機能めっきとして要求される特性をあげると、次のようになります。
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(1)硬度
めっき皮膜の硬さはマイクロビッカースHvやヌープHk硬度で表示されます。工業用クロムめっきはHv800〜1000、無電解ニッケルの熱処理品はHv1000が得られます。また、ニッケルめっき中へアルミナや炭化珪素の微粒子を分散させた分散めっき(コンポジットめっき)皮膜もHv600が得られます。これらは熱処理によってHv1300〜1400になります。ニッケル-タングステン合金めっきも、高硬度めっきとして脚光を浴びています。
(2)潤滑性
潤滑性には、低摩擦係数・保油性・なじみ性などがあり、軸受けなどは鉛-錫合金、鉛-インジウム合金、鉛-錫-アンチモン合金、銀などによる馴染み性を得ています。
耐磨耗性が必要であれば、潤滑物質を含浸させた、分散ニッケルめっきやポーラスクロムめっきが用いられます。潤滑性と耐磨耗性を目的に、弗化黒鉛や二硫化モリブデンの微粒子を用いた分散めっきが適用されます。
(3)寸法精度
電気めっきには、電流分布の問題があり、ワークのどの部分にも均一な膜厚のめっきをつけることは難しいですが、電気を使わない無電解めっきでは均一な皮膜が容易に得られます。ニッケル-りん、ニッケル-ホウ素合金めっきなどがあります。
(4)肉盛性
寸法補正や修理を目的とし、更に耐磨耗性・耐食性・硬度・切削加工性などが同時に要求される場合に用いられるめっきです。高硬度のめっきや、高速度で厚めっきの可能なものです。
(5)型離れ性
金型に要求される特性で、工業用クロムめっきが行なわれます。クロムめっきの代わりに弗化黒鉛を分散させたニッケルめっきも採用され、金型寿命を延長させています。 |
(6)低摩擦係数
すべり性ともいわれ、製紙ローラーやガイドに要求されます。ふっ素樹脂含浸の工業用クロムめっきや、二硫化モリブデン共析の分散ニッケルめっきが注目されています。