金型に使われる丸部品と呼ばれるものは、現在では製作することが少なく、標準部品として購入して使用することが多いと思います。そのために、プレートに埋め込まれる部分の寸法(植え込み部寸法、ここでは軸寸法と呼びます)は整理されています。整理の方法は標準数(JIS Z 8601)を基にしています。標準数にはR5、R10、R20及びR40と呼ぶ基本数列があります。【図1】に示すような丸部品では、R20の基本数列を参考に軸寸法が決められています。
決められた過程はともかくとしても、この軸数値を頭に入れておくと金型設計は楽になることが多いです。プレス加工する製品の大きさから金型のプレートサイズが決まります。その後に、プレートの空間にさまざまな軸部品を配置しますが、プレートの大きさと軸寸法のバランスを取りながら決めていきます。この作業が楽になると言うわけです。
次に、部品と穴の関係について整理しておくと、更に金型設計は楽になります。軸と穴の関係は「はめあい」で、「しまりばめ」(圧入)、「すきまばめ」(軸に対して穴径が大きくゆるい状態)そして「中間ばめ」(両者の中間的な軸と穴の関係)の3タイプがあります。例えば、丸パンチをパンチプレートに圧入で取り付けると考えたときに、その都度「締め代」を考えていたのでは、金型設計の信頼性が安定せずに困ります。
穴の寸法は軸-0.005mmまたは軸-0.01mmといったように数値を決めておくと、設計スピードも上がるとともに、穴の加工工具や加工手順も統一されるようになります。このような内容を意識的に行うことを標準化と呼びます。CAD/CAMで金型製作を考えるときには、軸寸法を基準として用途に応じて穴寸法を決めておくと、金型の設計製作が効率よくなります。