分散めっきは、複合めっきともいわれており、電気めっきや無電解めっき浴にセラミックスなどの化学的に不溶性の微粒子を分散させ、めっき金属と共析させたものです。めっき浴には一般にニッケルめっき浴が使用されています。
【写真1】に、炭化けい素SiCニッケル分散めっき皮膜の断面を示しました。ニッケル皮膜中に炭化けい素が均一に分散しており、皮膜の表面にも露出していることが分かります。分散している粒子の持つ特性によって耐磨耗性を発揮したり、自己潤滑性を示したりします。
分散めっきの、めっきの種類と皮膜の特性を【表】に示します。
【表】分散めっきのめっきの種類と皮膜特性
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【写真1】
電気接点用に利用されている金めっきやパラジウムめっきの耐磨耗性を向上させるために、これらに炭化チタンや炭化タングステンを共析させたり、グラファイトをパラジウムめっきに共析させています。 |
※ | 自己潤滑性とは、皮膜そのものに潤滑性があり、潤滑剤を使用しないで磨耗を防ぐことができる特性のことです。宇宙や真空中で使われる機器に必須の性能です。 非粘着性は、相手とくっ付かない、相手を寄せ付けない性質のことで、埃をよせつけない、すべり易く磨耗しにくい、汚染しにくいなどの性質です。 |