プラスチック射出成形につきまとう永遠の課題の一つは、ガス抜きです。これまで60年間世界中でガス抜き対策が講じられてきました。ある程度の経験的な対策は確立されてきました。しかし、科学技術の進歩は、次々と新しい合成樹脂を市場へ投入できるようになってきています。新しい樹脂には新しい成形加工技術や金型技術が必要になりますが、それらが確立されるためには何回もの試行錯誤を繰り返さねばなりません。一方、量産加工の現場ではそんな悠長なことは通用せず、ヒット商品であればあるほど大量の注文が入り込み、ガス抜きをなんとか直ちに改善しなければならないという現実があります。
ミスミ ガス抜きアシストユニット(真空発生器)は、このような要望に対応すべく開発された商品です。残念ながら、ガスを完璧に抜いて問題を完全解決することまではできません、しかしガスのかなりの量を抜いてガスによる不具合解決を確実にアシストできます。ガス抜き対策の信頼できるアシストユニットとしてご活用ください。
作動原理ですが、工場で使用されているコンプレッサーから供給される圧縮エアーを用いて、真空ポンプなどを使用せずに簡便にキャビティ内やランナーから発生するガスを金型の外部へバキュームして排出します。ノズルとディフューザーを組み合わせることにより局所的に負圧を発生させてその引力でガスを引き抜きます。圧縮エアー圧力が0.5MPaの時に、真空度は-66kPa、排気流量46L/minのバキューム能力があります。キャビティサイズや抜こうとするガスの量にもよりますが、配置を工夫することでガス抜きのサポートを行うことができます。
特に以下の樹脂の成形加工には効果を発揮しやすいです。
・ACS樹脂(アクリロニトリル・クロライド・スチレン共重合体)
・PC(ポリカーボネイト)
・ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)
・PC/ABS(ポリマーアロイ)
・POM(ポリアセタール)
・変性PPE(ポリフェニレンエーテル)
・編性PPO(ポリフェニレンオキシド)
・PP(ポリプロピレン)
・TPE(熱可塑性エラストマー)
実際にご使用されている事例です。
・パーティング面からのエアベント経由のガス抜きアシスト
・TSベントの裏側からのガス抜きアシスト
・ガス抜き入れ子からのガス抜きアシスト