表面処理:めっき
- 水素脆性を測定する方法として、次のような方法もあります。 (5)製品を用いての遅れ破壊試験 めっきした製品が、めっき工程中で吸蔵した水素により水素脆性破壊を起すか否か、また、ベーキング処理によって水素脆性が除去されたか否かなど、これらのことを最終的に確認するためには、実際の製品を用いて、遅れ破壊試験を行って確認しておくことが必要です。 このことは、破壊事故が起きた際の原因究明や、製品の
- 水素脆性を測定する方法として、次のような方法もあります。 (4)ローレンス ゲージ(Lawrence Hydrogen Detection Gage) ボーイング社の技師であったローレンス氏と高田氏の共同により開発された試験法で、めっき浴の管理、航空機ランデングギアーの洗浄剤、ペイント剥離剤などが、水素脆性に安全であるかどうかを試験するために開発されました。 測定の原理は、鉄の壁をも
- 水素脆性を測定する方法として、次のような方法もあります。
- 金属を酸洗いすると、酸によって金属が溶解して水素を発生します。また、電解脱脂や電解酸洗い、電気めっきでも水素が発生します。この発生した水素が素地金属、特に鉄鋼に吸収されて鋼を脆くします。この現象が水素脆性です。水素脆化した製品は、ある荷重が負荷された状態が維持されると、やがて破壊が起こります。表面処理された鉄鋼が、どの程度水素脆化したかを知る、測定法を調べてみましょう。 (1)デルタゲージ
- (8)ベーキング処理に関する規格 (1)ISOの規格 ISOでは、鉄鋼上の電気亜鉛めっきの水素脆性除去の方法を、次のように規定しています。 発注者より要求があった場合、水素脆性による破損の危険を低減させるために、ある種の鋼に対しては、下記のような熱処理を施さなくてはならない。 また、引張強さが1500N/mm2(ないし相当する硬さ1)以上の鋼に対しては、通常の方法によって亜鉛の電気め
- (6)鋼の硬度とベーキングの効果 ベーキング処理の効果は、素材である鋼の硬度によっても異なります。硬度が高いほどベーキングの効果が悪く、硬度が低い場合には、良い結果が得られる傾向があります。 これは、ベーキングにより鋼中の水素が放出したのではなく、硬度が低い場合には鉄鋼表面の水素がベーキング処理によって鋼の内部に拡散移動し、鋼表面の水素濃度が破壊限界以下になるためと考えられています。 光
- (2)めっき皮膜とベーキングの効果 ベーキングの効果は、めっき皮膜の水素透過性と密接な関係をもっています。めっき皮膜は、金属ですからいろいろな結晶構造をもっています。この結晶構造が、水素透過性と関係しています。 亜鉛やカドミウムの結晶構造は、最蜜六方構造であり、このため水素透過性が低く、ベーキング処理で脱水素処理が難しいとされています。従って、航空機部品などでは、ポーラス・カドミウムめっき
- 水素脆性の危険のある製品は、通常めっき後に、脱水素処理としてベーキング処理を行なっています。ベーキング処理は、一般に190〜220℃の炉中で加熱して、水素を追い出します。加熱する時間は、めっきの種類や前処理、皮膜厚さ、鋼種、素地の表面状態などにより異なります。 (1)めっき前処理とベーキングの効果 前処理で全く水素を吸蔵していない素地に亜鉛めっきを施した場合と、前処理で水素を吸蔵した素地
- 【図1】に各種めっきにおける水素脆化率を示しました。電気めっきにおいては、製品を陰極にして電解するため、水素脆化の可能性は容易に想像できますが、電気を使わない無電解ニッケルめっきでも中程度の水素脆化は発生します。これは直流電気の代わりに使われる還元剤の酸化により、水素が発生するためと考えられます。 またクロムめっきは、他のめっきのように可溶性陽極(亜鉛やニッケル陽極)を使って金属イオンを供給
- 酸洗などの前処理で鋼中に侵入した水素は、吸蔵した直後であれば鋼の表面に留まっていると考えられるので、めっきなどの皮膜が形成される前に水素を放出させた方がよいです。酸洗後放置するだけでも、【図1】に示すように、徐々に放出します。 水素の拡散移動は、温度が高いほど早まるので、加熱すれば水素放出時間は短縮できます。通常、酸洗の後に、アルカリ洗浄の工程があり、これは60〜70℃と比較的温度が高
