下の逃がし部
- 【図1】は下向き絞りの絞り落とし構造を示しています。絞り落としはフランジのない絞り加工に使われる構造です。 加工された製品は下に落とされるので、プレス加工の作業性はよいです。 プレス機械のスライドのストローク長さは絞り高さの2倍程度でも可能となります。 しわ押さえ用のスプリングの長さに制約を受けるので、絞り高さ限界は上向き絞りに比べて低くなります。 この金型のダイはダイR下のストレ
- 3回、4回と再絞り加工が進むと、絞り率を大きくしなければいけません。そうすると、絞り前と絞り後の径の差が小さくなるため、「再絞り上向き絞り型」で示した再絞り構造のしわ押さえが使えなくなります。しわ押さえ部分が薄く弱くなり、破損しやすくなるためです。このような絞り加工に用いる再絞り金型は【図1】に示すような構造となります。 加工前の製品を乗せるプレートは位置決めとしてのネスト(ブランクホ
- 【図1】は比較的小さな再絞り型です。上型はシャンクでプレス機械に取り付けられ、下型のダイクッションは簡易構造のものを採用しています。 上向き絞りが採用される理由は、 ダイクッションの利用が容易である。 製品の取り出しが上死点付近でのノックアウト排出、エアー飛ばしが利用できるので、単発作業での作業効率がよい。 トランスファー加工ではフランジが下となるので、製品が安定して搬
- 【図1】は比較的小さな初絞り型です。上型はシャンクでプレス機械に取り付けられ、下型のダイクッションは簡易構造のものを採用しています。 上向き絞りが採用される理由は、 ダイクッションの利用が容易である。 製品の取り出しが上死点付近でのノックアウト排出、エアー飛ばしが利用できるので、単発作業での作業効率がよい。 トランスファー加工ではフランジが下となるので、製品が安定して搬送が容易で
- U曲げ加工では、ウエブの部分にブリッジを取ることができるので、【図1】に示すような片側キャリアのレイアウトとすることができます。
- 小さいU曲げ(U曲げ製品でなくとも)製品では、材料の歩留まりより、材料送りの安定に視点をおかないと失敗します。 【図1】は、小さい製品のレイアウトによく使われる形です。両側キャリアとして、そのキャリアをさらにつなぎ、枠を作りその中にブランクを置きます。この形は大変に安定したブランクの保持となります。小さな製品や薄板材などの材料送りに不安を感じるときに採用されます。 製品の回収には二
- U曲げでは、【図1】のようにブランクを中央でつなぐと、材料のロスも少なくシンプルなレイアウトになります。 この形では、被加工材の圧延方向と曲げ線が平行の関係になります。曲げ半径が小さく硬い材質の製品では、曲げ部分の割れが心配になります。 U曲げのウエッブが狭い製品(【図1】がその例)製品では、つなぎ部分が小さいために、パイロットを配置するスペースが作れないことが多いです。 このような場
- 【図1】を参照してください。ストリップレイアウトに対する材料ガイドの配置を示しています。 ガイドはリフターガイドを採用しています。ガイドはパイロット穴に近い位置に配置します。パイロットが穴に入るとき、抜けるとき材料の変形を押さえるためです。 ガイドはできるだけ穴に近いのがよいのですが、平面図を見て、ガイドの一番外側の破線は、ダイセットに配置されるスクリュープラグです。この部分が穴抜き
- 【図1】を参照してください。ストリップレイアウトに対応した、パンチとパイロットについて解説します。 このレイアウトでは抜きと下曲げがあります。可動ストリッパ構造を想定すると、ストリッパ面は下曲げのパンチに合わせることになります。 曲げ加工はスプリングバック対策として、曲げの外側Rを圧縮する方法を採用しています。ノックアウトはストリッパと一体としてもよいのですが、底突きの関係から分離し
- 【図1】は、直列配列のストリップレイアウトです。ストリップレイアウトでは順送り加工の推移を示すものです。「スケルトン図」と呼ぶこともあります。 最初に加工されるものはパイロット穴です。パイロット穴と一緒に加工することが可能であれば、製品穴も加工します。次のステージでパイロットを入れます。送り長さ(送りピッチ)を安定させるためです。 その後に、ブランクを作るための加工をします。ブランク
- 曲げ製品のブランク展開後の作業はブランクレイアウトです。 その内容は、 展開されたブランクをどのように配置するか。 ブランクとキャリアをどこでつなぐか。 ブリッジの大きさはどの程度とするか。 破損しないパンチ、ダイの大きさの確保。 マッチングはどうするか。 マッチングはどうするか。 といった内容に焦点を当てます。 ここでは直列配列で両側にキャリアのある形とします(
- U曲げ製品の順送り加工について解説します。ここでは最初の仕事展開について説明します。 話を進めるために、【図1】に示す製品図の形状を作ることにします。 最初に行うことは、曲げ形状を展開して平板なブランク形状を決めることです。U曲げの展開計算については、「V・U曲げの展開」を参照してください。 【図1】と【図2】を参照して下さい。曲げ半径(曲げ内側の半径、ここではR2mm)と材料板
- Z曲げは曲げ加工の中で少し特殊な存在です。【図1】のような形状を指します。ここでH寸法が被加工材板厚の5倍以下ですと、Z形状を1回で作ることが可能です。ただし、曲げ半径1、2が小さいときや、曲げ線が被加工材の圧延方向と平行な場合では、H寸法が5倍以下でも割れが発生することはあります。 H寸法が板厚の5倍以上になると、2工程曲げとなります。【図2】が標準的な曲げ方法です。1曲げで上方向に
- U形状は曲げの基本的な形状ですが、曲げ方法はいくつかあります。順送り加工でよく使われる押さえ曲げを前提にして、曲げ工程を説明します。 【図1】は1回曲げです。この方法は曲げ半径が被加工材の板厚以下で、曲げ精度要求がそれほどでもないときに採用します。L曲げを左右同時に行う形であることが分かります。押さえ曲げで曲げるときには、ウエブ部分はフランジ方向に引かれる力が働きますが、U曲げではこの点に
- L形状は曲げの最も基本的な形状ですが、曲げ方法はいくつかあります。順送り加工でよく使われる押さえ曲げを前提にして、曲げ工程を説明します。 【図1】は、1回曲げです。この方法は曲げ半径が被加工材の板厚以下で、曲げ精度要求がそれほどでもないときに採用します。 【図2】は、曲げ位置にVノッチ等で凹形状の溝を付け曲げ位置を正確に出したいときの方法です。凹形状の深さは板厚の30%程度
- 順送り加工では抜きと曲げが混在します。抜きを先行すると、曲げによって寸法がばらついてしまうことがあります。一般的には順送り加工では穴を抜き、外形を作り、その後に曲げるのが加工の流れです。 このルールを鵜呑みにして曲げを含む製品の順送りレイアウトをすると、穴ピッチ公差が厳しい製品などでは、バラツキによって泣かされることがあります。【図1】に示すようなイメージです。穴を挟んで2個所以上の曲げがあ
- 順送り加工の曲げは押さえ曲げとなる加工が多いですが、【図1】に示すように、ウエブ部分が引かれて変形することがあります。 押さえ曲げでは、ウエブ面積に対応して材料押さえ力を決め、スプリングの強さを決めますが、製品形状そのものに問題があり、ウエブ面積に対応して押さえ力が確保できないようなことがあります。このようなときには【図2】に示すように、ウエブ部分を広げるようなレイアウトをします。ウエ
- どのように形状を作るかには大変真剣に検討しますが、出来上がった製品の回収となると気がゆるむのでしょうか、問題を起こすことがあります。 【図1】は、加工が完了した製品を抜き落として回収する方法です。ダイを通過して下に落とすこの形が最も安定した形ですが、最後に切り離した部分の抜け状態が他の部分と異なり、バリ方向が逆になります。この点が許されれば採用できる方法ということもできます。ダイプレート上
