射出成形金型:詳細設計
- 射出成形における3点セットは、計量や射出状態の良し悪しを決める重要な部品である。 本記事は以下のような方におすすめする。
- Question モールド金型特有のゲート加工などを効率化したい ゲート部の加工に放電加工で時間を掛けずに、また複雑な切削プログラムの使用を避けたいです。どのようにすればよいのでしょうか? Answer ピンポイントゲートブッシュの加工 ドリルによる下穴加工後に、ワークを旋盤に取り付け専用工具で加工します。 〔加工手順〕 数サイズのドリルにて段加工を行う。 ゲートのSR部、先
- プラスチック射出成形金型のキャビティ表面は、樹脂から発生するガスや腐食成分、大気中の水分などで鋼材の表面が酸化して腐食します。一度キャビティの表面が錆びてしまうと、錆を取り除くためには時間と費用がかかってしまいます。キャビティの表面を腐食から守るためには表面処理を施します。大気中には必ず水分が湿度として含まれており、金型や気温の温度変化によって金型表面に結露が生じて、結果的には錆や腐食が発生する
- 2012年末に発生した笹子トンネルの天井板崩落では、天井板を吊り下げているボルトや固定接着剤の疲労による破損や腐食が大きな事故に繋がった可能性が指摘されています。金型や射出成形機、周辺機械でも長時間の稼動や経時変化によって、機械や金型を構成している部品には寿命や疲労破壊、腐食が発生します。このような物理的な現象は科学的に必ず発生します。それらが発生した場合でも、人命や人体に大きな損害が発生しな
- エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)やスーパー・エンプラの中には、キャビティの表面温度が100℃を超える種類の樹脂が増えてきています。 キャビティの表面温度が90℃ぐらいを超えてしまいますと、水(お湯)による温度調節では通常、昇温と温度保持が困難になります。 一般には、下記の手段が採用されます。 (1)油温度調節 油による温度調節は、型板やキャビティに設けられた流路に、循環ポンプか
- ミスミ「スポット冷却パイプ」は、金型のキャビティやスライドコアを部分的にスポット冷却ができるように開発された商品です。 熱可塑性樹脂の射出成形では、金型のキャビティ表面温度を適切に維持することが精密成形や製品の表面光沢を実現するためには大変重要です。しかし、狭い部分やエジェクタピンなどが入り組んでいる部分の冷却は困難で多くの場合、冷却構造を設けないで金型を製作してしまうケースがあります。そうす
- エジェクタピンは、プラスチック射出成形金型では成形品を金型から取り外すために必ずといって良いほど使われている基本部品になります。射出成形金型から成形品を取り出すときの成形品の温度は、一般的には50~300℃ぐらいの温度になっているので、人間が手作業で成形品を取り出す作業は火傷を負ってしまいますから危険です。また、成形品は、樹脂の成形収縮によって金型の可動側(一般的には)に収縮の力で強固に抱きつい
- 金型を作って、成形試作を行ったところ、「ランナーの太さをあと少し細くしておけばよかった!」 とか、「左右のキャビティの充填バランスがどうしても取れないから、ランナーの太さを調整したいのだが…」といった経験はありませんか? 金型にランナーを機械加工して掘り込んでしまうと、それを細くするためには、金型の作り直しや、入れ子修正、溶接などの大掛かりでお金のかかる対応をしなければなりません。 かと
- コールドランナーで射出成形したときのゲート切断を型開き動作を利用して行うためのユニット商品です。 薄肉成形品やひけを嫌う成形品のゲートは、サイドゲートやゲート径の大きなサブマリンゲートなどを使用します。そうするとゲートの切断を後工程で行うのには苦労をする経験をされた方も少なくないと思います。 「型内ゲートカットユニット」は、パーティング面を閉じたままで、ゲート部がらせん溝に沿って回転し
- プラスチック射出成形金型のキャビティには、毎ショット高温の溶融樹脂が流入してきます。そして、その流入温度は、樹脂の種類によって適切な温度範囲が決まっています。 キャビティの全体の温度は、これらの温度範囲となるように冷却水やスチーム、カートリッジヒータ等で適切に保温されなけらばなりません。 ところが、コアピンやスプルーブッシュなどの一部分では樹脂から伝わってきた熱が徐々に累積していって、放熱
- プラスチック射出成形につきまとう永遠の課題の一つは、ガス抜きです。これまで60年間世界中でガス抜き対策が講じられてきました。ある程度の経験的な対策は確立されてきました。しかし、科学技術の進歩は、次々と新しい合成樹脂を市場へ投入できるようになってきています。新しい樹脂には新しい成形加工技術や金型技術が必要になりますが、それらが確立されるためには何回もの試行錯誤を繰り返さねばなりません。一方、量産
