適用範囲
この規格は、金属および非金属素地上に工業用の目的 (1) で行った、有効面の厚さ0.2μm以上の金および金合金電気めっきについて規定する。
注釈
- (1)
- 工業用の目的とは、電気、電子、機械、その他の機能的部品などに用いることを目的としたもので、それぞれ特殊な性能が要求されるめっきをいう。
定義
この規格で用いる主な用語の定義は、JIS H 0400によるほか、次による。
- 1)
- 有効面:被覆されているか、または被覆されるべきで、その被覆が主要な性能および外観にかかわる部品の表面。
- 2)
- 金めっき:金含有率が99.9%以上の電気めっき。一般に軟質めっきである。
- 3)
- 金合金めっき:金含有率が58.5%以上99.9%未満の電気めっき。めっきの硬さは、金めっきに比べて一般に高い。
- 4)
- 二層金めっき:金含有率の異なるめっきを2層重ねて行うめっき。
- 5)
- 多層金めっき:金含有率の異なるめっきを2層以上重ねて行うめっき。
品質
めっきの外観
めっきの外観は、目視によって試験を行い、めっきの有効面に、つや、輝き、色合いなどの不良、ざらつき、焦げ、割れ、ピット、端部での樹枝状晶の発達、素地または下地めっきの露出などのめっき欠陥、膨れ、はく離などの密着不良の兆候、さらに汚れ、きずなどがあってはならない。
めっきの厚さ
めっきの厚さは、受渡当事者間の協定によって指定する。厚さ試験は、JIS H 8501に規定する各方法、またはISO 4524/1に規定する分光分析試験方法により行い、有効面上のいかなる場所においても、指定されためっき厚さを満足しなくてはならない。
一般に用いられているめっきの最小厚さの分類は下表のとおりである。
めっきの最小厚さによる分類
単位:μm
めっきの最小厚さ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
0.2 | 0.5 | 1.0 | 2.0 | 3.0 | 5.0 | 10.0 |
めっきの金含有率
めっきの金含有率(多層めっきの場合は、各層ごとの含有率)が指定されている場合には、ISO 4524/4に規定する方法または受渡当事者間の協定によって有効性が認められた方法により試験を行い、金含有率は指定された値を満足しなくてはならない。
めっきの有孔度
めっきの有孔度が指定されている場合には、硝酸ばっ気試験(附属書1)または ISO 4524/4もしくはISO 4524/3に規定する方法によって試験を行い、有孔度は指定された値を満足しなければならない。
めっきの耐食性
めっきの耐食性が指定されている場合には、JIS H 8502に規定する方法のいずれかによるか、または ISO 4525/2に規定する方法によって試験を行い、耐食性は指定された値を満足しなくてはならない。
めっきの密着性
めっきの密着性は、JIS H 8504に規定するへらしごき試験方法、テープ試験方法、熱試験方法、曲げ試験方法もしくは巻き付け試験方法のいずれかにより試験を行い、めっきにはく離または膨れなどの密着不要もしくはその徴候が現れてはならない。なお、曲げ試験においては、めっきにはく離がなく、素地が割れによって破断した場合は、めっきの密着不良とはしない。
めっきの電気的性質
めっきの電気的性質が指定されている場合には、試験項目およびその試験方法は受渡当事者間の協定によって有効性が認められた方法で試験を行い、電気的性質は、指定された値を満足しなければならない。
めっきの呼び方
例1)Ep-Cu*/Ni b, E-Au 5 b
電気めっき、黄銅素地(注*)、光沢ニッケルめっき(b:光沢)下地めっき上に、厚さ5μm以上の工業用光沢金めっき
例2)Ep-Fe*/Ni, E-Au** (99.7) 2
電気めっき、ステンレス鋼素地(注*)、ニッケル下地めっき上に、厚さ2μm以上の工業用金・コバルト合金(注**)(金含有率99.7%)めっき
例3)Ep-Zn*/Cu10, Ni5 b, E-Au (98.0) 5
電気めっき、亜鉛合金ダイカスト素地(注*)、厚さ10μmの銅下地めっき、および厚さ5μmの光沢ニッケル下地めっき上に、厚さ5μmの工業用合金(金含有率98.0%)めっき