製品加工の工程設計を終えると金型の大きさが見えてきます。一般的には【図1(a)】のように1枚のプレートで金型を作りたいと考えます。【図1(a)】に示すA、B寸法が、工作機械の加工限界以内であれば問題は無いのですが、注意を払わずに設計すると、工作機械の加工限界を越えてしまう問題が起きます。プレートの加工では、粗加工用のフライス盤、面加工用の平面研削盤、穴加工用のフライス盤やマシニングセンタ及びワイヤ放電加工機などの工作機械の関わりが考えられます。それぞれの工作機械には、最大加工寸法や積載重量制限といったものがあります。金型を構成するプレートの大きさや重量が工作機械の制限範囲内となるように設計することが、作りやすくメンテナンスしやすい金型とすることができます。プレートの最大寸法を決めておくと、工程設計段階で分割位置を考慮した設計とすることができ、【図1(b)】のようにバランスの取れた金型とすることができます。
細かな部分に対する注意も必要です。例えばブロック部品では【図1(c)】に示すような溝を求めるとき、エンドミル加工や研削加工を想定したときには、工具や砥石との関係に注して決める必要があります。同様に【図1(d)】や【図1(e)】のようなこともあります。【図1(d)】の穴加工で、精度を要する穴では、Z寸法はd寸法の3倍程度が経済的な限界と考えられています。このような加工限界の認識は、経済的に必要精度を求める。安全に部品加工できるようにすることにあります。