スクリュープラグは、M8以下のサイズではねじピッチは並目、M10以上ではピッチを1.5mmに統一しています。これは、スクリュープラグをスプリングの押しねじとして使用するとき、ねじ径とスプリングの関係をわかりやすくする目的と、もう一つはねじ径に比例してねじピッチが大きくなると、ねじの有効山数との関係から、スクリュープラグの厚さもねじ径に比例して厚くしなければなりません。ねじピッチが同じであれば厚さを揃えることができます。このような観点で、スクリュープラグの規格は作られています。
金型に使われているスクリュープラグは【図1】に示すように5種類あります。スクリュープラグは六角棒スパナ(以下スパナ)で操作します。
基本形は(a)に示す形です。スパナ穴は止まりです。(b)はスパナ穴が貫通しています。(c)は基本形のスパナ穴に貫通した丸穴を設けた形です。
(d)(e)は座付きタイプで、スパナ穴の変化で分かれています。
【図2】はスクリュープラグの使い方を示したものです。
(a)はスプリングの押さえねじとしての使い方です。スクリュープラグの締め込み具合で、スプリングの強さを調節したいときの使い方です。
この使い方での注意点は、常にスプリングを圧縮しているようにしておくことです。スプリングを圧縮していないと、穴の中でスプリングが遊び、その影響でスクリュープラグがゆるんでしまう恐れがあるからです。
(b)は、ロックナットとしての使い方です。ロックナットは2つのねじの反力でねじがゆるむのを防ぐ方法です。使い方は【図3】の(a)(b)に示してあります。普通のスクリュープラグとスパナ穴が貫通したものを組み合わせて使います。
ロックナット操作は、まずスパナを【図3】(a)に示すようにして操作し、しっかりと締め付けます。その後、(b)に示すようにスパナをずらして、スパナ穴が貫通したスクリュープラグを締め込んでゆるみ防止をします。スパナ穴が貫通したものは、ロックナット用として開発されたものです。
もう一つのゆるみ防止が、座付きタイプのスクリュープラグの使用です。座面を穴に強く押し付けることで弾性変形が生じます。その力を利用して、ねじのゆるみをなくすように工夫されたスクリュープラグです。
【図4】の形は金型の中によくできる形です。【図】の例は絞り加工の工程をイメージしたものです。絞り加工では絞り油を使います。絞り油は金型のすき間を通ってスプリングの穴の中に入り込みます。抜け場がないと底に溜まって事故の原因となることがあります(溜まっているのは外から見えない)。この対策として、ロックナット用のスクリュープラグを応用利用する方法と、【図1】(c)の穴が貫通したタイプの利用が考えられます。【図1】(c)は油や空気抜きの目的で作られたものです。