(5)燃焼の空気比管理
ボイラーの熱効率を向上させるためには、燃焼の効率を高めなければなりません。通常、燃料には液体燃料や気体燃料が使われますが、これらのもつ炭素(C)や水素(H)などのエネルギー性物質が、熱を必要とする場所で、すべて熱エネルギーに変換されることが必要です。
燃焼とは、可燃性物質が空気中の酸素と化学的に化合して発熱する現象です。可燃性物質のすべてが燃焼して100%の熱を発生する燃焼を完全燃焼といいます。炭素と水素の燃焼方程式を次に示します。
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すなわち、炭素12kgが完全燃焼するためには、酸素32kgが必要であることが分かります。ある燃料を完全燃焼させるために、いくらの酸素が必要であるかは、燃料分析によって可燃成分とその量が容易に分かりますので、あらかじめ予測することができます。
また、燃焼に必要な酸素は、空気で供給されます。空気は【表1】に示す成分をもっていますので、完全燃焼に必要な空気量も予測することができます。
【表1】空気の成分(%)
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しかし、実際の燃焼では、理論量の空気では完全燃焼は不可能で、未燃焼の燃料は黒煙となって煙突から排出してします。その理由は燃焼バーナーの不完全さにあります。まだ完全燃焼できるバーナーがないためです。 従って煙突から黒煙を出さないためには、理論量より過剰の空気を送風して燃焼させます。しかし、過剰空気が多いと、炉内温度が低下し、排ガス温度が上昇して熱損失が増加しますので、管理しなければなりません。これを空気比管理といいます。 すなわち、ボイラーに送風した新鮮な空気の酸素濃度は21%です。これが燃焼によって消費されますので濃度は低下します。排ガス中の酸素濃度を測定すれば、消費された酸素濃度が分かります。(【図1】) |
次式によって、空気比が求められます。
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通常空気比は1.3で管理されます。また酸素濃度のほかに、燃焼すると増加するCO2濃度でも管理することができます。