プレス機械のストローク長さは、仕事の内容によって使い分けられます。抜き加工では短く、10〜80mm位です。曲げや絞り加工では、製品の加工高さに注意して、ストローク長さを選ぶ必要があります。
絞り加工の例で解説します。【図1】を参照して下さい。
絞り加工はダイ面からスタートして、下死点で終わります。加工完了した製品は絞りの底部がダイ面より上に来て、取り出しが可能になります。その上に多少ゆとりがないと作業がしにくくなります。したがって、手作業の加工では、ストローク長さは製品高さの2.5倍以上必要になります。自動加工するときには材料移動の時間が必要ですから、製品高さの3倍以上が安全なストローク長さと言えます。しかし、長すぎるストロークは作業能率を悪くするので考えものです。短いストロークでは、金型の中が見にくい、材料の挿入、取り出しが行いにくいことがあり、やはり作業能力を低下させます、と同時に危険でもあります。
毎分ストローク数(spm)との関係では、spmとストローク長さは反比例の関係にあります。spmが大きくなるとスライドの慣性エネルギーも大きくなり、振動や騒音及び機械剛性に影響がでます。そのためストロークを短くして影響を避けるようにします。spmはストローク長さで限界が決まるともいえます。600spmを越える高速プレスでは、ストローク長さは10〜30mmくらいです。ストローク長さが200mmを越えてくると、spmは50以下が多くなると思われます。