切断を利用した順送り型を、可動ストリッパ構造で設計した場合の組立図について解説します。
組立図の設計では、下型平面図(【図1】)、上型平面図(【図2】)及び【図3】に示す正面図(断面図)を作ります。
下型平面図では、加工の推移や材料ガイドの関係が分かるように示します。ストックガイドは材料を金型に最初に入れるときに、傾いて入らないように材料幅に対して長めに設定します。材料が金型内に入ってからは、この設計例では、リフターガイドで位置決めをしていますが、穴抜き前部分に多めにリフターガイドを入れ、不安定にならないようにします。その後は少し間隔を広くしても問題ありません(この設計例では工程数が少ないので分かりにくいですが)。
上型平面図では、パンチやパイロット等の取り付け状態を示します。この設計例のように可動ストリッパ構造の金型では、ストリッパ用のスプリングの大きさと配置に特に注意が必要です。下型平面図設計のときに、ストリッパ用のスプリングスペースを意識して、プレートの大きさを決めておかないと困ることがあります。
断面図は部品の取り付け状態を示します。この設計例では分かりやすくするために、上型が離れた加工前の状態を示していますが、実際は下死点状態で描くことが多いです。下死点で示すことで、ストリッパプレートやリフターガイドの可動量や、パンチとダイの関係が分かりやすくなります。ダイ面から凸状態にある部品(この金型ではリフターガイド、ストップブロック)のストリッパ面との干渉の確認もできるなど、いろいろ利点があります。
この設計例では、ダイセットをボール入りのD形を使っていますが、理由は金型が小さいためです。順送り金型ではダイセットの標準は4本柱のF形とします。この例のようにプレートが小さいときにD形を使います。B形やC形を使うことは精度の関係から少ないです。
組立図では、金型の要点が分かりやすく示されていることが大切です。何もかも示そうとすると、ごちゃごちゃして見にくい図面となりますので注意して下さい。