- 射出成形ではキャビティとコアの冷却が、生産性、生産コストそして品質安定に大きな影響を与えます。それは百も承知であっても、冷却水孔を設けるスペースがないからしかたがない、うまい冷却構造が従来の方法だと適用できないから仕方がない・・・。こんな悩みに解決策を提供できるのがミスミの「スポット冷却パイプ」です。 冷却水や加圧スチーム、冷却油などの流体を冷媒として金型内を循環させる温度調節機構は、射出
- 今回はこれまで解説してきた金型の熱損失について応用問題を計算練習してみましょう。 【問題】 横型射出成形機に使用するプラスチック射出成形金型(2プレート構造。コールドランナー方式)において、射出成形時に発生する熱損失を計算せよ。 ただし、モールドベースの材質は、S55Cとし、金型の温度調節方式は水冷とし水温の設定は55℃とする。金型の側面積の合計は、2250cm2とする。また、取付板の
- 今回は、金型のモールドベースの底面から射出成形機のプラテンへの熱伝達による損失について考えます。 金型は、射出成形機のプラテンにボルト、クランプ等で締結固定されて使用されます。そうすると金型の底面からプラテンへは接触によって熱伝達が生じることになります。 この熱伝達による損失は思いのほか大きく、金型のキャビティ表面の温度制御にも影響を与えることが知られています。 皆さんはモールドベースの
- 今回は、金型の側面からの輻射による放熱について考えます。 金型から大気中へ輻射される熱量は以下の計算式で表現されています。 Qr=As・ε・c((TTM/100)4-(TAT/100)4)
- 今回は、先回紹介した金型の側面からの自然対流により放出される熱量の計算例です。 【 問題 】 横型射出成形機に取り付けられたモールドベース(幅500mm×長さ400mm×厚さ230mm)から大気中へ自然対流により放出される熱量QCVはいくらになるか? ただし、金型の温度調節は水冷とし、冷却水の設定温度は60℃とし、室温は25℃とする。 【 計算例 】 まず、計算式は下記を使用する
- プラスチック射出成形金型の表面温度が、室温よりも高い場合には、大気中に自然対流と輻射により熱が放熱される。一方、金型が取り付けられている射出成形機のプラテンとの間では金型がプラテンよりも温度が高い場合には熱伝達によって放熱され、金型の方が温度が低い場合には吸熱することになります。 まず、大気中へ自然対流によって放熱される熱量を計算するには、以下の計算式を使用します。 QCV=As・
- 今回は、結晶性樹脂のプラスチック射出成形金型が溶融樹脂から受け取る熱量について、事例で計算をしてみましょう。 【 問題 】 ポリアミド6樹脂(ナイロン6)を成形材料とするプラスチック射出成形金型において、以下のような前提条件下、金型が金型内に射出された溶融樹脂から受け取る熱量はいくらになるか?
- 前回紹介したプラスチック射出成形金型が、溶融樹脂から受け取る熱量について、事例で計算をしてみましょう。 【 問題 】 ABS樹脂を成形材料とするプラスチック射出成形金型において、以下のような前提条件下、金型が金型内に射出された溶融樹脂から受け取る熱量はいくらになるか?
- ミスミ「冷却穴付センターピン」は、成形品のボス部や樹脂歯車の軸受部を離型させるために用いられる、エジェクタスリーブ構造に使用するセンターピンです。 深い穴形状をコアに彫り込んだ場合には、成形品を突き出す際に、一般のエジェクタピンだけでは離型させることが不可能な場合があります。このような場合には、エジェクタスリーブで成形品形状全体を真下から突き出さねばなりません。エジェクタスリーブをガイドして
- ミスミ「エコ・スプルーブシュ」は、スクラップとして廃棄されるコールドランナーを削減し、サイクルタイムを短縮できる効果があるスプルーブッシュです。 スプルーは、金型内へ射出成形機の射出シリンダーから樹脂を導くための導入路で、コールドランナー金型では必須の部分になります。しかし、樹脂の充填が完了した後はその効用を終えて、スクラップとなる運命にあります。 スプルーのサイズは、樹脂を流動させるた
- プラスチック射出成形金型では、高温のプラスチックから熱を受けたり、温度調節器やカートリッジヒーターから熱を受けますから、金型部品は熱によって膨張することになります。熱膨張によって金型部品の位置寸法や摺り合わせ位置は微妙に狂ってしまい、極端な場合には、かじりや破損を起こす原因となってしまいます。 金型部品の熱膨張量は、素材によって異なります。金型に使用される一般的な金属材料の熱膨張のしやすさ
