【図1】に示す穴抜き型では、ブランクをダイの上に置き穴加工をします。
製品(ブランク)の平面度を保ちたいと考えるときには、ブランクを押さえながら加工することを誰しもが思いつきます。この発想で作られたものが、ここに示す金型構造です。可動ストリッパ構造と呼びます。
パンチから材料を剥ぎ取る役割のストリッパは常にダイの上にあり、パンチがストリッパの中を通過しますから、ブランクを押さえるには、打って付けなわけです。
ストリッパを可動させるために、ストリッパはストリッパボルトで一定の位置に保持するようにします。保持位置は、ストリッパ面がパンチの先端より1mm程度下がった位のところが多いようです。
ストリッパが材料を押さえる強さは、スプリングで行います。ストリッパの後ろにスプリングを組み込みます。このときにスプリングは少し圧縮しておきます。この圧縮して生じるスプリングの強さを「初期圧」と呼びます。初期圧は穴抜き力の15%以上とします(パンチから材料を剥ぎ取るだけでよければ、抜き力の3%以上あれがよい)。まず、ある一定の加圧力で材料を押さえ、穴抜き加工に伴う変形が起きないようにします。これが、初期圧の役目です。
【図2】を見て下さい。ブランクの位置決めを板のネストとした場合、ネスト形状に合わせて、ストリッパ面を凸に削り出さなければなりません。
形状加工はエンドミルを使うことが多いと思います。加工が容易になるようにストリッパの凸形状やネスト形状を設計します。
ストリッパの凸部加工によって凸外周のフランジと呼べる部分は薄くなります。あまりに薄くなるとストリッパ強度に影響が出ます。バランスを考えて厚みを決めましょう。
【図2】(C)で逃がしと示した部分は、金型の前にくる部分です。逃がしをつけることで作業時の安全と安心を作ります。