- 順送り加工ではブランクをさん(キャリア)でつなぎ、ブランクの工程間移動ができるようにします。したがって、キャリアは材料送りの際に変形しない強さを持つ必要があります。 キャリアの取り方は片側、中央及び両側形が基本形です。 【図1】は、片側キャリアです。L曲げのような場合には使いやすい形です。材料の無駄も少なくてすみます。 キャリア部が狭まいと(材料を節約するためには狭くしたくなる)、キャ
- 順送り加工では、材料送りとの関係から、ダイ上の被加工材を持ち上げて移動することを行います。この持ち上げる動作をリフトアップと呼びます。リフトアップは、できるだけ小さい方がプレス作業が安定します。 【図1】のレイアウトは、左から右方向に被加工材が移動するレイアウトです。被加工材の移動方向と曲げ線が平行になるように設計されています。このようなレイアウトにすると、曲げられたフランジ部をダイに作ら
- 曲げ加工では(【図1】参照)、曲げ線部分の割れが問題となります。バリ面と曲げとの関係から考えると、バリが曲げの内側となるようにすることが1つありますが、曲げ線と被加工材の圧延方向の関係に注意することも必要です。 【図2】のレイアウトは、金型の作りやすさを優先したものですが、曲げ線と被加工材の圧延方向が平行な関係となっています。この状態は曲げ部が最も弱くなります。曲げ半径が小さい
- 【図1】(a)に示すような曲げ製品を加工しようとするとき、特別な指示がない場合、バリが曲げの内側になるように加工します。外観的な問題等のためです。作られた製品の中でバリが外側にあったり、内側にあったりの混在は通常許されません。 【図1】(b)のようなブランクでは、単工程曲げ型にブランクを入れるときに、バリ方向が一定になるように注意しなければいけません。注意は長続きしませんから、バリ方向が逆の
- 順送り金型ではパイロットは必須の部品です。パイロットの基本的な使い方と問題を示したものが【図1】(a)です。 穴抜きパンチと同じようにパンチプレートに取り付けられますが、仕事をするのは先端であるため、材料送り誤差修正時に破線で示すような変形を起こしやすく、この変形は被加工材の位置修正精度を悪くします。 そこで、パイロット先端をストリッパでガイドすれば変形を止められると考え、多くの金型で採用
- 精密加工用の金型は、ストリッパプレートの挙動を制御するためにストリッパガイドを入れ、コントロールするようにしています。 ストリッパガイドの設置と材料ガイドの設計内容とには、意外な関係があることを今回は説明します。 【図1】は、ストックガイドリフター(ガイドリフター)を使った設計の金型です。ガイドリフターの逃がしがシンプルなので、ストリッパガイドピンの設置も容易にできています。 そ
- 前回は板ガイドについて解説しました。今回はピンガイドについて解説します。 被加工材ガイドに使われているピンガイドは、被加工材ガイドとリフターの機能を兼ね備えることから、ストックガイドリフター(ガイドリフター)と呼びます。 【図1】に示すように、被加工材幅に沿って溝のあるピンを配置します。溝の部分で被加工材をガイドします。同時にピンは上下方向にも動くことからリフターの働きもします。 板ガ
- ダイプレート上の被加工材をガイドする方法は、大別すると、板ガイド方式とピンガイド方式の2種類になります。今回は板ガイド方式を解説します。 【図1】が、板ガイド方式のダイプレートを示しています。板ガイドは長い距離を押さえるので被加工材の振れをしっかりと押さえ、安定したガイドをすることができます。このことは反面、ガイド部が長すぎると、被加工材送りが固くなり、送りミスを発生させる原因となることも
- 【図1】に示すレイアウトを参考にして、切り欠きを中心とした順送り加工でのクリアランスについて説明します。
- 前回の例を引き継いで解説します。 抜き加工力(P)の計算の結果は、8.928Tonで約9Tonでした。 抜き加工でパンチに食いついた材料を払い落とすことをストリッピング(かす取り)と呼びます。 ストリッピング力は抜き加工力の3〜5%です。平坦度を必要とする製品では10〜30%の力とします。 この例では、ストリッピング力を抜き加工力の10%として、ストリッパのスプリングを設計してみます
- 【図1】に示す形状寸法のものを、【図2】に示すストリップレイアウトの形で加工するものとして、抜き加工力を計算します。 製品の材質はSPC、板厚は1.2mmとします。 抜き加工力の計算式は、以下のようになります。
- 前回の刃具形状設計を参考にして、ストリップレイアウトの設計について解説します。 順送り加工のでは、材料移動と加工を交互に繰り返して加工を進めます。材料移動は材料送り装置が行いますが、送り誤差があり、位置修正が必要となります。 【図1】参照。 そのため、順送り加工ではパイロット用の穴を最初に開け、位置決めをします。その際、製品穴も加工して無駄がないようにします。穴抜きした次工程で、最初の
- 【図1】のような製品を想定します。この製品は穴、外形のバリ方向が同じ方向にそろっていることが必要条件とします。 製品加工を順送り加工とすると、分断を中心とした工程設定が必要となります。 分断の他に切り欠きや穴抜きを組み合わせてブランク抜きのさん幅に相当する部分を抜き、外形形状を作ります。このような加工をアウトカット加工とも呼びます。この分断を中心とした順送り加工は抜きの加工ばかり
- 単体部品ではなく、部品相互の関係からの部品設計について解説します。 【図1】はリフターガイドの設計を示しています。リフターガイドは材料の幅をガイドすると共に材料を送り線高さに保持する役割を持たせます。そのためスプリングで保持します。スプリングの強さは材料を持ち上げることができ、材料送りの際や上型が下降してくる間に材料がふわふわすることなく保持できる強さがイメージです。あまり強すぎるのも良く
- 切断を利用した順送り型を、可動ストリッパ構造で設計した場合の組立図について解説します。 組立図の設計では、下型平面図(【図1】)、上型平面図(【図2】)及び【図3】に示す正面図(断面図)を作ります。 下型平面図では、加工の推移や材料ガイドの関係が分かるように示します。ストックガイドは材料を金型に最初に入れるときに、傾いて入らないように材料幅に対して長めに設定します。材料が金型
- 切断加工は1本の線で分離するせん断加工です。【図1】は、切断を利用した順送り型のパンチとダイの関係を示したものです。 パンチは片側のみで加工をするため、側方力が働きます。放置するとパンチが逃げ、抜き状態が変化してせん断状態を悪化させます。対策としてパンチが逃げないようにバックアップします。ストッパがその部品です。 ストッパは送られてくる材料を止め、製品長さ(A寸法)を決めるための部品でもあ
- 切断加工は1本の線で分離するせん断加工です。この方法が利用できると、材料歩留まりの非常によい加工を実現することができます。 これから、切断加工を利用した順送り金型の設計を解説していきます。関連事項として今まで解説してきた、「切断加工」、「切断型の構造」も参照してください。 切断加工を利用した順送り加工のストリップレイアウト(レイアウト)は【図1】に示すような形となります。
- パンチは【図1】に示すようにパンチプレートで保持され、加工に伴う加工力を軸方向に受けます。パンチプレートは水平方向の位置決めが目的ですから、軸方向にかかる圧力に対しては何の効力もなく、細いパンチではそのために、パンチホルダーに食い込むことがあります。このようになるとすきまができ、パンチはプレス加工のつど上下に動くようになり、つば部の破損原因となります。 パンチにかかる加工力を、パン
- 固定ストリッパ構造の金型では、パンチプレートでパンチの位置と垂直を作り出します。重要な部品となります。可動ストリッパ構造では、パンチプレートの厚さはパンチ長さの30%程度あればOKですが、固定ストリッパ構造のパンチプレートはもう少し厚くします。 パンチの組み付け方向にも注意します。つば付きの丸パンチ等ではパンチ先端から組み立てなければいけませんが、ブロックパンチ等では、シャンク側からパンチ
