順送り加工では、送り長さを安定させることが大切です。送り長さの変動は、製品精度に直結します。【図1】にその内容を示します。
送り装置が使えないようなときに採用する送り長さの決め方が、サイドカットです。材料の縁を送り長さと同じ長さで切り欠きます。切り欠いた端部をストッパに当てるようにすることで送り長さを決めます。しかしこの方法だけでは送り長さにバラツキが発生する可能性がありますから、パイロットで送り長さを修正して、正確な送り長さとします。
送り装置で材料送りを行うときには、サイドカットは無くてもよくなります。しかし、加工のはじめのときの作業をしやすくするために残しておくこともあります。また、正確な材料幅を作りたいときにも採用することがあります。
【図1】に示したパイロットは、製品となる穴を利用して行っています。このような形を「直接パイロット」と呼びます。パイロットで送り長さを調整するときに穴の縁を強くこすります。穴にこすれキズや変形を起こす可能性があります。製品の穴が変形してしまうことになるわけです。
これが気になるときには【図2】に示すように、スクラップとなる部分にパイロット専用の穴を作り、これを利用します。このような方法を「間接パイロット」と呼びます。よけいな穴加工が必要となりますが、製品の穴には影響が無いの、で品質に問題が無くなります。