機能めっきの熱的特性は、次の通りです。
|
(1)耐熱性
高温下でも皮膜物性が低下しない性質のことで、通常のめっき皮膜は空気中で高温に晒された場合、皮膜の酸化や硬度の低下などが起きますが、ある種のめっきではこれらを克服できます。工業用クロムめっきや無電解ニッケルめっきが300℃以上で使用すると硬度が低下するのに対して、スルファミン酸浴からのニッケルめっきは500℃でも硬度の低下はみられないし、ニッケル-ホウ素めっきも耐熱性は優れています。
(2)熱吸収性
熱を効率よく吸収する性質のことで、光吸収と同様に黒色皮膜がよく用いられます。電気部品などの発熱を吸収して、部品を一定温度以下に保持するのに使われます。シールドケースなどがその例です。
(3)熱放射性
吸収した熱を放射する性質のことで、放熱器として重要です。黒色の表面は放射係数が大きいことで知られていますが、放熱面積を大きくした形状のヒートシンクの放熱部に黒色めっきが施されます。
(4)熱伝導性
熱を伝え易い性質のことです。金属は一般にこの性質に優れていますが、特に銀・銅・金は優秀です。実用的には銅がよく用いられます。 製品としては、熱伝導のよくないステンレス製の鍋などの底に銅めっきを厚付けしたものが有名です。銅めっきのもつ優れた熱伝導性が鍋底の温度を均一にして、ステンレス特有の焦げ付き易さを防いでいます。 |
(5)熱反射性
波長2.5マイクロメートル以上の赤外線を反射する性質のことで、表面が鏡面であり、白色金属光沢であるほど熱反射は良好といわれています。光沢クロムめっきされた、電気ストーブや石油ストーブの反射板はあまりにも有名です。