- 順送り金型では、【図1】に示すような(a)丸パンチグループ、(b)パイロットパンチグループ及び(c)ブロックパンチグループに分けられるパンチが使われています。 抜き落とし順送り金型の構造は、固定ストリッパ構造が多く使われています。今、例として示している金型も固定ストリッパ構造を前提としています。 固定ストリッパ構造では、パンチの位置や垂直はパンチプレートで作られます。そのためにはパンチは、
- 【図1】を参照しながら解説します。
- ダイプレートはダイを構成するプレートです。最もシンプルな形が【図1】に示した一体型構造です。ダイとして必要な形状を全て作り込みます。プレートを小さくすることができます。必要精度を作り込む必要があること、メンテナンス(再研削)のときにプレート全体を研削するので、だんだん薄くなってしまう。等の問題があります。中量から少量に適した形といえます。
- 【図1】を見て下さい。ダイの上に被加工材(材料)があります。材料はダイの上に配置された各加工ステージをふらつくことなく、滑らかに移動する必要があります。そのための案内(ストックガイド)が必要です。ストックガイドは材料幅を案内しますが、材料の横曲がり(キャンバ)や切断幅公差を考慮して、滑らかに動くガイド幅を設定します。ゆるすぎると不安定になりますが、さらに細かな位置調整は、パイロットにゆだねるこ
- 繰り返しの話になりますが、プレス加工に用いる金型ではパンチ、ダイが重要な部品となります。 順送り加工では【図1】に示すストリップレイアウトを作りますが、ストリップレイアウトには2つの意味があります。 1つは「問題なく製品形状が加工でき、品質的にも問題ないように工夫され製品が加工できること」最も大事な部分です。 もう1つは「金型構造設計が考えられていて、パンチ、ダイ等を配置したと
- 【図1】に示すような形状例で、輪郭形状の一部に弱い部分があるものを外形抜き(ブランキング)すると、弱い部分のダイまたはパンチが破損して、金型の信頼性を維持することができません。
- 【図1】に示した製品形状には、いくつかの問題点があります。抜き加工でどの場合でも言われることが、Rの無い角です。パンチまたはダイの角がチッピング(パンチ等の角が細かく欠けて欠落すること。バリ発生の原因となる)を起こしやすいため、角に材料板厚の1/2以上、できれば板厚分程度の丸みを付けるようにします。 穴の外形と接近した部分が、目安として材料板厚の2倍以下になると、外形抜きに伴って変形を起こ
- 順送り加工では、【図1】に示すように、送り長さ分の材料を移動させながら加工を進め、製品を完成させて行きます。 材料を型内に最初に入れた先端が、加工の進行に伴って各ステージを移動していくとき、各ステージでの加工が半欠けとならないように注意します。最後のブランク抜きでは半欠けになりやすいです。半欠けを起こすとパンチに横荷重が働き、ダイとのかじりを起こしやすくなり、バリ発生の原因となります。【図1
- 順送り加工では、送り長さを安定させることが大切です。送り長さの変動は、製品精度に直結します。【図1】にその内容を示します。
- 【図1】のような製品を、抜き落とし順送りで加工しようとします。そのときのレイアウトが【図2】に示したようになります。
- 総抜き型の材料ガイドに関係する内容です。総抜き型で加工している状態を現した形が【図1】です。その構造の断面を現したものが【図2】です。
- 総抜き加工された製品は、ダイの中に押し込まれノックアウトを押し上げた状態で、ダイとの摩擦力で留まっています。「総抜き加工の製品取り出し(ノックアウト)」で、プレス機械とノックアウトの関係を説明しています。この回も参照して、以下を見てください。 【図1】に示すような形状では、ノックアウト中央に空間があるため、ノックアウト棒で直接ノックアウトを押すことができます。この方法が採用できれば、金型構造は
- ノックアウトが落下しないようにする方法です。 大きな製品では【図1】に示すように、ノックアウト内部に複数のタップを加工しておき、吊りボルト(ストリッパボルト)で保持するものです。この方法が採用できれば、金型設計はずいぶん楽になります。金型製作もダイの裏逃がしが無いので楽になります。吊りボルトの破損を防ぐ目的から、できるだけ太いねじを使うようにすること、定期的に増し締めを行うことが
- ノックアウトは常に材料と接しています。材料には加工油が塗布されていることが多く、その油で材料がノックアウトに密着して、ダイから排出した後でも、製品がノックアウト面に張り付き、2枚打ち(ノックアウトに製品を付けたまま、再度材料を加工してしまうトラブル)してしまい、金型を壊すことがあります。この現象は、作業者が注意していても押さえきれるものではありません。金型構造上から対策しておくことがよいです。
- ノックアウトは【図1】に示すように、ダイの中に組み込まれます。総抜き型は外形抜きのダイが上型(プレス機械のスライドについて上下する)で、外形抜きのパンチが下型(プレス機械のボルスタプレート側に固定される)に配置される、逆配置構造となっています。この構造の特徴的な部品が、ノックアウトです。 ノックアウトは、穴抜きパンチのストリッパの役割と、ダイの中に入った製品を排出する2つの役割を持って
- 総抜き加工では、製品形状(【図1】)と、総抜きパンチ(【図2】)形状は、見た目では同じような形となります。 パンチの輪郭形状は外形抜きのパンチとなります。製品の輪郭寸法に対して、パンチの輪郭形状はクリアランス分小さく作ります。 パンチの中にある穴は、穴抜きダイです。製品の穴寸法に対してクリアランス分大きく作ります。かす落とし穴に関する注意は穴抜き加工に準じます。 かす詰まりが起きると、す
- 【図1】が総抜き型の基本的な構造といえます。 総抜き型は複合加工(外形抜きと穴抜き)です。複合加工の構造の作り方は「複合金型構造の作り方」で説明しています。その後、「総抜き型の構造」を説明しています。参照して下さい。 今回は、更に細かな部分について解説します。
- 総抜き加工の金型構造を【図1】に示します。外形抜き(ブランク抜き)のダイが上型にある構造です。このような構造を「逆配置構造」と呼びます。 逆配置構造では、外形抜きされた製品は上型のダイに入ります。上型はプレス機械のスライドに取り付けられ上下運動をしますから、ダイに入り込んだ製品をうまく排出しないと、金型を壊したりすることになります。ダイに入り込んだ製品を排出する金型部品をノックアウトと呼びま
- 総抜き加工では、【図1】に示すように、外形抜きは下から上方向に向けて抜きます。穴は逆に上から下に抜きます。こうすることで、穴抜きのスクラップは下に落ちます。製品(外形抜き)は上型にあるダイの中に入り込みます。総抜き加工のような複合加工では、スクラップを上に持って行くと処理に大変苦労することが多いので、下に落ちるような形となるように設定することが多いのです。ダイに入り込んだ製品を型外に
- 総抜き加工については、総抜き型の構造(金型構造のいろは その6)で総抜き型の最も基本的な構造を示しています。まずは、加工および金型構造のイメージを取り込んで下さい。 総抜き加工とは、外形抜きと穴抜きを同時に加工します。 そのメリットはいくつかあります。プレス加工製品は金型形状の転写で作られます。金型を正確に作っておけば、その精度が製品に転写され得られるわけです。総抜き加工では、外形と穴の
- 【図1】に示すような穴数の多い製品では、1回で加工すると金型破損等の問題が発生する場合があります。このようなときに、穴加工を分けて加工しますが、その際の注意事項を説明します。 穴加工を分けるときには、
