無電解Ni・P合金めっき皮膜にはいろいろな特性が期待できます。その特性の違いは、めっき浴の種類、めっき条件等で決まりますが、【表1】のように、皮膜中のPの含有量で分類すると明確になります。
【表1】無電解Ni-PめっきのP含有量による特性
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P含有量が3%程度の低Pタイプは、皮膜が硬く、耐アルカリ性に優れ、ITO、ポリイミド、ガラスなど特殊素材への密着性がよいので、電子部品やバルブ・複合めっきなどに使われています。 P含有量が9%前後の中Pタイプは、古くから使われており、無電解ニッケルめっきといえば、このタイプを指すことが多い。浴が安定しており、耐食性に優れ、つき回りが良好で、析出速度が速いことが特徴です。 P含有量が12%程度以上の高Pタイプは、非磁性であることからハードディスク基板の下地めっきとして知られている。電気抵抗の温度係数が小さいことから抵抗体としてセラミック抵抗器に使われたり、耐酸性部品にも使われています。 無電解ニッケルめっきには、この他、還元剤に水素化硼素化合物(通常DMABジメチル・アミノ・ボロン)を使用したものがあります。Ni・B合金めっきは、皮膜上に酸化膜を形成しにくいので、熱処理時に変色しない、はんだの濡れ性が良好、導電率がNi・P合金めっきに較べて著しく低いなどの特徴がありますが、浴が不安定で管理が難しい、コストが高いなどの理由から、半導体や電子部品等特殊な用途に使われています。 |