今回は、金型の側面からの輻射による放熱について考えます。
金型から大気中へ輻射される熱量は以下の計算式で表現されています。
Qr=As・ε・c((TTM/100)4-(TAT/100)4)
- Qr
- :金型側面から大気中へ輻射される熱量(kcal/h)
- ε
- :輻射率
錆のある炭素鋼 0.6
光沢のある金属 0.25 - c
- :黒体の輻射定数 4.88(kcal/m2hK)
- TTM
- :絶対温度による温度調節媒体の温度(K°)
- TAT
- :絶対温度による周囲の大気温度(K°)
この式からわかることは、金型のモールドベースの錆具合によって、大気中へ輻射によって放熱される熱量は変化するということです。
金属の輻射率を変えることによって、 金型から熱量を奪った方がよい場合と、熱を保温したほうが良い場合がありますので、目的に合わせて熱量のコントロールを図ることが頭脳的な設計方法と言えます。
輻射熱を制御する方法には下記のようなアイデアが考えられます。
- (1)
- モールドベースの表面を塗装する。
- (2)
- モールドベースの表面に光沢金属板を張り付ける。
- (3)
- モールドベースの表面にアルミニウム板を張り付ける。
- (4)
- モールドベースの表面にニッケル-クロム鋼板を張り付ける。
- (5)
- モールドベースの表面に輻射率が著しく変化した素材の板を張り付ける。