曲げ加工では、材料がダイ肩半径(またはパンチ肩半径)部を滑りながら移動して曲げられます。このときに肩半径が小さいと材料にかかる負担が大きくなり、キズを発生させることがあります。この現象は材料の板厚が厚くなるほど顕著になります。また、めっき付き材料等でも同様です。加工キズを減らすには肩半径を大きくすることも対策となりますが、材料が肩半径上を滑ることをなくすことはできません。
【図1】に示すV曲げ構造は、材料が肩半径上を滑ることなく加工できる構造です。ノックアウトに取り付けられたヒンジが特徴です。【図1】(a)に示すように、材料はヒンジの上に置かれます。パンチが材料にあたるとノックアウトが押されて下がります。このとき材料はヒンジと一緒にダイ肩上を滑り閉じるように移動し、曲げを進行させ【図1】(b)の形で加工完了します。材料はヒンジの上にあるため、ダイ肩を滑ることなく曲げられるため、曲げキズが発生しません。金型構造は少し複雑なりますが、きれいな製品を作ることができるようになります。