- 金型を温度維持するためには、冷却水(温水)やカートリッジヒーターで熱エネルギーを型板やキャビティヘ供給しなければなりません。金型へ熱を供給するためには、必要な熱エネルギーの容量を計算しておく必要があります。"経験と勘"で金型を温度調節することで対応が可能な場合もありますが、新しい金型を新規に設計する場合には、技術計算である程度必要な熱容量を予測しておく姿勢は大切です。これから新しいプラスチックの
- 金型を温度維持するためには、冷却水(温水)やカートリッジヒータで、熱エネルギーを型板やキャビティヘ供給しなければなりません。金型へ熱を供給するためには、必要な熱エネルギーの容量を計算しておく必要があります。”経験と勘“で金型を温度調節することで対応が可能な場合もありますが、新しい金型を新規に設計する場合には、技術計算である程度必要な熱容量を予測しておく姿勢は大切です。これから新しいプラスチックの
- ミスミ「ランナーロックピン・スーパーハードロックタイプ」は、コールドランナーの3プレート構造金型で、ランナーロックをするために使用されるランナーロックピンです。 ランナーロック部の溝が2段に構成されており、かなり強固なランナーロックが可能となります。熱可塑性エラストマーやポリプロピレンなどの軟質プラスチックのように、ランナーロックのロック力を強力に発揮したい場合に適しています。 ランナ
- ミスミ「ランナー流量調整ピン」は、2個取り以上のコールドランナー金型で、キャビティ間の充填バランスを調整したい場合に活用できる部品です。 ファミリーモールド(2種類以上の成形品を1つの金型で加工する金型)では、各キャビティの体積が異なっているために、ほぼ同時に充填させるためにはランナーやゲートのバランスを図る必要があります。ランナー断面サイズやゲートサイズの調整は、金型の追加工を何回もしなめ
- ミスミ「ボールプランジャ・キャップタイプ」は、スライドコアの位置決めなどに使用する部品です。 従来よりスライドコア等の金型内で移動する部品の位置決めをするために、先端に鋼球が設けてあり、コイルスプリングで鋼球を前後させて位置決めできるボールプランジャが使用されていました。 今回新商品として開発された「ボールプランジャ・キャップタイプ」は、ボールプランジャ本体の底部につば部が設けてありますの
- ミスミ「二色成形用スライドコアユニット」は、二色成形用金型(二材質用成形金型)のアンダーカット部を処理するためのスライドコアユニットです。 二色成形では、固定側を共通化しておいた上で、一次側成形(最初の樹脂の成形)と二次側成形(後の樹脂の成形)を、可動側を回転やスライドさせて実施する方法が主流となています。可動側は、一次側キャビティと二次側キャビティの双方に対峙しなけらばならないために、スラ
- 金属製の金型部品は、使用中にさまざまな原因によって腐食が発生する可能性を含んでいます。金属材料が腐食する原因としては、以下の要因が考えられます。 1. 純化学的腐食 酸やアルカリなどの化学物質との化学反応によって、非金属化合物に変化する場合。 2. 電気化学的腐食 電導性の環境において、金属電池が形成されて発生する腐食。 異なる金属どうしが接触することによって陽極と陰極が発生し、
- プラスチック射出成形金型は、量産成形加工を続けていく途中で、部品の磨耗や破損などが必ず発生します。そのような場合には、部品交換や補修によるメンテナンスを行う必要があります。 メンテナンス事項には、一般的に下記のような内容があります。
- プラスチック射出成形金型に使用される金属材料の熱に関する性質のデータを示します。 冷却時間や成形品の表面転写性に関して金属の説的性質は密接な関係があります。
- プラスチック射出成形金型では、溶けたプラスチック材料を流動状態のまま金型の内部へ流入させてキャビティ内を充填し、充填完了後は冷却固化させて、成形品の形状に固定させるプロセスを経ることになります。 この一連のプロセスの中で、流動状態の間はキャビティの温度は高いほうが流動性が良く、低い圧力で安定した充填が可能になります。一方、冷却固化させる場合には、成形サイクルを短縮させて経済効率を改善させるた
- 先回に引き続き、プラスチック射出成形金型の成形品重量と成形品の最大寸法からゲート径を導く計算式を用いて、ゲートサイズの目安をを求める検討をしてみます。 問題 PBTガラス30%入り製の電子部品成形品金型があり、サブマリンゲートゲート1箇所で金型を設計したいと考えている。この場合、成形品の平均肉厚は0.6mm、重量が0.85gfになると想定される場合、サブマリンゲートの直径はいくらぐらいを
- 先回に引き続き、プラスチック射出成形金型の成形品重量と成形品の最大寸法からゲート径を導く計算式を用いて、ゲートサイズの目安をを求める検討をしてみます。 問題 PBTガラス30%入り製の電子部品成形品金型があり、サブマリンゲートゲート1箇所で金型を設計したいと考えている。この場合、成形品の平均肉厚は0.6mm、重量が0.85gfになると想定される場合、サブマリンゲートの直径はいくらぐらいを