- 穴抜き型に用いるダイセットについて説明します。 ダイセットで注意が必要な部分を【図1】に示しました。 大きさ(面積)に付いては、ダイプレートのサイズ等に合わせて、標準ダイセットを選ぶのが普通です。 自作するときには、プレートサイズにガイドポスト取付の面積を追加した大きさとなります。金型の重量を減らすために、不要な部分を削ることを行います。外周は特に問題がなければ、溶断のままでもよ
- パンチにかかる加工力は、パンチの背面にも同等に発生しています。その力はパンチホルダー等の面で受けています。 小さい断面のパンチでは、【図1】に示すように、ホルダー面で受けきれずにめり込んでしまうことがあります。 パンチホルダー材質がS50Cのような熱処理をしないで使われるものでは、パンチ背面の平均面圧(加工力がパンチつば部の面積に平均に分散され、力を受けると考えたときの単位面積
- 可動ストリッパ構造のパンチプレートの設計では、少し注意が必要です。 ストリッパプレートとの関係です。【図1】を参照して下さい。
- 可動ストリッパは、ストリッパボルトとスプリングによって保持されています。ストリッパボルトで動きを規制し、スプリングで押さえ力を作っています。 【図】は、スプリングとストリッパボルトの使い方の代表的なものを示しています。 【図1】(a)は、ストリッパプレートとバッキングプレート間に、スプリングをセットした構造です。中程度のたわみ量を求めるときによく使われています。 ストリッパ
- 穴抜き加工では、製品の平面度を確保するねらいから可動ストリッパを採用することが多く、穴抜きというと、可動ストリッパ構造といったイメージも定着しています。 穴抜き加工で穴径が小さくなると、パンチも弱くなりダイとの関係を保つことが難しくなります。 可動ストリッパ構造では【図1】に示すように、常にパンチの先端はストリッパプレートの中にあるので、パンチの通る穴を小さくしておけば、パンチの振れを押さ
- 【図1】(a)は、穴抜きダイの基本的な形を示しています。
- 通常、穴抜き型ではブランクを位置決めして動かないようにして加工します。 この位置決め部品を「ネスト」と呼びます。ネストは「位置決め」「定木」「案内」「ガイド」などの呼び方があります。 【図1】は板を用いたネストです。板ガイドなどと呼ばれることもあります。 (a)は1体式のネストです。通常はこの形が多いと思います。(b)は分割式のネストです。大きな製品のときによく使われます。 ネ
- 【図1】は、穴抜きパンチの各部の名称を示しています。 パンチは一つの材料から作られていることが多いので、各部を分けて考えることが少ないかも知れません。 しかし、パンチを設計するときにはどの様な機能が必要かを知っておくことは、ただ何となく設計しているのと大きな違いとなります。 機能部はパンチの命となる部分です。ここで目的の加工をします。加工形状と同じ形をしています。シャンク部は細
- 穴抜き型は、ブランク抜き型に次いでよく使われる金型といえます。 【図1】は、固定ストリッパ構造を用いた穴抜き型です。金型構造はシンプルなので作るのは容易です。 この構造の金型は、被加工材を押さえないので、穴周囲の平坦度が悪くなりやすいです。長い形状の端に穴を加工したいときによく使われます。 例図では被加工材の幅方向のガイドはピンで行っていますが、板材を用いても問題ありません。 被加工
- 打ち抜き型について、固定ストリッパ構造のよく使われている構造を例に解説してきました。 【図1】の構造です。繰り返しになりますが、打ち抜き型の標準的構造といえます。 この構造では、加工している部分が見えないことが欠点といえます。もうひとつ気になることがあります。それは、加工しているときの材料の変化です。 ダイ上の材料はパンチでたたかれることによって反ります。薄板のときには気になり
- 打ち抜き型設計の要点をまとめたものです。 (1)固定ストリッパを使う理由 打ち抜き型ではダイを通過して得られるものが、製品です。したがって、ダイプレートの上に残るものはスクラップです。多少の変形があっても製品に影響がなければ問題とならないので、材料を押さえる必要のない構造でよいのです。 (2)固定ストリッパとストックガイド ストリッパは、パンチに付いた材料をはぎ取るのが、役目です。
- 【図1】が標準的な打ち抜き(ブランク抜き)型の構造です。ダイホルダは打ち抜き型の下型を支える役割と、下型を固定するためのクランプ部分となります。
- 【図1】が標準的な打ち抜き(ブランク抜き)型の構造です。ダイは製品形状を作る大事な部品です。 ダイ(ダイプレート)に加工されたダイ穴は、製品形状に作ります。打ち抜き型ではダイ穴を通過して得られた形状が製品となります。
- 固定ストリッパでは、【図1】に示すように(e)のストリッパ部分と(d)(e)部分に分けて考えることができます。(e)(d)部分をストックガイド部分と呼ぶことにします。
- 前回、固定ストリッパの必要機能は【図1】に示すような内容ですと説明しました。 この形は、固定ストリッパの基本的なかたちで、【図1】(a)に示すような、一定の材料幅に対して、1列でブランクを抜いていくかたちを想定しています。 それに対して、【図2】(b)のような幅広の材料から2列で取りたいような場合があります。このようなとき、【図2】(c)に示すように、片持ち式のかたちにすることもあり
- 【図1】は、固定ストリッパ形式のブランク抜き型を示しています。 今回は、この構造の固定ストリッパの役割について見ていきます。 【図2】の(a)は、パンチが材料を打ち抜いた状態を示しています。「抜き品」はダイを通過して下に落ちます。 パンチは貫通した材料が食いついた状態となります。パンチは【図2】(b)に示すように、材料の食いついた状態から離脱する必要があります。 一般的には、パン
- パンチの設計を「打ち抜きパンチの設計(打ち抜き型の設計 その2)」で説明しました。そのときに、パンチが小さくなってくると単独での保持が難しくなり、プレートに埋め込んで固定する方法をとることを説明しています。このパンチを保持するプレートがパンチプレートです。パンチプレートを使った固定ストリッパ構造の標準的な構造が【図1】です。
- パンチホルダは上型を保持する部品です。特別な例(パンチにシャンクを直接付けるなど)を除いて、上型を構成する部品はパンチホルダに取り付けられます。 パンチホルダには、上型の剛性を支える役割もあります。 上型にスプリングを使う構造の金型では、スプリングの長さに合わせて、ホルダの厚さを調節することもあります。 プレス機械への上型取付がシャンクでは不安となる大きな金型では、パンチホルダを利用して
- フリーシャンク(【図1】参照)は、シャンクホルダとシャンクヘッドの2部品から成り立っています。シャンクホルダをプレス機械のスライドに取り付け、シャンクヘッドを金型に取り付けます。シャンクホルダの溝に、シャンクヘッドの上部を引っかけるようにして取り付けます。 このシャンクはパンチホルダに押し力を伝えることと、パンチホルダを引き上げる動きをします。2つのホルダの関係は、相当大きな遊びを持っていま
- シャンクは、上型を、プレス機械のスライドに取り付けるための部品として使われます。 この部品は打ち抜き型に限ったものではなく、各金型に共通するものです。 基本的な内容なので、最初に紹介します。 シャンクとパンチホルダの関係を【図1】に示します。パンチホルダがベースとなる部品で、シャンクはその上に取り付けられます。 シャンクは柱状をした部品で、比較的小さな金型の上型を、プレス機械の
- 打ち抜き(ブランク抜き)加工では、ブランク形状とブランクパンチ形状は同じ形にします。そのときにブランクパンチ寸法は、ブランク寸法よりクリアランス分小さくします。
- (1)金型の概要 打ち抜き型(ブランク抜き型)は【図1】に示すように輪郭形状を作り出すものです。そのままで製品の輪郭となるものもあれば、曲げや絞りなどの成形製品の展開形状である場合もあります。プレス加工の基本と言えるひとつです。 【図2】は標準的なブランク抜き型の構造を示しています。固定ストリッパ構造の金型です。 金型は、上型(シャンク、パンチホルダ、パンチプレート及びパン
