(2)ミスト防止剤による省熱対策
常に開放されている液面であり、且つ、強制蒸発の効果の高い局所排気装置の設置された浴槽での熱損失防止対策には、次の二つが行われています。
1. | 耐食性に優れた材質のフロート材を、液面に浮かべて、液面と空気が接触するのを遮断して、水の蒸発を防止します。ミストの飛散も防止できます。 | |
2. | 表面処理浴にミスト防止剤を添加して、処理液の表面張力を低下させ、ミストの発生を防止します。これにより、局所排気装置の運転が不要になり、液面風速がゼロになります。従って、水分の蒸発が減少し、熱損失が少なくなります。 |
2. の実施例を【図1】に示しました。
これは硫酸陽極酸化浴に、ミスト防止剤として界面活性剤の100倍希釈液を添加して、表面張力の低下の度合いをみたものです。浴中の表面張力が低下することによって、陰極で発生する水素ガスに付着する電解液の量が極端に減少し、硫酸浴の飛散を防止することができます。
図から分かるように、ミストの発生を防止するためには、浴の表面張力を50dyne/cm以下に保持すればよいことが分かります。通常、表面張力の測定は、【図2】に示す「滴数計」を用いて行われます。 滴数計を用いた表面張力測定には、温度既知の水の滴数、試料液の比重、試料液の滴数、水の表面張力などを知る必要があります。 |