問題
ABS樹脂(ナチュラル材)を使用する射出成形金型において、樹脂温度が240℃、冷却水の温度調節器設定温度が60℃であった場合、キャビティ表面温度は何度になっていると推測されるか?
ただし、キャビティ材質はS50Cとし、金型の冷却回路は、キャビティの大きさに対して十分な冷却能力があるものと仮定する。
解答例
キャビティ表面温度 θ=(pr・θr+pm・θm)/(pr+pm)
=(60×187.3+260×5.6)/(187.3+5.6)
=65.8(℃)
pr:樹脂の熱浸透率
pr=√(ρr・λr・cr)
=√(1030×0.1×0.3)
=5.6(kcal/m2h1/2)
ρr:ABS樹脂の比重 1030(kgf/m3)
λr:ABS樹脂の熱伝導率 0.1(kcal/mh℃)
cr:ABS樹脂の比熱 0.3(kcal/kgf℃)
pm:キャビティの熱浸透率
pm=√(ρm・λm・cm)
=√(7800×45×0.1)
=187.3(kcal/m2h1/2)
ρm:S50Cの比重 7800(kgf/m3)
λm:S50Cの熱伝導率 45(kcal/mh℃)
cm:S50Cの比熱 0.1(kcal/kgf℃)
θr:樹脂温度 240(℃)
θm:冷媒の温度 60(℃)
したがって、キャビティ表面温度は、65.8℃付近であると推測される。
- ※参考文献
- :『射出成形金型』(三谷景造 (株)シグマ出版 (1997))