きさげ作業は、研削面に「きさげ」という工具を用いて、手作業で研磨した表面に微少な凹みを彫り込む作業のことです。工作機械のベッド摺動面や移動する機械部品の表面にきさげ作業が行われています。
きさげ作業の目的は以下の点にあります。
- (1)
- 潤滑油を面に一定に保持させる
- (2)
- 接触面積を小さくし、摩擦抵抗を減らす
- (3)
- 接触面積を小さくして摩擦抵抗を減らし、摩擦発熱量を低減させる
- (4)
- 摩擦発熱量を低減することで熱膨張を抑え込む
- (5)
- 熱膨張による摩擦抵抗の増大を抑制する
きさげには以下の種類があります。
- (1)
- 平きさげ
- (2)
- かぎきさげ
- (3)
- ささばきさげ
きさげ作業を行うためには、作業場の環境を清潔に保つことが重要です。ほこりや切りくず、砂等を掃除機等で常に取り除くことが必要です。また、きさげ加工する場合には適切な切削油を選定し、適量を付与しながら作業します。
きさげ作業を行うためには光明丹を用います。きさげ面の当たりを確認しながら均等なきさげができるように工夫をします。
以上のようにきさげ作業は精密な工作機械の摺動面等には必須の精密仕上げ作業になります。日本の工作機械が精密で狂いが少ない理由にはきさげ作業の存在があります。
プラスチック成形金型の部品加工ではきさげ作業をほどこす例は限られていますが、用途によってはとても有用な機能を発揮することができます。スライドコアや移動する部品等のかじりを防止したりするには最適な方法です。
プラスチック成形金型の設計製作技術の歴史はまだ浅く50年程度しかありません。他の精密機械技術におけるノウハウをよく観察して適応することで有益な効果を得ることも可能です。