- 【図1】および【図2】は鋳造一体構造の金型です。鋳造構造は大きな形状を1体で作れるので、鋼板で製作するのに比べ容易に作ることができます。
- 中、小形の金型の主要部品に使われる金型材質について説明します。 金型の構造にはいくつかの種類がありますが、よく使われている可動ストリッパ構造を例に説明します。【図1】に示した金型のプレート構成は、可動ストリッパ構造の最大構成を示しています。
- プレス金型に使われている超硬合金は、タングステン・カーバイド(WC)とコバルト(Co)との合金です。材料の主体はWCで、Coはバインダー(接着剤)の役割をしています。Co量は5〜25%範囲でです。 超硬合金はCo量が増えると硬度は低くなります。 超硬工具協会の規格019で、V10、V20、V30、V40、V50、V60という規格があります。 V10では、Coは5%位、V30では、12%
- 今回は、鋼材以外の材料を含めて紹介します。 プリハードン鋼 フレームハード鋼 アルミニウム青銅 鋳鉄 プリハードン鋼 プラスチック用の金型材料として開発された材料を、プレス用の金型に転用されたものです。JISには無く、メーカーブランドのものが使用されています。切削加工ができ、硬度がある程度ある材料です。40HRC程度に調質されているもので、析出硬化系(【※】参照)のものが使
- 高速度工具鋼は「ハイス」と略して呼ばれます。材料記号はSKHです。 ハイスは、タングステン(W)系とモリブデン(Mo)系があります。 JISでは、JISG4403にまとめられています。 タングステン系には、おおよそ18%前後のタングステンが添加されています。モリブデンは含んでいません。種類としては、SKH2、SKH3、SKH4及びSKH10があります。このシリーズは耐摩耗性が大きいので
- 金型を構成する材料で、主にパンチ、ダイ、ストリッパおよびバッキングプレートなどの主要部分に使われる材料です。 (1)工具用炭素鋼(SK材) SK材の炭素含有量は0.6〜1.5%です。SK材は1種から7種まであります。SK1は1.3〜1.5%の炭素量、SK7は0.6〜0.7の炭素量です。SK1→SK7に向かって炭素量は減少していきます。ちなみに、炭素量が0.6%未満になると機械構造用(SC
- 金型を構成する材料で、主に構造を作る材料です。 (1)一般構造用圧延鋼材(SS材) 生材としては最も多く金型に使用されている材料です。多く使われている種類はSS400です。一般的にはSS材と呼ばれています。 SS400の数字は引張強さを表しています。SS400は400〜510N/mm2の強さを持っています。 この材料は粘りけのある軟らかい材料なので、ドリルなどによる穴加工では切削チップ
- プレス加工では、パンチ等の部品には繰り返しの荷重が働きます。 繰り返し荷重は疲労(疲れと呼ぶこともあります)破壊の原因となります。疲労破壊=疲労強度と結びつけることができます。 疲労強度に関係する要因は、次のものがあります。 調質された硬さ(45HRC程度を確保されたもの)。 シャープな角をなくす(Rをつける)。 表面は平滑にする。 (1)引張強さとの関係 疲労強度は材料
- プレス金型に用いるパンチ、ダイ(工具)には加工力が働きます。その加工力は衝撃に近いものです。型材質と衝撃について考えてみます。 (1)靱(じん)性 工具には、その形状をいつまでも維持し、多くの生産ができることを期待します。それは「工具が摩耗せず、初期形状を長く維持すること」です。摩耗は工具の硬さが大きな役割を担っています。 材料の性質を考えると、硬い:摩耗しにくいイメージと、脆い(もろ
- 金型用の鋼材には、いろいろな性質が求められます。まず、その内容を理解しておきましょう。 (1)耐摩耗性 JISでは、摩耗を「相対運動する金属面の機械的引っかき、金属的粘着などが総合されて、その面が損耗する現象」と表現しています。耐摩耗性とは、このような現象が起きにくい性質といえます。 (2)耐摩耗性に影響する要因 (1)硬さの影響 耐摩耗性に影響を与える大きな要因に「硬さ」があり
- ウレタンスプリングの使い方は【図1】に示すように、簡易金型のパンチに装着して、ストリッパ代わりに使用するものが比較的多い使い方です。 【図2】は、ストリッパ用のスプリングとして使用する形です。
- 順送加工では、材料を少しダイ面から持ち上げて材料を移動させます。材料をダイ面から持ち上げることを「リフトアップ」と呼びます。上型に設けられたパイロットは下降して、リフトアップ状態にある材料にパイロットを入れます。材料の厚さがあれば、その強さで変形せずにパイロットは材料に入ることができます。しかし、ガイドリフターとパイロット穴位置が遠く離れると不安定になるので、パイロット穴位置とガイドリフターの
- パイロットは、プレス加工する前の材料位置を、正しい状態に修正する目的で使用します(パイロット(1)も参照して下さい)。一般的には、【図1】に示すように、穴にパイロットを押し込み、ずれを矯正します。その際のパイロット中心と穴の中心のずれ量を矯正量と呼びます。矯正量は材料板厚とパイロット径に比例します。パイロット径の最小実寸法は、径で1mm程度です。
- ストリッパガイドブシュ(ブシュ)を使うときには、【図1】に示す2つのすきまに注意しなければいけません。ポストとブシュのすきま(ベアリングすきま)と、ブシュとプレートのすきま(接着すきま)です。 ベアリングすきまは、潤滑油の粘度や無給油タイプなどで基本的には変化します。長期間使用していると、磨耗でこのすきまが大きくなります。精度維持のためには定期的な交換が必要です。このすきまは、上型と下
- ストリッパガイドポストがプレートを貫通することによって、プレートはお互いの関係が拘束され、関係が維持されるようになります。維持された関係は、金型が仕事をしている状態でも変化せずに状態を保つことが好まれます。そのためには、プレートとガイドポストの関係に注意しなければなりません。その寸法関係を示したものが【図1】です。
- ストリッパガイドブシュは、外観から2タイプに分けられます。ヘッド付き(つば付き)とストレートタイプです。そして摺動部分の変化が加わります。その上に組立方式として、圧入式と接着式に分かれます。接着式は、さらに、ロックタイト接着とデブコン接着に分かれます。デブコン接着はだいぶ少なくなり、ロックタイト接着が主流になっています。圧入方式は難しいものがあります。圧入の締め代が大きくなると、圧入後のブッシ
- ストリッパガイドポストはいくつかの形があります。【図1】は基本と言えるヘッド付き(つば付き)タイプのものです。ポストの基本形といえます。 プレートにポストを圧入することで、位置と垂直を保ちます。つば部で抜け止めをします。つば部はプレートの座ぐり穴に沈みますが、ポストの端面とプレート面が同一面であることが理想です。しかし、実際は多少凹んでいることあが多いように思います。この凹みが大きくな
- ストリッパガイドには、次のような役割があるといわれています。 ストリッパでのパンチガイドを行うための、ストリッパの挙動を規制する 金型の動的精度を高める 金型の組立を容易にする メンテナンスを容易にする などです。 しかし、これらはストリッパガイドの組み立て方によって変化します。 その一例を示したものが、【図1】、【図2】です。 【図1】は、ストリッパガイドを、パ
- 金型は【図1】に示すように、パンチ・ダイの関係をダイセットのガイドを用いて位置合わせして、適正なクリアランスを保つようにしています。 ダイセットはパンチとダイの関係付けと、金型をプレス機械へ取り付けることを容易にしているのです。ダイセットを使用しない時代に比べ、大変大きな変革を金型にもたらしました。図1に示す可動ストリッパ構造の金型では、ストリッパで材料を押さえ、変形しないようにして加
