(2)蒸気の持つ熱量
それでは、蒸気は具体的にどのくらいの熱量をもっているのでしょうか。これを示したものに「蒸気表」があります。
蒸気表は、圧力を基準にしたものと温度を基準にしたものがあり、それも絶対圧力(Mpa)で表示されています。
本表では圧力基準で示しています。通常使われている蒸気ボイラーの圧力は、圧力計で表示されるため、ゲージ圧力(Mpa・G、圧力計の読み値)を基準にした温度・熱量を【表1】に示しました。
【表1】蒸気表
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※ | 注)0.1Mpa・G=1.0Kg/cm2・G(旧表示)、KJ=0.2389KCaL、KCaL=4.186KJ |
表の説明をしましょう。
圧力は圧力計の示す蒸気圧力です。比エンタルピーとは、そのゲージ圧力における蒸気1kgがもっている熱量のことです。
その内訳は、顕熱と潜熱であり、全熱=顕熱+潜熱となります。顕熱と全熱は、蒸気圧力が高くなると増加しますが、潜熱は蒸気圧力が高くなると減少します。
前回も触れましたように、めっき浴加熱系における熱の循環は、次のようになっています。
通常めっき浴等の加熱には、加熱管を蛇管にした加熱器や、めっき液をポンプで循環して伝熱する熱交換器などの、間接加熱が用いられますので、この系における有効に利用できる熱は、凝縮潜熱だけです。
いま、ゲージ圧力0.2Mpa・Gの蒸気を使ったとすると、蒸気1Kgについて、全熱は2,725 KJ/kgの熱量がありますが、めっき浴の加熱に利用できる熱量は、2,163 KJ/kgであることが、この表から読み取れます。