- プラスチック射出成形金型の成形品重量と成形品の最大寸法からゲート径を導く計算式を用いて、ゲートサイズの目安をを求める検討をしてみます。 問題 ABS製の容器射出成形品金型があり、ピンポイントゲート1箇所で金型を設計したいと考えている。この場合、成形品の平均肉厚は1.5mm、重量が30gfになると想定される場合、ピンポイントゲートの直径はいくらぐらいを目安とすべきか? 検討例 以下の
- プラスチック射出成形金型でのキャビティへの樹脂注入口であるゲートの大きさを決定するためには、成形品のサイズ、体積、樹脂の種類、成形条件などによって、金型設計者が経験に基づいて意思決定する場合が多いと言われています。 概略のゲートサイズの目安を決めるファクターとしての計算式が確立していれば良いのですが、実際には上記のようなさまざまなファクターが複雑に関連しあっているために、技術計算でゲートサイ
- 金型デートマークセット−ダブルリングタイプは、インサイドアローと二重のリング構造で構成されています。二重のリングに書き込まれた文字情報を1つのデートマークセットで表示ができますので、省スペースでより多くの生産情報を成形品表面に転写させることができます。6年間の年表示と月表示がセットになっています。 また、6年間使用できますので、従来のインサイドアロー交換の手間が省け、コスト削減につなげることが
- ピンポイントゲートブシュ−内径テーパタイプは、ピンポイントゲートの二次ランナー先端部の形状を、テーパ形状に設計したゲートブッシュです。 従来のピンポイントゲートの二次ランナー先端部の形状は、SR形状(球状)になっている場合が大半でしたが、成形加工するプラスチックの種類によっては、ゲートが切断される際に、ゲート切断状況が「むしれ」を生じたり、「へそ残り」が生じたりする不安定な切断になる場合があり
- 金型の冷却に水を使用する場合には、型板やキャビティの内面に冷却水を循環させるための水穴を加工します。 水穴の表面は、ガンドリルやエンドミルで機械加工された面になっていますが、成形加工をした後は水穴の中に残った水分が錆びたり、水垢が表面に付着してしまいます。 水穴の表面状態が金属表面ではなく錆びたり水垢付着を起こしますと、伝熱効率が変化して、冷却効率が悪化します。 物理的な熱関係のデータ
- スプルーブシュは、射出成形機の射出ノズルから溶融したプラスチックを、金型内へ誘導するための流路を確保するためのブシュです。ミスミからも各種のスプルーブシュが規格化されて販売されています。 スプルーブシュのノズルが接触する部分をノズルタッチ部と呼んでいますが、この形状は一般的にSR(球状の面)形状で設計製作されています。 成形機の射出ノズルの先端SR寸法と、スプルーブシュのノズルタッチ部
- MEMSとは(MIcro Electoro Mechanical Systems、マイクロ電気機械システム)であり、マイクロマシンや分析装置、反応装置などの機器がこの分野に含まれています。また、バイオテクノロジー(生物化学)やゲノムテクノロジーなどの分野と、MEMSを含めたより広い分野は「マイクロ化学システム」とも呼ばれています。 このような新しい分野の機器は、薬品の合成、化学分析、DNA分
- ミスミ「ガス抜きストレートコアピン」シリーズは、プラスチック射出成形の際に発生するガスやキャビティ内部のエアーを、排出促進するための部品です。 プラスチックは、溶融して金型内部へ充填される際に、高速で流動しながら狭いキャビティの中を走り抜けていきます。特に最近では、プラスチックの素材にガラス繊維や難燃剤などの無機成分、化学成分が配合されていたり、新しいプラスチック素材でガスを発生しやすいものが
- ミスミ「超精級角エジェクタピン」は、コネクターや電子部品用金型に最適な、超精密な角エジェクタピンです。 電子部品関係は、日を追って軽薄短小化が進んでいます。成形品をキャビティから離型させるためには、エジェクタピンが使用されますが、角エジェクタピンでなければならない場合もあります。小型精密な成形品の場合では、より小さなサイズの角エジェクタピンが必要になり、かつバリを防止するために寸法公差もより
- ミスミ「位置決めストレートブロックセット-PL面取付・L寸ショートタイプ」は、金型の可動側−固定側の位置決めをより精密に実現するために開発された製品です。 プラスチック射出成形金型は、可動側と固定側に金型が開き、金型が閉じるときにガイドピンとガイドポストで概略の位置を決めながら金型が閉じていって、最終的にはキャビティとコアが閉じられます。この際に、キャビティとコアの相対位置が精密に位置決め