- 【図1】は、高さ調節ユニットを金型に取り付けた状態を示しています。 ユニットは、調節レバーと調節ねじが一体化しています。調節ねじは調節こまが入ったプレートに取り付けられています。調節ねじを回すことで、調節レバーは前後に動きます。調節レバーの先端は斜面になっていて、その斜面に調節こまが乗っています。調節こまは斜面に押し付けられるように、引きバネで支えられています。
- 金型は切れ刃の痛み(バリの増加)に伴って再研磨を行い、切れ刃を再生します。金型の再研磨の方法には、プレート全体を研磨する方法と、入れ子部品のみを研摩する方法があります。プレート全体を研磨する方法は、プレートはその都度薄くなっていきますが、ボタンダイ等の入れ子部品も同じレベルで変化するため特に問題はありません。入れ子のみを研摩する方法では、研磨分のレベル調整を必要とします。調整がうまくないと、プ
- ボタンダイは、ダイプレートにインサート部品(入れ子)として組み込んで使用します。焼き入れしないダイプレートに入れ子として使用し、金型製作を容易にしたり、金型メンテナンスを行いやすくするために、または長い寿命を求めて使用します。 【図1】が、ボタンダイの外観を示しています。 (a)のストレートタイプはプレートに軽く圧入して使用するものです。部品には組込導入部が設けられていて、組込が容
- ミスフィード検出ユニットとパイロットの関係を【図1】に示します。 ミスフィード検出は、パイロットが送られてきた材料の位置修正ができない状態になったときに作動するようにセットします。したがって、パイロットに先行して働かせるため、パイロットより長く、また細くなければいけません(パイロットの矯正量の範囲内で)。ミスフィード検出ユニットの一般的な形は、ミス検出ピン、リレーションピン及びマイクロ
- 【図】に示す各形状について、以下に示します。
- パイロットは【図1】(a)に示すように、金型内にある材料の最終的な位置決めをします。金型内には、送り装置や人の手などで材料は送り込まれますが、ある程度の誤差が常につきまといます。その誤差を、製品に影響ないところまで修正することを求められます。材料の位置の修正は、パイロットの傾斜面で材料を滑らせて移動します。斜面の形には(b)に示す砲弾形と(c)に示すテーパ形があります。砲弾形は上下移動量に対し
- 丸以外の形状では、パンチプレートへの植え込み部(シャンク部)を四角または異形状にすることが多くなります。ブロックパンチの代表的な形を【図1】に示します。 (a)は、ストレートタイプのものです。パンチ断面が大きいときのもので、作りやすい形です。 (b)は、パンチ断面が少し小さくなり、ストレートでは強度がもたないときの形です。加工しづらい部分をストレートにしてパンチ加工に対する配慮が
- 丸穴の抜き加工では、トラブルとしてかす上がりがあります。その対策の最も手っ取り早い方法が、上がってこようとする抜きかすを強制的に押し下げてしまうことです。この目的で作られたパンチが、【図1】に示しますジェクタパンチです。このパンチが使えればかす上がり対策には具合がよいのですが、パンチの再研磨ではジェクタピンが邪魔になります。分解してジェクタピンを外すのでは大変です。その対策として、パンチの横に
- 【図1】に示すショルダーパンチは、シャンク径(D)以外の部分は、ある程度の範囲で自由に変更が可能な規格となっています。 刃先形状も多様な対応が可能となっています。材質はSKD11相当、SKH51及び粉末ハイス、超硬合金があり、刃先部分のラップ仕上げ、表面コーティングとしてTiCN及びディコート処理が選べる状態にあります。少量生産対応のローコストな部品から長寿命対応部品まで対応しています
- 丸パンチのJISは、S分類の「工具」の中の「金型」に分類されています。JIS番号はB5009です。名称は当初は「プレス型用丸パンチ」とされていましたが、現在は「プレス型用つば付きパンチ」と改称されています。 当初のJISでは【図1】に示す2つのかたちから、(a)図の形から2種類、(b)図の形から1種類の、計3種類の標準が決められていました。
- ダイセットは【図1】に示すように、上型と下型の関係を正しく保つために使用します。 ダイセットはパンチホルダ、ダイホルダ及びガイドポスト、ガイドブシュから構成されたユニット部品です。 上型をパンチ、下型をダイとしてとらえパンチ−ダイの関係を考えると、パンチ−ダイの関係をダウエルピン(ノックピン)が中継してダイセットのガイドに渡し、パンチ−ダイの関係を保つようにしています(【図1】参照)
- ストロークエンドブロックは【図1】(a)(b)に示すような形で使用します。(a)の形の使い方が多いと思います。 ストロークエンドブロックは、金型の下死点を決めるための部品ですが、一度決めてしまえばそれでよいと言うものではありません。金型によっては、再研磨をすることでダイハイトが変化する構造のものもあります。このような金型では、その都度調整が必要になります。 ストロークエンドブロックは
- 【図1】にストックガイドの基本要素を示してあります。 ガイド幅は材料の幅を押さえる部分です。材料幅のバラツキ(公差)を考慮して決めます。もう一つの要因として、材料の横曲がり(キャンバ)があります。これはガイド長さとの関係がでてきます。ガイド長さは最低で材料の幅と同じ長さ、できれば材料幅の2倍程度は欲しいです。ガイドの役割は、材料を金型に最初に入れる時に、ふらつかないで毎回同じ状態で金型
- コイルスプリング(以下スプリング)の主な使い方を紹介します。【図a】~【図f】は、主だったスプリングの使い方を示したものです。 【図a】は、ストリッパの可動量が少ないときのスプリングの使い方です。ストリッパボルトの後ろに入れます。同軸上を押しますから無理がありません。長いスプリングが使えませんから、大きなたわみはとれません。
- 金型でスプリングに期待するものは、【図1】に示すように荷重とたわみです。金型に使われるリフターピンを支えるコイルスプリング(以下スプリング)では、それほど荷重は必要でなく、たわみ量が求められます。可動ストリッパでは、主に荷重が求められます。ときには、荷重とたわみの両方が必要なときもあります。
- スクリュープラグは、M8以下のサイズではねじピッチは並目、M10以上ではピッチを1.5mmに統一しています。これは、スクリュープラグをスプリングの押しねじとして使用するとき、ねじ径とスプリングの関係をわかりやすくする目的と、もう一つはねじ径に比例してねじピッチが大きくなると、ねじの有効山数との関係から、スクリュープラグの厚さもねじ径に比例して厚くしなければなりません。ねじピッチが同じであれば厚
- プレス金型では、どういう訳か締結用のねじは六角穴付きボルト(JISB1176)が使われています。昔は六角ボルトや皿ビスなども使われていましたがなくなっていき、自然に標準化された部品です。六角穴付きボルトそのものの詳細な規格内容は、JISまたはミスミカタログの技術データ部分をご覧下さい。 残念なことに、締結ねじの使い方を明確に示す資料はありません。そのために金型設計者を「こんな事は聞けない、で
- 【図1】はエアー穴付きリフターを示しています。通常のリフターにエアーの通る穴をあけ、廻り止めを施した部品です。 【図2】(a)及び(b)は使用状態を示しています。
- 【図1】はリフター類の形を示しています。リフターは金型内の材料が傾いたり、たるんだりしないように保持する部品です。丸形と角形があります。 (1)リフターの使い方 リフターは、材料と接する面の角には丸みを付け、角を作らないようにします(【図1】参照)。材料へのキズ対策です。 順送金型では、金型内の材料はダイ面より浮かせておく必要が多くの場合にあります。材料送りの関係からです。このこと