- 酸洗は、鉄鋼表面の錆やスケールを除去するために行いますが、鉄鋼の過剰溶解を防ぐ目的で、酸洗抑制剤としてインヒビターが使われてきました。実はこれらは、鉄の溶解を防止すると同時に、水素脆化防止の働きもしているのです。 インヒビターを添加しない塩酸酸洗では、次のような化学反応が起きています。
- 水素原子は、すべての原子のなかで最も小さい原子で、その大きさは(1.06オングストローム=1.06×10-10m)であると云われています。一方、金属の格子間隔は2〜3オングストロームでありますから、水素原子は、容易に金属に侵入することができます。 例えば、鉄鋼の酸洗の工程では、通常、硫酸や塩酸など強酸の水溶液が用いられますが、これらの酸は鉄鋼の表面を溶解します。そのとき、鉄の溶解と水素イオン
- 前処理も含めた湿式表面処理において、水素の発生は、次のようなときに起きます。 例えば酸洗工程では、次のような反応が起きます。 FeO + 2HCl → H2O + FeCl2(酸化物だけの溶解) Fe + 2HCl → 2H+ + FeCl2(鉄鋼も溶解)
- (2)めっきの電流密度 めっき槽内で、陽極から陰極に向かって流れる電流の強さは一様ではありません。両極の形状や表面積、1本の引っ掛けでは、懸垂されている上下の位置、両極の相対する距離、めっき液の流動状態や温度分布などによって異なります。 そしてめっき皮膜の電着速度に最も大きな影響を与えるのが、陰極電流密度(A/dm2)です。 【図1】に、これらの関係を示しました。 電気の性質と
- (1)引っ掛けの電気抵抗 電気めっきの方法を大別すると、引っ掛け(ラック)めっきとバレル(回転)めっきにわけられます。引っ掛けめっきの場合を例に、バラツキの発生する要因を説明します。 通常、電気めっきは、【図1】に示すように、めっき浴を満たしためっき槽に、めっきする製品(品物)を引っ掛けにセットして浸漬し陰極とし、一方めっきする金属を浸漬して陽極とし、両極間に直流電源(整流器など)から直
- めっき皮膜の膜厚管理 めっき皮膜の品質管理のなかで、最も重視されるのは、皮膜厚さの管理です。10μmの亜鉛めっきを発注したのに、納入された製品の膜厚は8μmくらいしかなかったなど、昔から今日に至るまで、この種のトラブルはなくなってはいません。そこで、皮膜厚さの管理はどのように行われるか、をみてみましょう。
- (1)自然冷気の活用 アルミニウムの陽極酸化処理工場など、電解浴の冷却装置と「冷水貯槽」を有する工場では、冬季の外気温度を利用して冷水をつくることができます。 冬季の外気温度は、地域によって異なりますから、この方法が採用できない地域もありますが、寒くなるところであれば、採用は可能です。 自然冷気の活用システムを【図1】に示します。このシステムの基本は、冷水貯槽の冷水を、クーリングタワーを
- (2)ヒートポンプの活用例 陰極(または陽極)電流効率の低いクロムめっき、亜鉛めっきやアルミニウムの陽極酸化処理のように、ジュール熱によって発熱し、浴温維持のために冷却を必要とする表面処理工程では、一方において脱脂、エッチング、湯洗、封孔、乾燥など、加熱を必要とする工程があります。 従って、これら両者の熱需要を上手にマッチングさせれば、冷却で得た熱を加熱に利用することが可能になり、大幅な加
- (1)ヒートポンプの原理 クロムめっきやアルミニウムの陽極酸化処理のように、溶液の電気分解を伴う表面処理工程では、電流効率が低いため、皮膜生成を伴わない電力は、ジュール熱となって発熱し、浴温を上昇させます。 従って、浴温を一定に保つためには、電解浴を冷却することが必要です。従来は冷凍機を使ってチル水(冷水)をつくり、それを熱交換器に循環して、電解浴を冷却しておりました。この場合、ジュール熱
- (1)金属の比熱 水を使う湿式の表面処理工程での熱収支を考えてみましょう。いま、次に示すようなめっき工程について、複雑なことを除いて単純に考えてみます。 めっき処理の条件は、室温20℃、アルカリ脱脂浴温55℃、電解脱脂浴温55℃、ニッケルめっき浴温60℃、水洗温度20℃、酸洗浴温20℃、処理金属:黄銅素地、処理量:3000Kg/日とします。 この工程における熱の動きを考えてみますと