- ミスミ「ボス用コアピン−ガス逃げ穴付きタイプ」は、成形品にボス形状を作りたい場合に最適なコアピンです。 プラスチック成形品には、位置決めの目的や他のプラスチック部品と熱かしめ融着をするために、ボス形状を設けることがあります。OA機器のハウジングや家電製品の筐体などでは必須の形状になります。 ボス形状は、相手方の穴形状へ挿入しやすくするために先端部へC面取りを施したり、根元部の応力集中を回
- 金型を成形加工で使用している途中に、なんらかの原因で部品が破損したり、折れたりする事故が発生する場合があります。金型は機械ですから、機械を構成している部品がなんらかの原因によって破損することはありえることです。重要なことは、破損の原因がどこにあるのかを究明して、再発を技術的に防止することです。 破損原因があいまいな状態のままで、核心的な技術手段を講じないままに修理をしてしまうと、同じ内容の事
- プラスチック射出成形金型は、量産の成形加工を行っておりますと、ある確率で初期故障や偶発故障に遭遇する可能性があります。 前回の講座では、故障期について解説しましたが、今回は、平均故障間隔(MTBF)について説明します。 MTBFとは、Mean Time Between Failures の略称です。金型が故障してから次の故障が発生するまでの平均時間がMTBFとなります。したがいましてMT
- ランナーロックピン−ストレート・スタンダード(導入部付)タイプーは、ピンポイントゲート構造金型のランナーロックピンのバリエーションとして開発された商品です。 ピンポイントゲートは、一般に、3プレート構造金型を使用しますが、ゲートランナーを固定側から抜くためにランナーロックピンを使用します。 ランナーロックピンの先端部にはアンダーカット形状が設定されていて、ゲートランナーを強制的に抜く役割
- スプリングガイド付きプッシャーピンは、固定側(キャビティ側)に成形品が離型不良で残ってしまいやすい成形品のアシストをするために開発された部品です。 成形品の形状の関係で、固定側に肉盗み(肉逃げ)を設けなければならない場合等では、金型のパーティング面が型開きする際に、成形品がそれらに抱きついてしまい、固定側に残ってしまう不具合が発生する場合があります。このような現象を離型不良と呼んでいます。
- 刻印付きストレートコアピン−凸文字タイプ−は、成形品の表面に凹文字を転写させるために開発された商品です。 従来の刻印付きストレートコアピンを使用した場合には、所望する文字が成形品の表面から凸の状態で文字転写がなされていました。 成形品の表面から文字が凸となっておりますため、文字部分が他の成形品と勘合する部分や機能上凸形状が許可されない部分へは、刻印文字を配置することができませんでした。
- 小型電子部品や精密機械部品などの射出成形加工では、1個取り、2個取り、最大でも4個取り程度で小型モールドベースの金型を使用し、射出成形機の最大型締力も15〜5トンクラスを使用する事例が急速に増えてきています。 成形品が微小化していますので、溶融樹脂の流路であるランナーやスプルーもそれに伴って細くすることが必要です。 過剰な太さのランナーやスプルーは、成形材料を浪費しスクラップを増大させる
- 金型デートマークセットは、プラスチック射出成形品の表面に、製造年月日や樹脂の種類を転写するための部品です。 家電用品リサイクル法の施行や、プラスチック製品の分別回収などの対応を行う上では、重要な意義がある部品です。 ところで、従来の金型デートマークセットは、金型のキャビティまたはコアの上面から、デートマークセットを、あらかじめしまりばめに加工しておいた取り付け穴に叩き込む方法で、固定を行って
- 最近流行している新商品には、たくさんのプラスチック射出成形品が使用されていますが、そのいずれもが過去に生産された樹脂部品とは一味違っていて、特殊な形状や新しい樹脂を使用しており、過去の金型生産技術経験や射出成形加工経験では、対応が困難な事例が増加しています。 新しいプラスチック射出成形品の量産生産技術を開発するためには、金型の開発は避けて通れない関門です。 試作金型を起工して、技術上の問
- プラスチック射出成形金型は、成形加工を行った後で、分解清掃などのメンテナンス(保守点検作業)が必要です。 成形材料から発生する「やに」成分やガスが凝集したデポジットなどが、キャビティやコアの表面や分割面に蓄積します。 これらの成分は、金型の温度がまだ温かいうちは液状ですが、一度温度が低下しますと固化してしまい、そこから空気中の水分が付着して錆びや腐食が進行したりもします。 このような状態
