適用範囲

この規格は、鉄、鋼および非鉄金属素地上に耐摩耗性などの工業用の目的で行った有効面の電気クロムめっきについて規定する。

めっきの記号

めっきの記号は、クロムめっきの元素記号Crの前に工業用を表す記号Iをつけて表す。ほか、JIS H 0404および下表による。

めっき前後の加工方法の記号
加工方法 めっき前 めっき後
バフ仕上げ 1BF 2BF
ポーラス加工 1P 2P
ラッピング 1GL 2GL
超仕上げ 1GSP 2GSP
液体ホーニング 1LH 2LH
ブラスト仕上げ 1SB 2SB
グラインダ加工 1G 2G

備考

1.
めっき前後に2種類以上の加工を施した場合、加工の順に左から右に各記号をコンマで区切って示す。
2.
めっきの最終表面粗さは、JIS B 0601による。

品質

めっきの外観

めっきの外観は目視によって試験を行い、表面は平滑で、焦げ、こぶなど使用上有害な欠陥があってはならない。ただし、つや消し仕上げ(液体ホーニング、ブラスト仕上げ、ポーラス加工など)のものについては、必ずしも平滑でなくてもよい。

めっきの表面粗さ

めっきの表面粗さは、この品質を特に重視する用途に対してだけ適用し、その品質は受渡当事者間の協定による。

めっきの密着性

めっきの密着性は、JIS H 8504に規定する、と石試験方法、曲げ試験方法または引張試験方法のいずれかのの方法で試験を行い、めっきのはく離または膨れがあってはならない。

めっきの硬さ

めっきの硬さは、JIS Z 2244によるほか、少なくとも5か所以上を測定し、その算術平均値をめっきの硬さとし、ビッカース硬さ750以上とする。ただし、用途によってはビッカース硬さは、受渡当事者間の協定によってもよい。

めっきの耐摩耗性

めっきの耐摩耗性は、この品質を特に重視する用途に対してだけ適用し、試験は、JIS H 8503に規定する、砂落し摩耗試験、噴射摩耗試験、往復運動摩耗試験、平板回転摩耗試験または両輪駆動摩耗試験のいずれかの方法により、試験を行う。その品質は、受渡当事者間の協定による。

めっきの呼び方

めっきの呼び方は、JIS H 0404による。ただし、素地が鉄鋼の場合には、その元素記号であるFeを省略することができる。なお、めっき前後の加工方法は、上記表の記号を用いてめっき厚さの後に斜線を入れて呼び、採集表面粗さは、JIS B 0601に規定する中心線平均粗さ(Ra)をめっき前後の加工方法の後に( )で呼ぶ。

例1)Ep-Fe/ICr20/1BF, 2G, 2BF(Ra1.6)

電気めっき、鋼素地上、工業用クロムめっき20μm以上、めっき前のバフ仕上げ、めっき後のグラインダ研削、めっき後のバフ仕上げ、最終表面粗さRa1.6

例2)Ep/ICr10/1LH

電気めっき、鋼素地上(Fe省略)、工業用クロムめっき10μm以上、めっき前の液体ホーニング

例3)Ep-Fe/ICr50/1BF, 2G, 2BF(Ra0.8)

電気めっき、鋼素地上、工業用クロムめっき50μm以上、めっき前のバフ仕上げ、めっき後のグラインダ研削、めっき後のバフ仕上げ、最終表面粗さRa0.8

例4)Ep-Cu/ICr5/2P

電気めっき、銅素地上、工業用クロムめっき5μm以上、めっき後のポーラス加工

めっきの用途およびめっきの厚さの例

単位:μm

区分 用途 めっき厚さの例
ロール 高分子化合物用 30
製紙用(カレンダ類)
紡織用 20
鉄鋼加工用 50
非鉄金属加工用 30
金型 プラスチック成形用 10
一般打抜きおよび成形用
ガラス成形用 50
医薬品、食品用 10
鍛造用 30
窯業用 50
シリンダおよびライナー 油圧・空気圧機器用 20
水圧機器用 30
ガソリンエンジン用 50
ディーゼルおよびガスエンジン用 100
ピストンおよびピストンロッド 油圧・空気圧機器用 20
水圧機器用 30
ポンプ用 20
一般機械用
ディーゼルおよびガスエンジン用 100
ガソリンエンジン用 5
ピストンリング ガソリンエンジン用 50
ディーゼルエンジン用 100
工具 切削用 3
計測用
シャフトおよび
ジャーナル
一般機械用シャフト 30
内燃機関用シャフト 50
一般用ジャーナル
その他機械部品 紡織機用部品 20
エンジンバルブ 5
一般機械部品 20
写真および印刷用品 フェロタイプ 5
フィルム加工用 10
印刷用ロールおよび板 2