- (3)フロート材による省熱対策 前回、常に開放されている液面であり、且つ、強制蒸発の効果の高い局所排気装置の設置された浴槽での熱損失防止対策の、ミスト防止剤の使用による省熱対策を紹介しましたが、今回は、液面にフロート材(浮き)を浮かべることによる省熱対策をお話します。 耐食性に優れ、処理液よりも軽いフロート材を、液面に浮かべて、液面と空気が接触するのを遮断して、水
- (2)ミスト防止剤による省熱対策 常に開放されている液面であり、且つ、強制蒸発の効果の高い局所排気装置の設置された浴槽での熱損失防止対策には、次の二つが行われています。
- (1)液面からの熱損失 表面処理工程の特徴は、各種処理浴の液面を、製品の処理のために、常に開放しておく必要があることです。保温や保冷のために、頑丈なフタをしてしまえば熱損失は防止できますが、仕事はできません。 前回、処理槽の槽璧や槽底部の保温・保冷対策についてお話しました。これらの対策は、現在の実用上の技術や資材の提供から、これ以外の方法は見当たりません。ましてや、槽類の多くは、一度設置す
- (1)乾き度の高い蒸気を ボイラーで発生した蒸気には、乾き飽和蒸気、湿り蒸気、過熱蒸気などがあることは先に述べました。このうち、表面処理工程で必要とされる蒸気は、蒸気表に示した乾き度100%の乾き飽和蒸気です。 しかし、通常、ボイラーの出口で乾き飽和蒸気を送りだしても、輸送の途中に熱損失がありますので、蒸気の乾き度は低下して(湿り度は増加)しまいます。蒸気の乾き度が低下すると、蒸気のもつ潜
- (3)蒸気の減圧による省エネルギー 前回蒸気表で、各蒸気圧力における蒸気のもつ潜熱・顕熱の重量当りの熱量を示しましたが、この【表】を使って蒸気節約の例を示します。 通常、小型ボイラーでは、蒸気圧力0.9〜1.0Mpa・Gの蒸気が発生するように燃焼管理されています。この程度の圧力制御が、経済的に管理できるからです。 また、めっき浴などを加熱する加熱管や熱交換器は、耐食性の高いチタンやニ
- (2)蒸気の持つ熱量 それでは、蒸気は具体的にどのくらいの熱量をもっているのでしょうか。これを示したものに「蒸気表」があります。 蒸気表は、圧力を基準にしたものと温度を基準にしたものがあり、それも絶対圧力(Mpa)で表示されています。 本表では圧力基準で示しています。通常使われている蒸気ボイラーの圧力は、圧力計で表示されるため、ゲージ圧力(Mpa・G、圧力計の読み値)を基準にした温度・熱
- (1)蒸気の性質 常温の水が、蒸気になる様子を【図1】に示します。まず、密閉容器に15℃の水を入れ、加熱します。水の温度は次第に上昇して100℃に達し、沸騰し始めます。更に加熱を続けると温度は変わりませんが、水は蒸発して蒸気になり、水が全部蒸気に変わると温度の上昇が始まります。熱量単位の表示はキロカロリー(KCal)になっていますが、現在はキロジュール(KJ)表示になっています。
- (5)燃焼の空気比管理 ボイラーの熱効率を向上させるためには、燃焼の効率を高めなければなりません。通常、燃料には液体燃料や気体燃料が使われますが、これらのもつ炭素(C)や水素(H)などのエネルギー性物質が、熱を必要とする場所で、すべて熱エネルギーに変換されることが必要です。 燃焼とは、可燃性物質が空気中の酸素と化学的に化合して発熱する現象です。可燃性物質のすべてが燃焼して100%の熱を発
- (4)ボイラー効率の向上 パージ時間をどの位にするかなど、ボイラー燃焼サイクルの動作機構は、タイマー式や機械式など、ボイラーメーカーによって異なりますが、大幅な変更はほとんど不可能です。それは安全に関する機構であるからです。 前回ご紹介した、あるボイラーの運転状況を【図1】に示します。 この状態におけるパージ率は59%でありましたから、燃焼率100-59=41%を向上してボイラーの