- 超精密金型を設計し、金型を立ち上げねばならない場合、キャビティ・コアの設計や機械加工には、細心の注意を払わねばなりません。 しかし、うっかりしてしまうのが、エジェクタピンの取り付け孔の加工精度と、エジェクタピン自身の寸法精度です。 エジェクタピンは、成形品の一部を押すために、キャビティ空間に接する位置に配置されますから、エジェクタピンとコアの取付孔のクリアランス部分には、樹脂が入り込む可能性
- スライドコアがかじりを起こして、金型を破損してしまった経験はありませんか? スライドコアは、毎ショットごとに作動を繰り返し、スライドコアとスライドプレートやガイドレールの側面に接触を繰り返します。その間に、クリアランス部にはガスや脂(やに)、水分などが付着して、異常摩耗を起こし易い環境が徐々に形成されて行きます。 さらに、金型温度が上昇してゆくと、スライドコア自身や金型の部分が熱膨張してい
- 「ピンポイントゲートブシュ-小径タイプ-」は、精密小型のピンポイントゲート構造金型向けに開発された新商品です。 超小型サイズの歯車や時計部品、電子部品、精密機械部品などでは、ゲートブッシュの外径寸法がφ2mm以下でないと金型に配置できない事例が増えてきています。 その背景には、成形品の小型化、薄肉化、軽量化などのトレンドが影響しているものと推察されます。 ミスミのブシュは、段付き構造に
- 「エジェクタプレート戻り確認スイッチ」は、エジェクタプレートが元の位置に完全に復帰していることを確認するための装置です。 最近の射出成形機は、全電動式が主流になり、ハイサイクルで成形が可能になりました。その反面、金型が異常なく作動をしてくれないと、金型が破損してしまう可能性が高くなったとも言えるでしょう。 射出成形金型は、連続して成形加工を続けていますと「やに」やガス成分が金型の摺動部分
- 「エジェクタプレート早戻し装置」は、エジェクタプレートを、金型のパーティング面が閉じるよりも前に、元の位置へ復帰させるための装置です。 金型の構造によっては、スライドコアの移動ストロークの途中にエジェクタピンを配置しなければならない場合があります。このような構造の場合は、スライドコアが戻るよりも前にエジェクタピンが元の位置へ復帰していないとスライドコアとぶつかってしまい、金型を破損してしま
- 「ミニスライドコアユニット」は、成形品の外側アンダーカット部分を処理するためのスライドコア機構をコンパクトなユニットとした商品です。 従来のスライドコア機構は、 スライドコア ロッキングブロック アンギュラピン ガイドレール、センターレール バッキングプレート ボールプランジャ 等を組み合わせて設計製作するケースが大半でした。 特に、スライドコアとロッキングブロック
- スライドコア用のセンターレールは、比較的幅の広いスライドコアの往復運動の精密位置決めに用いられる部品です。 スライドコアは、射出成形時に金型が開閉する度に、往復運動をして、成形品のアンダーカット部分の金型からの取り出しを可能とする金型部品ですが、往復運動を繰り返しているうちに焼き付きや「かじり」が発生して、金型が動かなくなってしまったり、金型が破損してしまう事故が起きることもあります。
- プラスチック射出成形金型は、量産の成形加工で使用されますと、摩耗や錆び等の原因によって金型の機能が低下してゆきます。これらの機能低下を修復するためには、メンテナンス(保守管理)が必要です。 プラスチック射出成形金型のメンテナンスの重要ポイントとしては、下記のような箇所に留意することが推奨されます。
- 問題 ABS樹脂(ナチュラル材)を使用する射出成形金型において、樹脂温度が240℃、冷却水の温度調節器設定温度が60℃であった場合、キャビティ表面温度は何度になっていると推測されるか? ただし、キャビティ材質はS50Cとし、金型の冷却回路は、キャビティの大きさに対して十分な冷却能力があるものと仮定する。
- プラスチック射出成形金型のキャビティ表面温度は、成形品の寸法や外観を左右する重要なファクターです。 金型には通常、冷却回路が設けられており、冷媒(水や油)が供給されて、成形品を冷却します。 キャビティ表面温度は、冷媒の供給温度をコントロールすることによって制御されますが、冷媒の設定温度によって、キャビティの表面温度はいくらになっているのかを、計算によって概略推測することが可能です。 ■計
- 問題 【図1】に示すサイドゲートのゲートシール時間は何秒ぐらいと予測されるか? ただし、成形材料はABS樹脂(ナチュラル)、溶融樹脂温度230℃、成形品取り出し温度90℃、キャビティ表面温度50℃とする。 解答例 サイドゲートのゲートシール時間は、次式で予測できます。 ゲート形状が長方形の場合(サイドゲートやアンダーゲートゲート)には、次式が使用されています。
