成形加工:プレス加工
- 欠損,折損,異常摩耗が生じやすい条件 要 因 条 件 刃先に欠損を 生じる可能性 大きな摩耗を 生じる可能性 細いパンチで
- 軟鋼板を絞った時に、側壁に薄いリング状の縞模様が発生する不具合現象が「ストレッチャストレイン」であることがあります。 ストレッチャストレインは【図1】に示す「荷重−伸び線図」で、荷重をかけなくとも伸びてしまう「降伏点伸び」によって起こる現象です。 スキンパス圧延(軟鋼板を1%程度薄くする軽い圧延)を行うと、降伏点伸びは無くすことはできます。 しかし、軟鋼板にはひずみ時効現象があり、スキン
- 絞り加工製品を検討するときに、細かな部分を呼ぶときに困ることがあります。覚えておくと便利な各部の呼び方を示します。 【図1】は、円筒絞りに関する呼び名です。
- 曲げ加工製品を検討するときに細かな部分を呼ぶときに困ることがあります。覚えておくと便利な各部の呼び方を示します。 【図1】は、製品形状に関する呼び名です。
- プレス加工では、プレス加工スピード(spm)を上げることで生産性が高まると考える人が非常に多いです。机上の計算では不具合が考慮されないため、数値だけが一人歩きすることとなります。 実際にはいろいろな問題があります。例えば、コネクターの加工では、高速化したことでスプリングやストリッパボルトの破損が多くなる。送られる材料のバタツキが大きくなり金型内で送りミスが多発するようになり金型破損が多くな
- ブランク抜きのさん幅は【図1】に示すように、送りさんと縁さんがあります。ブランク抜きの一般的なさん幅の最小値を【表1】に示します。送りさんに対して縁さん幅が広いのは、材料幅ガイドとの関係です。材料幅に対して滑らかな材料移動ができるように材料幅ガイドは少し広く取ります。そのために縁さん幅は変動しますが、最大偏っても最小さん幅が保てるように、送りさんより広げておきます。
- 軟鋼板(SPC材)を想定して話を進めます。一般的に適正クリアランスを採用して抜き加工すると、切り口面には板厚の30%程度のせん断面が現れます。適正クリアランスは板厚の6%〜8%です(【図1】)。適正クリアランスは工具の持ちが最もよくなる条件です。製品によっては、切り口面のせん断面長さを長くしたい、抜きだれを小さくしたい製品もあります。このようなときには、精密抜き用のクリアランスという
- 絞り加工では【図1】に示すように、ノックアウトによってダイの中に入り込んだ製品を押し出します。そのときに製品の材質が軟質で板厚が薄く、更に底部の肩半径(パンチ肩半径)が大きい形状のとき、【図2】のような形状のノックアウトで排出すると製品の底部が変形してしまいます。 このような製品では【図3】に示すように製品の底半径にノックアウト形状を合わせておき、絞り底の部分で押し出すのではなく
- 絞り加工(円筒絞りをイメージ)の工程検討では、ブランク展開、絞り率からの絞り回数決定と進めますが、板厚を省略しても検討を進めることができます。しかし、実際の絞りをイメージすると、ブランク計算で得られたブランク直径が100mmとしたときに、板厚が1mmのときと0.1mmのときでは絞りやすさが同じであるとは誰しも考えないと思います。 ブランク直径と板厚の関係から絞りの状態を判断しようと
- クイックダイチェンジ(QDC)金型は「迅速交換金型」とも呼ばれるものです。【図1】がそのシステムを示しています。QDCホルダとQDC金型から構成されています。 QDCホルダは、ダイセットにクランプとロケーションピンを有した構造のものです。ロケーションピンはノブで上下します。ロケーションピンは、ダイセットと金型に入れられるダウエルピン(ノックピン)が可動式になったものと考えられます。クラ
- 安全金型(【図1】参照)とは、人が作業するときに身体の一部(主に指先)が危険領域(パンチとダイの間)に入り込まないように、手や指の入りそうな部分のすきま(AやB)が8mm以下の状態に作られた金型を言います。最近では女性の指は細いので「8mmでは大きすぎる。6mm程度が妥当なのではないか」との意見もあります。しかしこのような金型にすると、実際の作業は大変に使いづらい金型となります。安全金型の考え