- (3)ボイラーの燃焼管理 前回ご説明したように、ボイラーの燃焼では、着火の前後にプレパージとポストパージがあり、安全のために炉内の未燃ガスの追い出しを行います。このことは赤熱した炉内の耐火材に送風するわけですから、冷却され大変な熱損失になります。 ある工場のボイラー運転状況を調べた結果を【図1】に示します。これは、ボイラーが消費する電流を時系列で記録したものです。 図で明らかなよう
- (2)ボイラーの燃焼サイクル ボイラーの燃料には、プロパンガスや都市ガスなどの気体燃料、灯油、A重油などの液体燃料が使われています。これらはいずれも、着火温度の比較的低い可燃性の危険物ですから、燃料に際しては、最優先に安全な燃焼方式が求められます。これを、ボイラーの燃焼サイクルといい、法令で規定されています。これからボイラーの燃焼方式について考えてみましょう。【図1】に、あるボイラーの給水・
- (1)ボイラーの負荷率と熱効率 ボイラーの熱効率とは、燃料のもっている熱エネルギーが、どの位の割合で蒸気になったかということです。 各種燃料の保有する熱エネルギーは、その化学成分から計算できますし、実際に測定した値を仕入れ先から簡単に入手できます。燃料の使用量は、油量計やガス流量計で分かります。 しかし、蒸気発生量の把握はなかなか困難のようです。大手企業では蒸気流量計が設置されています
- ボイラーにはいろいろな種類がありますが、表面処理関係で使われているボイラーは、貫流ボイラーか水管式ボイラーの小型のものが多いようです。 ボイラーの機能を簡単にいえば、水を燃料によって加熱して蒸気をつくり、それを加熱対象に輸送して、相手を加熱するためのもので、燃料のもつ熱エネルギーを水を媒体として相手に伝える熱交換器であるといえます。 【図1】に、貫流ボイラーの原理を示しました。給水ポンプ
- 表面処理工程内において、電力を有効に使うために、次のような対策がとられています。 (4)直流配線回路の点検 【図1】は、亜鉛めっきラインの整流器からめっき槽までの直流配線回路の直流電圧測定点を示したものです。デジタル式テスターで測定して、【表1】に示す結果が得られました。 AB両工場は、やや同じ規模の亜鉛めっき状態ですが、電気エネルギーの使われ方には大きな差があります。
- 表面処理工程内において、電力を有効に使うために次のような対策がとられています。 (1)浴組成と陰極電流効率 前回、低電流効率の例としてクロムめっきをご紹介しましたが、電流効率を高めるために浴組成を変更するという手段があります。【表1】に示すように、従来から使われてきたクロム酸と硫酸で構成されるサージェント浴よりも、クロム酸とケイフッ化物によるフッ化浴のほうが優れていることが分かりま
- 一口に表面処理といっても、長尺物のサッシュやパネルを陽極酸化処理する工場と、電子部品の金めっきなどを行う工場では、電力エネルギーの原単位には大きな相違があるし、また電気めっき工場と塗装工場では、使用するエネルギー源が異なり、前者が電力であるのに対し、後者は熱であります。 また、電力の用途をみても、金属の還元反応や酸化反応に使用される直流電源(交流の場合もある)が大半を占めるものもありま
- 通常、建材などアルミニウム合金のアルマイト処理は、次のプロセスで行われています。 このうち、陽極酸化(アルマイト)工程では、通常、硫酸電解浴中で、エッチングによって表面調整されたアルミニウムの表面が、電気化学的に溶解して、陽極で発生する酸素により酸化膜を形成させます。 電解時間の経過に伴って、陽極酸化皮膜は成長しますが、常時硫酸浴中に晒されるため、先に成長した皮膜は、化学的に溶
- 通常、建材などアルミニウム合金のアルマイト処理は、次のプロセスで行われています。 脱脂→水洗→エッチング→水洗→デスマット→陽極酸化→水洗→封孔→水洗→乾燥 このうち、エッチング工程では、40〜60℃に加熱したか性ソーダ溶液でアルミニウムの表面をエッチングして、自然にできた酸化皮膜や小さいキズなどを除去して、表面調整を行います。 当然、このときエッチング浴で
- (4)イオン交換による吸着と山元還元 クロムめっき後の水洗工程を無排水型にするためには、めっき液の強制蒸発と、最終水洗水のイオン交換処理を行って、不純物の除去を行うことが必要です。フローシートの一例を【図1】に示します。 このシステムは、基本的に次の3つの技術で構成されています。
