丸パンチのJISは、S分類の「工具」の中の「金型」に分類されています。JIS番号はB5009です。名称は当初は「プレス型用丸パンチ」とされていましたが、現在は「プレス型用つば付きパンチ」と改称されています。
当初のJISでは【図1】に示す2つのかたちから、(a)図の形から2種類、(b)図の形から1種類の、計3種類の標準が決められていました。
(a)図からの一つは各寸法が全て決められていて、刃先径が1.0mmから4.0mmまでは0.1mm飛びに、それ以上のものは適当な間隔に飛んだ径のものが24mmまで規格化されていました。丸パンチが標準化された最初のものです。使用上の自由度が低いことから、現在はJIS規格から廃止されています。
もう一つの規格は、丸パンチの軸径に対してある幅の刃先寸法を自由に選べる形式の規格です。ミスミのショルダーパンチのベースになっているものです。ショルダーパンチの規格ではJISよりも多様な選択ができます。
(b)図からの規格も各寸法の全てが決められていて、径が0.1mmから4.9mmまで、0.1mm飛びに規格がありました。現在はJISから廃止されています。ミスミではミニストレートパンチとして規格があります。
(a)図のつば部分の厚さ(T)はプラス方向に公差が決められています。当初は+0.3/0でしたが、現在では+0.25/0になっています。つば部分がプレス公差になっている理由説明が【図2】です。
【図2】の(b)図でパンチの入る穴加工では、つば部の座ぐりを行いますが、座ぐりは比較的精度の悪い加工です。パンチと穴をガタなく合わせることは難しいため、必ずパンチつば部が凸になるように組み立て、その後組み立て状態で凸部を研削して平らにすることを前提にしています(この規格が作られた当時はこのような組立て方が普通でした)。この考え方は現在も引き継いでいると言えます。
現在のJISは【図3】に示すような種類となっています。
種類が増え、多様な用途に適用可能に見えます。また、ISOとの整合がなされましたが、そのために使いにくくなったように感じる部分もでてきました。パンチ全長の長さです。
以前の長さ規格は40、50、60といった形でしたが、徐々に標準数に合わせた長さ、例えば56、63、71といった長さとなり、50、60、70、がなくなっています。現実の実用状態は以前と変わらない全長の長さが使われ、自由に長さを指定できる便利な状態にあります。