硝酸ばっ気試験方法(有孔度試験)[附属書1(規定)]
適用範囲
金属および非金属素地上に行った工業用金および金合金めっきの有孔度を、硝酸蒸気の雰囲気中で暴露する試験によって調べる方法について規定する。
使用器具
容器は、試験片に適切な大きさのデシケーターを使用する。
操作
1) 試験片の汚れをエタノール、ベンジン、ガソリンなどの溶剤を用いて除去し乾燥させる。
2) デシケーターの底部に適量の硝酸を入れ、磁製板の上に試験片を載せ、ふたをする。
3) 約23℃で1時間放置する。
4) 試験片をデシケーターから取出して、静かに水洗いして乾燥する。
判定方法
試験面めっきのピンホールなどの欠陥から生じる腐食点数を観察し、1cm2当たりの腐食点数に換算し、有孔度とする。
耐食性試験
耐食性試験は、JIS H 8502に規定する中性塩水噴霧試験方法、キャス試験方法、二酸化硫黄ガス試験方法、硫化水素ガス試験方法もしくは混合ガス試験方法のいずれかによるか、または受渡当事者間の協定によって ISO 4524/2に規定する二酸化硫黄暴露試験方法を用いてもよい。
なお、二酸化硫黄ガス試験方法、硫化水素ガス試験方法および混合ガス試験方法における試験条件は次の表のとおりとする。また、試験時間は、240時間連続的に行う。
項目 | 条件 | ||
---|---|---|---|
二酸化硫黄ガス濃度(ppm)(体積比) | 0.5±0.1 | 10±2 | 25±5 |
温度(℃) | 40±1 | ||
相対湿度(%RH) | 80±5 |
項目 | 条件 | ||
---|---|---|---|
硫化水素ガス濃度(ppm)(体積比) | 0.1±0.02 | 3±1 | 10±2 |
温度(℃) | 40±1 | ||
相対湿度(%RH) | 80±5 |
項目 | 条件 | ||
---|---|---|---|
硫化水素ガス濃度(ppm)(体積比) | 0.1±0.02 | - | 0.1±0.02 |
二酸化硫黄ガス濃度(ppm)(体積比) | 0.5±0.1 | 0.2±0.05 | 0.5±0.1 |
二酸化窒素ガス濃度(ppm)(体積比) | - | 0.5±0.1 | - |
塩素ガス濃度(ppm)(体積比) | - | - | 0.02±0.005 |
温度(℃) | 40±1 | ||
相対湿度(%RH) | 80±5 |
備考
上記3表の条件によって、実環境条件が高温多湿(例えば日本を含めた東南アジア地域など)のための適切な加速的腐食特性が得られる。それ以外の地域のための試験条件として、次の条件を用いてもよい。
温度:25±2℃、相対湿度:75%
下地めっきの種類および最小厚さ [附属書2(参考)]
適用範囲
めっきの外観、耐食性、密着性などの向上の目的で下地めっきを行う場合の一般的な下地めっきの種類と最小厚さを、参考として示したものである。
素地材料 | 下地めっきの種類 | 下地めっきの厚さ (μm) |
---|---|---|
銅 | 不要 | - |
銅合金、特に鉛を含む快削黄銅 | ニッケル、銅またはすず-ニッケル合金 | 1.25 |
鉄鋼(オーステナイト系ステンレス鋼を除く) | ニッケル | 10 |
銅+ニッケル | 10(Cu)+5(Ni) | |
オーステナイト系ステンレス鋼 | 通常は、酸性ニッケルストライクまたは 酸性金ストライクが必要である。 |
薄いめっき。 金の密着性を向上する。 |
亜鉛および亜鉛合金 | 銅+ニッケル | 8(Cu)+10(Ni) |
アルミニウムおよび アルミニウム合金 |
ニッケル | 20 |
その他の素地材料およびはんだ 接合部のある素地金属 |
ニッケルまたは銅 | 協定による。 |