ダイプレートはダイを構成するプレートです。最もシンプルな形が【図1】に示した一体型構造です。ダイとして必要な形状を全て作り込みます。プレートを小さくすることができます。必要精度を作り込む必要があること、メンテナンス(再研削)のときにプレート全体を研削するので、だんだん薄くなってしまう。等の問題があります。中量から少量に適した形といえます。
【図2】は、入れ子式(インサート式)のダイプレートです。ダイを構成する部分をいくつかのブロックに分けて形状を作り、入れ子とした例です。生産量が多くダイの材質を超硬等の特別なものを使いたいときや、メンテナンス(入れ子のみを研削する)を配慮したときの構造です。この例のようなブロック式にすると、比較的金型をおおきくしないで済みます。しかし、入れ子の作り方は易しくありません。ワイヤ放電加工を主体とした金型作りに有利です。
【図3】は、やはり入れ子式ですが、入れ子を作り易くし、かつ、メンテナンスも容易にしようとの考えのときのプレート構造です。
丸穴はボタンダイが使えるようにし、ブロック状の入れ子もシンプルな形状となるように工夫した例(サイドカット部分)です。このようにすることで個々の入れ子形状はシンプルとなり作り易くなりますが、プレートの強度の関係から必要なスペースは大きくなります。
一体式と入れ子式では、一長一短があります。順送り型では送り誤差がわずかですがでます(例えば、パイロット穴とパイロット径の差分)。ステージ数が多くなると、この誤差の影響を受けやすくなります。また、材料の横曲がり(キャンバ)の影響や、材料送り時の挫屈がおきやすくなる等の問題もあります。
このようなことから、金型はできるだけ小さい方が、順送り型では信頼性が高まるといわれています。無理に小さくすると金型の破損事故が多くなります。
ダイプレートの設計に関心が多く集まるのは、このようにさまざまな面から検討することが必要なためです。