- (3)金属含有排水の分別処理 通常、表面処理工場の金属含有排水は、酸系排水とかアルカリ系排水とかに分別して、総合排水処理装置に導き、pH調整によって中和処理されますが、ここで発生するスラッジには各種の金属類が混在して、金属資源としての価値は殆どありません。 その理由は、このような混合スラッジからの金属の精錬は、お金がかかって経済的に採算がとれないからです。 そこで考えられたのがニ
- (2)めっき回収液の電解還元による金属回収 回収液を濃縮すると分解する恐れのある不安定なめっき液や、不純物除去が困難で、めっき槽に戻すことができない回収液は、特別に用意された電解槽に導いて直流電解を行い、めっきと同様の原理で陰極に金属を還元させ、純度の高い金属を回収できます。 また、プリント配線板や金属のエッチング液など金属を溶解する液は、使用につれて金属イオン濃度は高まり、エッチン
- めっき液は有用な金属を含有しています。水洗工程では、これらを工場外へ流出させてしまうことになります。そこで、これらの有価物質を回収するために、次のような対策がとられています。 (1)めっき液や回収液の濃縮再利用 めっき槽の隣にめっき液回収槽を設置して水洗を行えば、回収槽の濃度は徐々に高まり、やがて濃度は飽和します。この回収液を濃縮してめっき液に近い濃度にすれば、自然蒸発の少ない低温
- 六価クロムが社会の話題をさらっていますが、問題点は二つあります。一つはめっき工程や化成工程での六価クロムであり、もう一つは、化成皮膜中に存在する六価クロムの問題です。今回は、前者についてのお話です。 (1)常時排水 (1)還元法 六価クロムを含有する無害化処理対象物としては、シアンの場合と同様に、常時排水と濃厚廃液があります。常時排水は、クロムめっきや亜鉛めっき後のクロメート処理
- 水質汚濁防止法など水質関連法令では、健康項目に「ほう素およびその化合物」が10ppmに規制されております。ほう素(B)を除去する方法には、イオン交換法など幾つかの方法が開発されておりますが、最も確実な対策は、ほう素を使用しないことです。 めっき工場におけるほう素発生源はニッケルめっきです。電気ニッケルめっきは、光沢、半光沢、つや消しめっきなど外観の変化に富み、金、銀、クロムめっきなどの下地
- 前回、クロムめっき皮膜は六価クロムを全く含有しませんが、クロム酸を主成分としたクロメート皮膜には存在し、その量が多いほど耐食性が優れていることを紹介しました。 クロメート処理のように、化学的に皮膜を形成する処理法を化成処理、それによってできた皮膜を化成皮膜といっておりますが、従来はこれにもクロム酸が用いられました。 代表的なものとして、アルミニウム合金やマグネシウム合金の密着性を高めるため
- あるメーカーの表面処理鋼板の商品シリーズを紹介しましょう。
- 亜鉛めっきにより鉄の防食性はかなり高められていますが、更に塗装を施すことにより耐食性は大幅に向上し、美観も改善されます。 塗装鋼板はプレコート鋼板(成形してから塗装するポストコートに対して、成形前に塗装するプレコート)ともいわれ、従来溶融亜鉛めっき鋼板をベースにつくられてきましたが、最近では、電気亜鉛めっき、合金亜鉛めっき鋼板にも採用され、塗布材の種類も多様化しております。 塗装によ
- 電気めっきによって作られる表面処理鋼板を、【表1】に示します。
- 表面処理鋼板には多く種類がありますが、製造方法で分類すると、溶融めっき、電気めっき、塗装、及びこれらの組み合わせなどがあります。以下順に説明しましょう。 溶融めっきによる表面処理鋼板の種類、特徴、用途などを【表1】に示します。
- 適用範囲 試験方法の分類 適用範囲 この規格は、鋼材および鋼材加工品に施した溶融亜鉛めっきの試験方法について規定する。 試験方法の分類 試験方法は下表の付着試験、均一性試験、密着性試験および性状試験の4種類に分類する。
- 適用範囲 種類および記号 付着量および硫酸銅試験回数 適用範囲 この規格は、鋼材および鋼材加工品に防食の目的で施される溶融亜鉛めっきの有効面について規定する。ただし、連続的に溶融亜鉛めっきされた溶融亜鉛めっき鋼板類、亜鉛めっき鋼線類は除く。
