ストリッパガイドブシュ(ブシュ)を使うときには、【図1】に示す2つのすきまに注意しなければいけません。ポストとブシュのすきま(ベアリングすきま)と、ブシュとプレートのすきま(接着すきま)です。
ベアリングすきまは、潤滑油の粘度や無給油タイプなどで基本的には変化します。長期間使用していると、磨耗でこのすきまが大きくなります。精度維持のためには定期的な交換が必要です。このすきまは、上型と下型の関係精度に直接影響します。薄い板材の打ち抜きでは、抜きクリアランスに直接影響を与えることになります。無理にすきまを小さくすれば、焼き付きを起こしやすくなります。
接着すきまは、接着剤の特性から決まることが多いです。接着式のブシュは、ポスト基準で組み立てられることが多いと思います。組立状態は【図2】に示したようになります。
接着すきまはブシュに対して均一に納まるとは限りません。すきまの大きい、小さいができるのが普通と考えるべきでしょう。そうすると、2つのプレートにずれがでることになります。ずれは当然プレートの穴にも連動しますから、2つのプレートの関係穴もずれることになります。この穴を貫通する部品(パンチ等)が入るとすれば、垂直が保てずにせった状態となり、金型精度、寿命を悪くします。金型部品とプレート穴の関係、抜きクリアランス等と接着すきまの想定されるずれ量との関係に注意して、ブシュ、金型の組立方法を工夫する必要があります。
インナーガイド構造は、正しく使えば非常によい結果が得られますが、間違えると思わぬダメージを受けます。その問題部分の多くがすきま管理といえます。この点をよく理解して、金型精度にあった使い方の工夫をしましょう。
生産量が少ないが精度を必要とする金型では、【図3】に示すようなことも行われます。
コストを下げることもありますが、管理するすきまを一つ少なくして、金型精度を高めることをねらう場合もあります。