- ストリッパボルトには、【図1】に示すような種類があります。 ここに示した形状は基本形で、ミスミ標準部品では細かな用途に配慮、細分化して選択の幅を広げています。 ストリッパボルトは軸部(L)の長さで部品を保持して、部品を可動できるようにするものです。このような使い方から、吊りボルト、段付きボルトなどと呼ばれることもあります。可動ストリッパ構造の金型のストリッパ保持の使い方がよく知られてい
- プレス機械の精度は、プレス加工製品に悪い影響を及ぼすと共に、金型寿命も短くします。プレス機械の精度には、負荷をかけない状態での静的精度と、製品を加工しているときの動的精度があります。JISでは動的精度はありません。したがって、プレス機械購入時の精度は静的精度で行われます。動的精度はメーカー独自のもので、各社で微妙に違いがあります。以下に静的精度の主なものを示します。 【図1】にプレス機械精
- 【図1】は、プレス機械のストローク送りの関係を示した図です。 プレス機械のスライドは、上死点(0°)位置から下降を始め、下死点(180°)に達します。材料送りは、戻り工程の中間点(270°)位置から材料送りがスタートして、下降工程の中間点(90°)位置で送りを完了します(標準的なタイミング)。送り装置はこのような単純な動きだけではなく、もう少し複雑な動きをします。
- プレス機械の中で最もよく使われているクランク機構プレス(クランクプレス)は,、【図1】に示すような機構となっています。 構造がシンプルであり、作りやすい機械であることから普及しています。クランク軸にはエキセン軸と呼ばれる形もありますが、最近では軸の形にこだわることは少なくなっています(プレス機械の完成度が高くなり、仕様を確認することで必要機能を満足できるため)。 もう一つの代表的な
- プレス機械のストローク長さは、仕事の内容によって使い分けられます。抜き加工では短く、10〜80mm位です。曲げや絞り加工では、製品の加工高さに注意して、ストローク長さを選ぶ必要があります。 絞り加工の例で解説します。【図1】を参照して下さい。
- クランクプレス等の機械プレスでは、ストローク位置によって発生圧力が変化します。この点が、ストロークのどの位置でも圧力が変化しない油圧等の液圧プレスとの大きな違いです。【図1】はクランクプレスの圧力・ストローク曲線です。 スライドのストローク位置が下死点に近付くほど、発生圧力が高くなることを示しています。理論的には無限大の圧力が得られます。プレス機械の能力表示では下死点上の位置を決め、能
- プレス機械は、荷重中心(金型が仕事するときの加工力の中心)が、プレス機械スライドの中心と一致していることを前提に作られています。しかし、金型は製品形状の制約や加工方法などによって、金型中心と荷重中心を一致させることが難しい場合が多くあります。順送加工用の金型では、全てが金型中心と荷重中心がずれていると考えてよいと思います。このような金型をプレス機械に取り付けると、プレス機械中心と荷重中心がずれ
- プレス加工で、最も多く利用されているクランクプレスでは、プレス機械の能力を表すひとつに圧力能力(加圧能力)があります。圧力能力とは、プレス機械が安全に発生しうる最大圧力です。クランクプレスでは【表1】に示すように、スライドのストローク位置によって発生圧力が変化します。そのため、圧力能力は下死点上の決められた位置での圧力を示します。【表1】の例では、下死点上5mmの位置で980KN(9
- 材料の送り線高さは、【図1】に示すように、ボルスタプレート面から材料の移動位置までの高さを言います。「フィードレベル」または「パスライン」と呼ぶこともあります。 材料送り装置を用いて自動加工するプレス金型では、ダイハイトと共に送り線高さもプレス機械にあわせる必要があります。 【図2】はプレス金型の送り線高を示しています。ボルスタプレート上面(金型のダイホルダ下面)から、材料がダイ面か
- ダイハイトは2つあります。プレス機械のダイハイトと金型のダイハイトです。 ダイハイトは金型の取り付け高さに関する制約を示しています。プレス機械のダイハイトが主で、金型のダイハイトが従の関係になります。 【図1】に示したものが、プレス機械のダイハイトです。
- 絞り加工では材料の異方性によって変形します。たとえば円形ブランクから円形絞りをすると、フランジは丸くならず四角に近い形になります。フランジの無い絞り形状では耳が発生して、縁は波打ちます。この様に、形状の崩れたものを切り直してきれいな形状にするのが「トリミング」です。 【図1】は代表的なトリミングの金型構造です。逆配置構造を用いています。製品は内径を利用して位置決めをします。 パンチ
- 逆再絞りを【図1】「加工内容」の図で説明します。加工前の形状は普通の絞り加工で作ります。その形状を加工途中の図のように、外側が内側になるように絞っていきます。 加工後の製品は、加工前の形状の内側が外形になります。このようにすることで製品の材料は大きく動かされ、絞りのストレスが変化し、通常の絞りより大きな減少率が得られます。
- 再絞り加工も回を重ねると、径の減少率は小さくなります。そのために内径ガイドが弱くなり破損しやすくなるために使えなくなりますが、径の減少率が小さいために絞り側壁部分の座屈の心配が無くなるので問題はないのです。このような再絞り型構造を【図1】、【図2】に示します。 【図1】の構造は、フランジある製品の再絞りに適しています。製品のフランジ部分がストリッパに乗り、ストリッパよりつき出しているパ
- 絞り加工では、1回に絞れる(径を小さくできる)割合には限度があります。そのために、何回かの絞りを重ねて目的の径にします。この繰り返し行う絞り加工を「再絞り」と呼びます。再絞りに使用する金型を「再絞り型」と呼びます。初絞りの次当たりの工程では、絞り径の差が大きいために【図1】や【図2】のような構造の金型を使います。 これから加工する製品はブランクホルダ(下向き絞り型ではしわ押さえ)によっ
- 抜き絞り型は、ブランク抜きと初絞りを組み合わせた複合金型です。 【図】(a)は上向き絞りの構造です。【図】では固定ストリッパ構造を示しましたが、ストリッパを上型に付ける可動ストリッパ構造もあります。加工のイメージは「加工内容」として示した図を参照して下さい。抜き絞りパンチ(複合部品:ブランク抜きのパンチと絞りのダイを兼ねる)でブランクを抜き、引き続きストロークの進行によって絞り加工を行
- パンチ下、ダイ上の逆配置構造を用いた絞り金型構造です。金型構造を【図1】に示します。 絞り加工では大変よく使われています。この構造では、しわ押さえをブランクホルダと呼ぶことが多いです。しわ押さえにブランクの位置決めを作っているためです。 加工する材料はブランクホルダに乗せ、下から上に向かって絞り上型のダイの中に製品は入ります。入った製品はノックアウトによって上死点近くでダイより排出さ
- 可動しわ押さえ付きの絞り落とし構造の金型に、ノックアウトを組み込んだ構造です。【図】に構造を示します。 この構造ではブランクからフランジ付きの円筒絞り、またはフランジの無い円筒絞りのどちらにも使用できます。また、パンチとノックアウトで材料をはさんで加工しますから、絞り底部の平坦度はよいです。ノックアウトは、材料押さえとダイの中の製品を排出する2つの役割を持っています。
- 絞り用の金型では、パンチ、ダイおよびしわ押さえが重要な部品です。ブランクからフランジの無い円筒形状を絞り加工するときには、【図1】に示すような絞り落とし構造の金型が使えます。加工する材料を位置決めプレートに置き、その材料をパンチによって絞った後、製品はダイを通過して下に落とします。金型構造も簡単で作りやすく、プレス作業効率のよい金型構造といえます。欠点としては底部が湾曲して平坦が出にくいことで