- 無電解Ni・P合金めっき皮膜にはいろいろな特性が期待できます。その特性の違いは、めっき浴の種類、めっき条件等で決まりますが、【表1】のように、皮膜中のPの含有量で分類すると明確になります。
- 無電解めっき 無電解めっきとは、化学めっきともいわれ、電気めっきのように金属を製品上に還元析出させるエネルギーとして直流電力を使用せず、化学薬品の還元剤を使ってめっきする方法です。したがって、無電解めっきは、電気めっきのように直流電源や陽極・陰極装置などを必要としません。 このようなめっきには、置換めっきがありますが、これは浸漬めっきともいわれ、イオン化傾
- 適用範囲 用語の定義 等級・種類および記号 クロメート皮膜の耐食性 クロメート皮膜の呼び方 クロメート皮膜の質量測定方法(JIS H 8625(1993) 附属書1より) 適用範囲 この規格は、電気亜鉛めっきおよび電気カドミウムめっきに防食の目的で施した有効面*1のクロメート皮膜について規定する。
- 硝酸ばっ気試験方法(有孔度試験)[附属書1(規定)] 耐食性試験 下地めっきの種類および最小厚さ [附属書2(参考)] 硝酸ばっ気試験方法(有孔度試験)[附属書1(規定)] 適用範囲 金属および非金属素地上に行った工業用金および金合金めっきの有孔度を、硝酸蒸気の雰囲気中で暴露する試験によって調べる方法について規定する。 使用器具 容器は、試験片に適切な大きさのデシケーターを使
- 適用範囲 定義 品質 めっきの呼び方 適用範囲 この規格は、金属および非金属素地上に工業用の目的 (1) で行った、有効面の厚さ0.2μm以上の金および金合金電気めっきについて規定する。 注釈
- 適用範囲 各種密着性試験法へのめっきの適用例 密着性試験方法のあらまし テープ試験方法 曲げ試験方法 熱衝撃試験 適用範囲 この規格は、金属素地上に施した電気めっきおよび化学めっきの密着性試験方法について規定する。
- 適用範囲 めっきの等級およびめっきの最小厚さ 品質 めっきの呼び方(JIS H 0404による) 適用範囲 この規格は、電気部品などのはんだぬれ性、防食性などの向上の目的で金属素地上に行った有効面の電気すずめっきについて規定する。 めっきの等級およびめっきの最小厚さ めっきの等級は表のとおりとし、めっきの最小厚さによって5等級に分ける。 単位:μm
- 適用範囲 銅-ニッケルめっきの等級と記号(鉄鋼素地) ニッケル-クロムめっきの等級と記号(鉄鋼素地) めっきのタイプを表す記号(JIS H 0404:1988より抜粋)と上表使用記号の説明 適用範囲 この規格は、鉄および鋼、銅および銅合金、亜鉛合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金素地上に防食並びに装飾の目的で行った有効面のニッケルめっき、銅-ニッケルめっき、ニッケルーク
- 適用範囲 めっきの記号 品質 めっきの呼び方 めっきの用途およびめっきの厚さの例 適用範囲 この規格は、鉄、鋼および非鉄金属素地上に耐摩耗性などの工業用の目的で行った有効面の電気クロムめっきについて規定する。 めっきの記号 めっきの記号は、クロムめっきの元素記号Crの前に工業用を表す記号Iをつけて表す。ほか、JIS H 0404および下表による。
- めっきの発注・受注をするとき、最も重要な仕様は、めっき皮膜の厚さでしょう。めっき製品の使用環境・使用目的等から、めっきの種類や厚さが決定されるわけですが、今回は、めっき厚さの測定方法について述べます。 (1)厚さ試験方法 JISでは、めっきの厚さ試験方法として、次の方法を規定しています。
- 適用範囲 定義 中性塩水噴霧試験方法 酢酸酸性塩水噴霧試験方法 キャス試験方法 コロードコート試験方法 二酸化硫黄ガス試験方法 適用範囲 この規格は、めっきおよびそれを施したものの耐食性試験方法について規定する。 なお、めっきとは、電気めっき、無電解めっき、気相めっきおよび溶融めっきなどをいう。
