(2)ヒートポンプの活用例
陰極(または陽極)電流効率の低いクロムめっき、亜鉛めっきやアルミニウムの陽極酸化処理のように、ジュール熱によって発熱し、浴温維持のために冷却を必要とする表面処理工程では、一方において脱脂、エッチング、湯洗、封孔、乾燥など、加熱を必要とする工程があります。
従って、これら両者の熱需要を上手にマッチングさせれば、冷却で得た熱を加熱に利用することが可能になり、大幅な加熱用電力や燃料の節約になります。
しかし実際の工場では、熱需要に時間差があります。例えば、めっき工程では、一番最初に必要な熱は、脱脂浴などめっき前処理浴の加熱です。この時点ではめっき作業は行われておらず、ジュール熱は発生していませんから「加熱用熱源」が別に必要です。
ヒートポンプを採用した場合、熱需要のマッチングに使われているのが、一般には、ある容量をもった「温水貯槽」です。これで、冷却と加熱の熱需要の時間差を調整することができます。早朝の脱脂浴加熱用熱源は、昨日から貯蔵されている温水貯槽の温水によって賄うことができます。
ヒートポンプ採用による省熱対策例を【図1】に示しました。
亜鉛めっきの工場の実施例ですが、年間66KL必要であった灯油が、ヒートポンプの採用により、10KLですむようになりました。灯油を必要としたのは、12〜2月の真冬の朝だけでした。大幅な省熱効果がありました。 蒸気圧縮式ヒートポンプの外観例を【図2】に示しました。 |