(1)蒸気の性質
常温の水が、蒸気になる様子を【図1】に示します。まず、密閉容器に15℃の水を入れ、加熱します。水の温度は次第に上昇して100℃に達し、沸騰し始めます。更に加熱を続けると温度は変わりませんが、水は蒸発して蒸気になり、水が全部蒸気に変わると温度の上昇が始まります。熱量単位の表示はキロカロリー(KCal)になっていますが、現在はキロジュール(KJ)表示になっています。
以上の現象を、水と熱の状態で表現すると、【図2】のようになります。即ち、水は熱によって、氷(固体)・水(液体)・蒸気(気体)の3態に変化すること。また、熱には顕熱と潜熱という2種類の熱があり、顕熱は温度計で測定できる熱であるが、潜熱は温度計では測定できない熱であることが分かります。 また、【図1】右図に示した蒸気にも、いろいろの種類のあることが【図3】で分かります。 |
ボイラー内には、沸騰している缶水と水蒸気が共存しています。その蒸気を「湿り(しめり)蒸気」といいますが、これは加えられた熱量によって保有する潜熱量が違います。
また、蒸気が保有する水分の度合いを「湿り度(しめりど)」といいますが、これが0%になると蒸気は、「過熱蒸気」となり、加熱によって蒸気温度は上昇します。
表面処理工程で使われている蒸気は、ボイラーの出口では過熱蒸気、加熱器・熱交換器などの入り口では乾き飽和蒸気(乾き度・かわきど100%)が求められます。この時、蒸気のもっている蒸発潜熱が、加熱器の壁を通してめっき浴などの液体に伝わります。
潜熱をなくした蒸気は凝縮水と呼ばれる100℃の湯になります。従来はこの湯を捨てていましたが、今日では殆どの工場がこれを回収し、ボイラー給水に再利用されています。これをドレン回収(顕熱回収)といっています。