- 適用範囲 めっきの記号による表示方法 記号 電気めっきの記号による表示例 適用範囲 この規格は、電気めっき(自己触媒型の無電解めっきを含む)の記号による表示方法について規定する。 めっきの記号による表示方法 めっきの記号による表示方法は、以下「記号」に規定する記号を用い、下記[1]に示す順序による。 ただし、当分の間、[2]に示す順序によってもよい。 なお、特に表示の必要
- ここでは、従来不可能であった新しいめっき技術をみてみましょう。 高機能性ガラスへのめっき 石英ガラス、硼硅酸ガラス(パイレックス)など高機能ガラスの特性を生かしながら、他の金属やセラミックスと接合したり、表面に電子回路や電極を形成するために、直接無電解めっきを行います。 従来、ガラス表面へのめっきは、真空蒸着やスパッタリングなどの乾式めっきが行なわれていましたが、ガラスとの密着性
- 分散めっきは、複合めっきともいわれており、電気めっきや無電解めっき浴にセラミックスなどの化学的に不溶性の微粒子を分散させ、めっき金属と共析させたものです。めっき浴には一般にニッケルめっき浴が使用されています。 【写真1】に、炭化けい素SiCニッケル分散めっき皮膜の断面を示しました。ニッケル皮膜中に炭化けい素が均一に分散しており、皮膜の表面にも露出していることが分かります。分散している粒子の持
- 無電解めっきには、ニッケルめっきのほかに次のようなものがあります。 (1)無電解金めっき 金-ボロン合金めっきが、微小な電子部品などに用いられています。 (2)無電解銀めっき 銀鏡反応として昔から様々な方面に使われてきました。電鋳母型に電気伝導性を与える導電処理や、魔法瓶のガラス容器内面の鏡面化処理に使われています。
- 工業的に最も利用されている代表的な無電解めっきは、無電解ニッケル・りん(5-13%)合金めっきです。複雑な形状に対しても均一な膜厚が得られることや、機械的・電気的・物理的特性が優れていることが評価されて、需要は増大しています。 表に、無電解ニッケル・りん合金めっきの適用例とその目的を示します。 無電解ニッケルめっきの特徴として、めっき後、熱処理することによって硬度が上昇することがあ
- 精密部品へ耐食性、耐磨耗性、電気的特性などの機能を付与するための工業用めっきについて紹介しましょう。 工業用ニッケルめっきの用途を分類すると【表】のようになります。
- (1)錫-鉛合金めっき 錫-鉛合金めっきは、はんだめっきとしてエレクトロニクスに多用されています。はんだめっきには、溶融はんだによるものと電気めっきによるものがありますが、前者はプリント基板などに、後者は寸法制度・皮膜の均一性・密着性などが要求される部品に利用さています。 合金の組成は、浴組成や作業条件で管理しますが、耐食性、柔軟性、潤滑性、はんだ付け性など使用目
- 錫めっきは昔からブリキの名称で、鉄板上への溶融めっきとして知られ、各種の缶類に用いられてきました。 近年錫めっき浴の改良が進み、光沢性、はんだ付け性、耐食性が優れた光沢錫めっき浴の実現によって電子部品等への応用が進み、高価な金めっきの代替、長期的に信頼性の高いめっき皮膜として多方面に用いられています。 【表1】に錫めっき皮膜の特性と利用分野を示します。
- (1)ロジウムめっきRh 工業用ロジウムめっきは、硬度がHv800〜1000と工業用クロムめっき並の硬度が高いうえに耐食性も優れているので、磨耗や摺動などの激しいプリント基板の端子めっき、コネクター、スイッチの接触子など、長期的に安定した低接触抵抗性が求められるものに利用されています。 ロジウムめっきの特徴として、次のことがいえます。
- 工業用銀めっきも、工業用金めっきと同様に、エレクトロニクス関係部品にはなくてはならない重要なものです。金のように高価ではなく、電導性は金属の中では最高であり、熱の伝導性、潤滑性、耐熱性なども優れていますので、弱電分野ばかりでなく、重電、航空機部門にも広く使われています。 工業用銀めっきの、利用分野・利用目的を表に示しました。
- 電子部品・半導体部品に工業用金めっきは欠かすことのできないものです。金めっきの利用目的と利用分野を【表】に示しました。