- 問題 【図1】に示すピンポイントゲートのゲートシール時間は何秒ぐらいと予測されるか? ただし、成形材料はABS樹脂(ナチュラル)、溶融樹脂温度230℃、成形品取り出し温度90℃、キャビティ表面温度50℃とする。 解答例 ピンポイントゲートのゲートシール時間は、次式で予測できます。
- 問題 成形材料がABS樹脂(ナチュラル材)である肉厚1.5mmの射出成形品を冷却するための必要冷却時間はどのくらいになるか? ただし、キャビティ表面温度50℃、溶融樹脂温度230℃、成形品の離型温度90℃とする。 解答例 s:成形品の肉厚 1.5(mm) α:キャビティ表面温度における樹脂の熱拡散率 α=λ/(c・ρ) λ:樹脂の熱伝導率(kcal/m・h・℃) c:樹脂
- 問題 成形材料がABS樹脂(ナチュラル材)である肉厚1.5mmの射出成形品を冷却するための必要冷却時間はどのくらいになるか? ただし、キャビティ表面温度50℃、溶融樹脂温度230℃、成形品の離型温度90℃とする。 解答例 s:成形品の肉厚1.5(mm) α:キャビティ表面温度における樹脂の熱拡散率 α=λ/(c・ρ) λ:樹脂の熱伝導率(kcal/m・h・℃) c:樹脂の
- 前回は、成形品の肉厚の平均温度が、ある一定の温度に冷却されるまでの冷却時間の予測を行う実験式を紹介しましたが、今回は、成形品の中心部の温度が、ある一定温度に冷却されるまでの冷却時間の予測を行う実験式について説明します。 成形品を金型から取り出した後でのいわゆる「後収縮」を小さくしたい場合には、成形品の肉厚の中心部がある一定温度に到達するまで金型内で成形品を冷却することが必要です。 成形品
- 今回は、電鋳製ピンポイントゲートブッシュを紹介します。 ピンポイントゲート用のゲートブッシュは、ゲート先端部の磨耗が発生した際に、部品交換をすることだけで容易にメンテナンスができる標準部品です。 ところで、射出成形加工におけるサイクルタイムは、ピンポイントゲート部の冷却時間が大きな影響を与えています。ゲート部が太いと冷却時間が長くかかりますので、できるだけ細い方が冷却時間を短くすることが
- ガラス繊維入りのエンジニアリングプラスチックを使用するピンポイントゲート構造射出成形金型では、ピンポイントゲート部が摩耗によってゲート穴が変形したり、拡大したりする不具合が量産成形時にしばしば発生します。 ゲート穴が摩耗してしまいますと、以下のような不都合が生じるおそれがあります。
- ストリッパー突き出し構造は、成形品にエジェクターピンの跡が残ってはいけない場合などに採用される突き出し構造です。 【図1】に示すようなアクリルやポリカーボネート等の、透明な光学用途部品などに採用されています。 【図2】には、ストリッパー突き出し構造の事例を示します。
- 構造・用途・使用事例 電気ヒーター エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)やスーパー・エンプラの中には、キャビティの表面温度が100℃を超える種類の樹脂が増えてきています。 キャビティの表面温度が90℃ぐらいを超えてしまいますと、水(お湯)による温度調節では通常、昇温が困難になります。 一般には、下記の手段が採用されます。 油温度調節 油による温度調節は、型板やキャビテ
- 350t以下の型締力の射出成形機では、全電動式射出成形機が急速に普及しています。全電動式射出成形機の持つ優れた特徴を最大限に引き出すためには、下記のポイントに留意した金型設計が重要になります。 (1)精密な位置決め 全電動式射出成形機では、金型の開閉を高速で行うことができますが、可動側と固定側のキャビティの位置決めを正確に行いながら、コアピンどうしの接触時の破損や異常摩耗を防止するために
- アンダーカット量の比較的小さな成形品の処理構造の一つとして「浮上コア構造」があります。 浮上コア構造は、スライドコア構造や傾斜ピン突き出し構造と比較しますと、構造がシンプルであり、金型の製作コストが低減され、さらに作動時のトラブル発生リスクも低く抑えることができます。 【図】には、浮上コア構造の例を示します。
- プラスチック射出成形金型は、量産の成形加工を行っておりますと、ある確率で初期故障や偶発故障に遭遇する可能性があります。 前回の講座では、故障期について解説しましたが、今回は、平均故障間隔(MTBF)について説明します。 MTBFとは、「Mean Time Between Failures」の略称です。金型が故障してから次の故障が発生するまでの平均時間がMTBFとなります。したがいましてM
- フールプルーフ(fool proof)とは、直訳すれば、多少言葉は上品でありませんが、「ばか防止」といったニュアンスとなります。 具体的には、人間がうっかりミスやポカミスによって誤って組み立てたり、分解したりしないような機構や形状のことを指します。 金型の事例説明しますと、極めて類似している2本のコアピンAとBがあったとします。メインコアに組み込む位置は、決まった位置です。 仮に、金型