- 丸め加工では【図1】に示すように、W型に丸め前の形状を作ります。このW形状は1工程で作る場合と、両端をニップ曲げしてからW曲げする方法があります。丸め形状は、2工程かける後者の方がきれいに仕上がります。 W曲げした形状の中央を押すと、両端が跳ね上がり丸くなります。この様な加工を行う金型が【図2】の構造の金型です。中央を押され跳ね上がった両端はぶつかり丸い形状となるので、必然的に
- カール曲げは材料の端部を丸めることで、縁の強度を高めたり安全対策として採用されます。加工方法は【図1】に示すように「ニップ曲げ」と呼ばれる予備曲げを行い、その後に丸め加工を行います。 ニップ曲げを省略すると、きれいな形状に加工できません。そればかりか、加工そのものができなくなることもあります。ニップ曲げは通常のL曲げ加工で行います。曲げ角度が問題でして、一般的なは45°程度に曲げ
- 曲げの形状によっては、上下方向からの曲げでは金型の強度が不足し破損しやすくなるとか、加工が困難といった問題が発生することがよくあります。このようなときには、横(水平)方向から加工することを考えます。その実現手段としてよく使われる方法が、カム機構の利用です。 加工手段と金型の構造を説明しますと、【図1】は一般的なカムを利用したときの手順を示しています。まず通常の工法(L曲げ等)で加
- 切り曲げ加工は切り込み(スリットまたはランスとも呼ばれる)によって形状を作り、切り残した部分を曲げて【図1】(a)(b)のような形を作るのが目的です。切り曲げ形状の用途は、スプリングを引っ掛けるフックや可動部品のストッパーなどに使われることが比較的多いです。
- U曲げ金型の構造を【図1】に示します。 標準的な設定事項を【図2】に示します。 【図1】に示した構造は、パッド曲げ構造と呼ばれることもあります。パッドとは図の中にあるノックアウトを指しています。ノックアウトのない、単にダイがU字形状に加工されただけの構造もあります。「自由曲げ構造」と呼びます(V曲げ構造と同じ形になります)。
- 【図1】はL曲げ構造の金型を示しています。 標準的な金型寸法を【図2】に示します。
- 【図1】がV曲げ型の構造です。V字形状のパンチとダイを使って曲げ加工する、分かりやすい構造です。
- プレス加工製品で最も多い形状が、曲げ製品と言えると思います。その曲げ製品の加工の基本となる構造を解説します。 (1)突き曲げ(V曲げ) 2つの支点で受けた材料にパンチを押しつけ形状を作る構造です。【図1】を参照して下さい。最も単純な曲げ構造です。パンチの押し込み具合で曲げの角度が変化します。このような形の曲げ方法を「自由曲げ」と呼びます。自由曲げのときにはダイは【図1】のようにV字形状を
- 切断加工はスクラップを出さずにせん断し、分離する加工方法です。この方法が採用できれば、材料の利用率(歩留まり)は最高に高められます。 切断型の基本的な構造を示したものが【図1】です。材料は固定ストリッパのトンネル部分の通過して、突き当てにあたった状態で切断されます。その加工イメージが【図2】です。 切断された左右のバリは逆ですから、そのまま製品に残ります(【図2】参照)。これが1つ
- 分断加工はある幅を持ったパンチで材料をせん断し、分離します。シート材やコイル材から、分断によってブランクを作ることもよく行われます。幅のあるパンチでせん断するので、分断した左右のバリ方向は揃います(切断でスクラップを出さずにせん断すると、左右のバリ方向は逆向きとなります)。また、曲げや成形加工品を2つに分断して製品を作る方法も多いです。 このような目的に使用する分断型の構造を示したものが【
- 総抜き加工とは、外形と穴を同時に加工する工法です。コンパウンド加工とも呼びます。このような加工を「複合加工」と呼びます。加工は【図1】に示すように、外形は下から上に、穴は上から下に加工します。 外形は逆配置構造の外形抜き構造、穴は可動ストリッパ構造の金型を組み合わせて作られた構造といえます(以前に複合金型構造の作り方として紹介しています)。 総抜き金型構造の基本的な構造が【
- 穴抜き加工であまり精度を必要としない製品では、作業性のよい固定ストリッパ構造を使うことがよくあります。たとえば、【図】に示すような長い製品の端部に穴を加工するようなときに、固定ストリッパ構造を使うことで作業がしやすくなります。【図】からもわかると思いますが、ストリッパの中に材料を入れ、奥に突き当てた状態で加工をすればよいので作業性がよいのです。 ただし、ストリッパとダイとのすきまが大き
- 穴抜き加工では、材料をダイの上に置き加工します。穴の抜きかすは【図1】に示すように下に落ちます。つまりダイを通過して下に落とされます。 ダイの上の材料はパンチで押され跳ね上がろうとします。材料を押さえていないと製品の平面度が悪くなる可能性があります。製品の平面度を確保するには、材料押さえをきかせながら加工することです。この条件を満たす金型構造が【図2】に示す可動ストリッパ構造で
- 特別な形の打ち抜き加工です。【図1】に示すように下から上に向かって加工します。 その金型の構造が【図2】です。
- 打ち抜き加工の目的は、固定ストリッパ構造の金型と同じです。固定ストリッパ構造ではダイプレートの上に固定ストリッパが被さっているため、作業している状態が見えないのでいやだ、という人がいます。また、厚い板を打ち抜くと、だんだん反って作業がしづらくなることがあります。このようなことから材料押さえのきく可動ストリッパを使うことがあるのです。 このような構造の打ち抜き型を「可動ストリッパ構造の打ち抜き
- 打ち抜き加工とは【図1】に示すように、輪郭形状を作る加工です。この輪郭形状はそのままで製品になったり、ときには曲げ加工や絞り加工のブランクであったりします。打ち抜き加工では通常、製品はダイを通過して下に落とされます。このような構造の金型を「抜き打ち型」と呼びます。 打ち抜き型ではパンチとダイを製品形状に合わせて作ります。パンチは打ち抜きクリアランス分だけダイより小さく作ります。 材料を
- プレス加工用の金型は上型と下型から成り立っています。上型と下型の関係が正しくないとうまくプレス加工できなかったり、早く修理が必要になったりします。 その関係をつくるのがガイドです。このガイドは型合わせガイドとか刃合わせガイドなどと呼ばれます。よく知られているものがダイセットです。 しかしダイセットは刃合わせガイドの1形式です。【図】でガイド形式を説明します。 【金型の構造】ガイドによる金
- 金型の構造を決める1つの要因にプレートの構成があります。プレートの構成は金型の主要プレートの作り方との関連が大きいです。 内容を【図1】で説明します。 金型を構成するプレートの最大構成(複合金型とゲタ等は除く)は8枚です。 基本構成は
- 総抜き加工や抜き絞り加工等の複合加工用の構造は、基本的な金型構造の組み合わせで作ります。このような加工では外形(ブランク)を作り、さらに追加の加工を加える(例えば、穴抜きとか絞りとかです)加工です。 一般的なこのような加工ではブランクは上に向かって抜き、追加される穴抜き等の加工は下向きに加工することが多いです。そのような加工ができるそれぞれの基本的な金型構造を選び、組み合わせて一本化するこ
- 小径穴抜きとは概ねφ1.0mm以下の大きさをイメージしています。そしてφ1.0mm程度の穴は材料板厚が1.0mm前後を想定しています。 パンチの設計 穴抜きパンチは保護のために【図1】に示すように、ストリッパでパンチ先端をガイド(パンチガイド)してパンチの破損を防ぐ対策をしています。 パンチ寸法のPとBの関係はB≦10Pが最大長さの目安です。 小径パンチになるとB寸法が短く
- 金型精度は、一般的には製品の寸法精度や形状精度を「物差し」として使っています。厳しい許容差を要求される製品、例えばICリードフレームやコネクターなどは高精度を必要とする製品で、それを加工する金型を高精度金型と認識しているように感じます。この点に異論をはさむ人はいないと思います。 ではこのような金型のどこが高精度なのでしょうか。製品はパンチ、ダイの形状が転写されるので、パンチ、ダイの形状をプ