- 電子機器・通信機器などになくてはならないプリント配線板は、その情報処理能力の増大につれて、電子部品の高密度実装が求められ、その結果、プリント配線板を何枚も重ねて回路を多層化(三次元化)する多層基板が多用されるようになりました。そこで問題になるのは、LSIによって発生する熱をどのようにして放散するかという問題です。 プラスチックという熱伝導の悪いプリント基板の上に銅めっき皮膜による電気回路を作
- 工業用銅めっきは、めっき浴の種類によって表のように分類できます。それぞれのめっき浴によって、析出する皮膜の物性が異なりますので、目的に応じてめっき浴を選択することが必要です。
- いままで解説してきたもの以外の金属へのめっきの特徴と注意点を種類別に解説します。
- アルミニウムは軽量であることと加工性のよいことから、日用品、機能部品、構造材などあらゆる産業分野で使われている馴染みのある材料であります。 アルミニウム合金は、用途別には、板、線、条、管、棒などの展伸材と、砂型・金型鋳物やダイキャストなどの鋳物材に分類できます。また強度的には、熱処理材と非熱処理材に大別できます。これらを概説すると次表のようになります。
- 種類 特徴 用途例 難易度 A 1 0 0 0 1050〜1085
- 種類特徴用途例難易度 銅基希薄合金合金元素を殆ど含まないもの高性能ばね、電気機器、エンジン部品化学工業機器、電機◎
- (1)素材の加工履歴 鉄鋼は、あらゆる産業分野で使用されていますが、それらは次のような金属加工を経て製品になり、めっきされます。
- 機能めっきのその他の特性は、次の通りです。
- 機能めっきの化学的特性は、次の通りです。
- 機能めっきの物理的特性は、次の通りです。
- 機能めっきの熱的特性は、次の通りです。
- 機能めっきの光的特性は、次の通りです。
- 機能めっきとして要求される電気的特性は、つぎの通りです。
- 機能めっきとして要求される特性をあげると、次のようになります。
- 工業用クロムめっきは、古くから硬質クロムなどともいわれて、クロムめっき皮膜のもつ硬さ、潤滑油保持、耐磨耗性などの機能を活かして、厚さ10〜100umのめっきが多方面に用いられてきました。 工業用クロムめっきの皮膜の特性は、次のようなものです。 (1)高硬度 通常の電気めっきの中では、最も高硬度で(マクロビッカース硬度約1000)、熱処理鋼・窒化鋼などより、はるかに高硬度である。 (
- (1)錫-亜鉛合金めっき 塩水と湿潤雰囲気に優れた耐食性があるといい、とくに錫70%付近で最高の耐食性を示すといわれている。有色クロメート処理を施したものは、膜厚5μmで、塩水噴霧試験1800時間をクリアする。はんだ付け性に優れ、アルミニウムにも直接めっきができる。 亜鉛に比べて錫は高価であるので、必然的にコスト高になる。これを克服する方法として、錫-亜鉛合金めっきを数μm施した後、通常の
- 商品価値を高めるための装飾めっきは、素地に機械的表面調整を施した後、下地めっきといわれる下層めっきと、その上の中間めっきでしっかりと耐食性を確保したのち、その最上層に美観・商品価値を高めるためのめっきを施します。用途別には概略次のような組み合わせをしています。
- 電気めっきに限りませんが、表面処理の前作業としての、素地の表面調整は非常に大切です。要求される表面模様としては、めっき前の素地上に行なう重度のものと、めっき皮膜の膜厚内で対応できる軽度の模様付けがあります。
- 電気めっきの作業工程は、概略、前作業→前処理→めっき→後処理→後作業の順に行なわれます。 ※ 注)めっき方法 ワークの保持や通電の方法は、ワークの大きさや形状によって、次のようなめっき方法が採用されます。 (1)引っ掛けめっき ワーク1個に対して数箇所の電気的接点を確保して、液中に吊るしてめっきします。 (2)バレルめっき 引っ
- (1)単層めっき 防食めっきは、その殆どが単層めっきです。亜鉛めっきや亜鉛合金めっきが広く使われていますが、その理由は犠牲防食の原理から当然のことで、亜鉛などイオン化傾向の大きな金属がイオン化傾向の小さい鉄鋼と直接電気的に接続される必要があるためです。 近年は、防食めっき皮膜の耐食性を更に高めるために、めっき後の後処理としてクロメート処理が行なわれ、例えば亜鉛めっきにおいては亜鉛の白
- 機能めっき(工業用めっき)の持つ特性は、次の通りです。