- フェールセーフ(fail safe)とは、システム又はこれを構成する要素が故障しても、これに起因して労働災害が発生することのないように、あらかじめ定められた安全側の状態に固定し、故障の影響を限定することにより、作業者の安全を確保するしくみのことです。「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」、平成10年7月28日付け基発第464号、2(3)より) 金型や射出成形機などの
- 2個取りの場合、キャビティを配置する場合、スプルーに対して天地方向に配置するか、左右方向に配置するか迷う場合があります。 天地方向に配置した場合(【図1】)には、スプルーに糸引きが発生してしまった場合に、【図2】に示しますように、キャビティ掘り込み上に糸引き、またはスプルー+ランナーが重なり、誤って型締めした場合にキャビティのパーティング面を潰してしまう危険が伴います。 連続成形を行って
- スプルーに対してキャビティの配置が左右不均等な場合(【図1】の例)、キャビティの形状によっては、溶融樹脂の充填の際にキャビティブロックとコアブロックの相対位置が位置ずれを起こし、成形品の寸法が変化したり、バリが発生することがあります。 このような不具合の発生を防止するためには、【図2】に示すように、キャビティ彫り込みとは反対方向にテーパーブロックセットを配置することにより位置ずれを防ぐ
- 射出成形金型の可動側と固定側の位置ずれを防止するためには、ガイドポスト−ガイドブッシュを使用したり、「位置決めブロックセット」、「テーパブロックセット」を使用したりしています。 型板の「キャビティ取り付け用ポケット彫り込み位置」と「ガイドピン」、「ガイドブロック」の位置関係で考えた場合、可動側型板のみ若しくは固定側型板のみでは、位置精度が管理されていたとしても、可動側型板と固定側型板を合わ
- サポートピラーは、可動側型板の底面の射出圧力による、瞬間的なたわみを防止するために取り付けられる支柱のことです。 可動側型板のたわみを低減するためには、以前に解説しましたように、適切な型板底面の厚さを確保することが基本となりますが、サポートピラーを用いて、補強する手法も経験的に多用されています。 サポートピラーは、通常は、円柱状の炭素鋼(S50C)非熱処理材やSKS3熱処理(54HRC程
- プラスチック射出成形金型には、溶融樹脂の充填の際に高い内部圧力を受け、また型締めの際にも高い圧縮応力を受けます。さらに、大きな金型になると自重により曲げ応力を受けたりもします。 外部や自重による応力に対して、変形や破壊が発生しないようにするためには、金型の剛性を強くする必要があります。 ここで、剛性(ごうせい)について、基本に立ち返って再認識をしてみたいと思います。 剛性(Rigid
- 前回解説した金型部品の熱膨張について、ケーススタディを行ってみましょう。 問題 20℃の機械加工室において製作されたコアピンの全長が30.52mmであった。このコアピンを150℃に昇温させた場合、熱膨張によりどのぐらい伸びるか? ただし、コアピンの材質は、SCM440系プリハードン鋼とする。 解答例 金属の熱膨張に関する計算式は、下記の通りです。 この式に数値を当てはめてみまし
- コアピンの樹脂圧力による、曲げ変形の基本計算式の考え方を説明します。 射出成形では、キャビティ内部に高い充填圧力が作用しますので、コアピンなどの細長い形状部品は、変形したり、場合によっては折損する事故が発生します。 コアピンに作用する圧力は、溶融樹脂の流動パターンやゲート配置等によってケースバイケースでありますから、正確な強度計算は実際はかなり難解な計算となってしまいますので、通常は、圧
- 生産ショット数の多い金型では、エジェクタピン穴が磨耗し、成形品にバリが発生することがあります。 バリの修正のためには、金型の可動側コアの入れ子修正や、新規製作による交換が主に採用される方法ですが、いずれも多大な時間と修正コストが必要になります。 このように、あらかじめショット数が大きく見込まれる金型では、エジェクタピン部の摩耗を見越して、メンテナンスが速やかにできる金型構造が推奨されます
- これからのプラスチック射出成形金型では、成形品の形状を正確に、安定して成形することは最低限のスペックとしてとらえられ、さらに成形サイクルをいかに短くできるかが金型の評価を左右することになるでしょう。 通常、成形サイクルの工程の中で最も大きなウエイトを占めるのが、冷却工程です。 冷却工程の時間を短縮するためには、溶融樹脂の充填が完了した後のキャビティ表面からの熱を効率的に奪い、成形品表面温度