350t以下の型締力の射出成形機では、全電動式射出成形機が急速に普及しています。全電動式射出成形機の持つ優れた特徴を最大限に引き出すためには、下記のポイントに留意した金型設計が重要になります。
(1)精密な位置決め
全電動式射出成形機では、金型の開閉を高速で行うことができますが、可動側と固定側のキャビティの位置決めを正確に行いながら、コアピンどうしの接触時の破損や異常摩耗を防止するために、精密な位置決めガイドを装着することが推奨されます。
ミスミの標準部品としては、
- テーパピンセット TPN 他
- テーパブロックセット TBS 他
- サイドストレートブロックセット TSSB
などが推奨部品です。
(2)エジェクタープレートの円滑な作動
全電動式射出成形機では、エジェクタ-プレートの高速作動や多段突き出しなどの動作を行うことができますが、エジェクタープレートの作動が円滑に行える構造に設計をしておきませんと、エジェクターピンのかじりやリターンピンのかじりが発生するおそれがあります。
したがいまして、エジェクターガイドシステムを採用することが推奨されます。
ミスミの標準部品としては、
- 精級エジェクタガイドピン EGH 他
- エジェクタガイドブシュ EGBH(プレーンタイプ)
EGBZS(銅合金無給油タイプ)
EGBL(リニアタイプ)
EMBS(ボールスライダー)他
などが多用されている部品です。
また、エジェクタープレートの戻り確認を確認るためのするためのスイッチを取り付けることも推奨されます。
このような用途としては、
- V-156-1A5-T(マイクロスイッチ)
が推奨されます。
(3)スライドコアの円滑な作動
スライドコアの円滑な作動も重要です。かじりを防止するためには、ガイドレールに油溝を加工したり、無給油素材(オイルレスメタル)を採用することが推奨されます。
ミスミの標準部品としては、
- GR5SCM(溝付きガイドレール)
- SRTL(無給油ガイドレール)
- CGZ(無給油センターレール)
- STW(無給油スライドプレート)
などがお勧めです。
(4)キャビティ表面温度の安定化
成形条件を安定化するためには、金型のキャビティ表面温度を安定させることが重要です。このような目的を実現するためには、下記の標準部品の採用が推奨されます。
- HIP(断熱版)他
- 金型温度調節コントローラ:PID制御方式