L形状は曲げの最も基本的な形状ですが、曲げ方法はいくつかあります。順送り加工でよく使われる押さえ曲げを前提にして、曲げ工程を説明します。
【図1】は、1回曲げです。この方法は曲げ半径が被加工材の板厚以下で、曲げ精度要求がそれほどでもないときに採用します。
【図2】は、曲げ位置にVノッチ等で凹形状の溝を付け曲げ位置を正確に出したいときの方法です。凹形状の深さは板厚の30%程度です。曲げ部の強度は弱くなります。曲げ線は被加工材の圧延方向と直角になるようにして、曲げ部強度低下に注意します。
【図3】は、曲げ半径が小さいく、曲げ位置精度を高めたいときの方法です。1曲げでは、45度程度に曲げます。曲げ位置は製品の曲げ位置と同じ位置です。2曲げで製品形状に曲げます。
この方法は、順送り加工などで他にも曲げがあり、加工力のバランスを取るために2工程曲げとするときに、使われることもあります。
【図4】は、曲げ半径が大きいときの曲げ方です。1曲げで45度程度に曲げますが、【図3】のときと曲げ位置が違います。製品の曲げ位置より前にだします。【図3】と【図4】を比較して、違いを確認して下さい。
この方法では、単に曲げるだけでなく、曲げ部の外側を圧縮してスプリングバックを押さえるようにします。
単純なL曲げですが、これだけの曲げ方があります。曲げの形状や要求品質などから判断して、最適と思える工程設計をします。