丸パンチの植え込み部(軸=D)は、パンチプレートの穴に入れられ保持されます。保持の方法には【図1】に示す固定ストリッパ構造(可動ストリッパ構造でパンチの先端をストリッパでガイドしない場合も含む)の場合と、【図2】に示すパンチ先端を可動ストリッパでガイドする構造の2つのタイプに分かれます。説明します。
【図1】の固定ストリッパ構造の金型では、パンチはパンチプレートで位置と垂直を保たなければいけないので、丸パンチの入る穴は圧入条件の穴とします。「締め代」は0.005mm〜0.01mm程度とすることが多く、はめあい公差を用いることは意外と少ないです。パンチプレートに少ないパンチを立てるときには、はめあい公差を用いても問題はありません。しかし、多くのパンチを立てるときには、はめあい公差を使うと圧入が強すぎてパンチプレートに反りが出ることがあります。このような問題から締め代を一定にして(はめあい公差で加工するより穴加工は難しくなる)圧入による影響を小さくし、かつ、パンチの保持はしっかりしたものにするように穴の条件を決めます。
座面寸法(H)は5.3mmとしていますが、これは標準丸パンチのつば寸法の公差が+0.3/0となってきているところから決めています。できれば、パンチのつば寸法は5.00mm0/-0.02mm程度に仕上げ、H寸法は5.00mm程度に仕上げた方がよいです。H寸法とパンチつば寸法のガタが大きくてパンチが軸方向に動くのはあまりよくありません。
【図2】はパンチの先端をストリッパでガイドする構造(ストリッパ基準)としたときの各穴寸法です。パンチP寸法に対して、ストリッパ穴はP1と示した程度とします。数値の大きさと抜きクリアランス(被加工材の板厚)は比例します。パンチプレート穴(D1)は軸に対してゆるくします。このようなパンチの固定方法をパンチフリー固定法と呼ぶこともあります。ストリッパ基準のパンチ保持は、パンチとダイの関係がパンチプレート基準の固定方法よりよいとされています。
H寸法の関係は【図1】と変わりありません。
パンチ先端をストリッパでガイドし、かつ、パンチの軸をパンチプレートに圧入する構造とすることもありますが、金型製作はかなり難しいものになります。