- 【図1】は上曲げと下曲げのある製品を加工する金型です。この構造ではパンチとダイがスプリングで保持されている可動式のパンチとダイを採用しています。このようなパンチやダイを、フローティングパンチ、フローティングダイと呼びます。 なぜこのような面倒な構造が必要になるかを説明します。【図1】の構造で下曲げを考えます。可動パンチ=パッドとなります。可動パンチ(パッド)は材料を押さえ、その後パッド後ろ
- 入れ子式金型は【図1】に示す入れ子式(インサートタイプ)のプレートを採用した金型の総称です。入れ子式プレートは、ダイプレートとストリッパプレートに利用されることが多いです。この形式を使う金型には精密金型と呼ばれるタイプが多いのですが、誤差の累積という点から考えると、一体式のプレートより位置精度は落ちます。それなのに精密金型に採用されるには、次のような理由があります。 (1) 入れ子部品
- バッキングプレートはバックアッププレート(これが正しい呼び方かも知れません)、バックプレート、バッキン等と呼ばれる金型部品です。【図1】のような使い方をします。 しかし、バッキングプレートは全ての金型に必要なプレートではありません。穴抜きパンチのように小さな面積に大きな力が働くと、パンチは押されてパンチホルダにめり込んでいくことがあります。このようなときにバッキングプレートは必要になり
- プレス機械には金型の取り付け可能な最大高さがあります。この最大高さを超えると、どのようにしても金型をプレス機械に取り付けることはできません。この高さの表現には2つがあります。ダイハイトとシャットハイトです。 【図1】で説明します。どちらもスライドは下死点位置で、スライド調節ねじは、上限まで上げた状態のときのスライド下面からボルスタプレート面までの距離を「ダイハイト」と呼びます。「シャットハ
- ブランク抜き加工は、プレス加工の代表的なものです。その加工は【図1】に示すようにブランクの周辺に枠を取ります。この枠は材料の幅方向に付けられるものを「縁さん」と呼び、送り方向に付けられるものを「送りさん」と呼びます。ブランク抜きでブランクの輪郭形状を作るために必要なものです。この「さん」はスクラップとなるので大きく取ると材料のムダが多くなります。そのためできるだけ小さくしてムダを無くすようにし
- (1)ストリッパ(【図1】) ストリッパ(Stripper)は、プレス加工でパンチに付いた材料をはぎ取る目的で使用される部品です。「かす取り」「払い」などと呼ばれることもあります。 使い方としては、ダイプレートに固定して使う「固定ストリッパ」、と、ダイプレート取り付けるが可動できるようにして使う「半固定ストリッパ」があります。これらはパンチに付いた材料を払うことのみが目的として使
- パンチ(Punch)は材料に押しつけて使われる工具です。通常はダイと対で使われ、材料に形状を転写します。 パンチはいろいろな呼び方があります。ポンチ、雄型(おすがた、おがた)、穴抜きパンチを現す言葉として、針、ピン、矢があり、絞り用のパンチの呼び方として「ぼうず」などがあります。最近ではパンチ、ポンチ、雄型に集約されてきています。日本金属プレス工業協会で標準用語を決めました(四半世紀ほど前
- 金型製作やプレス加工の中で「ダイ(Die)」という言葉は大変よく使われてます。 この言葉は、 (1)ダイ…金型全体を示す。→型、金型(Die) この場合、「ダイ」と単独で使うことは少なく、「型」または「金型」と使うことが多いです。「ダイ」と使うときには、目的語の後に付けて使うことが多いです。例えば「ブランキングダイ」といった使い方です。金型全体を示す目的で「ダイ」を使うと理解されないこ
- Q 押し出し加工について知りたい。 A 押し出し加工は、「据え込み加工とはどのような加工か(プレス加工と金型のQ&A Q21)」で示した据え込み加工と並ぶ、圧縮加工の代表的な加工方法です。 加工の内容を【図1】で説明します。圧縮加工される材料(ブロック状の材料、ビレットと呼ぶ)を遊びのないダイの中に入れ、パンチで加圧して成形します。 【図1】(a)は、パンチの加圧方向と同
- Q 据え込み加工とはどのような加工か。 A 据え込みとは、機械用語辞典によると、材料を長さ方向に圧縮してその長さの一部または全部の断面を大きくする作業とか、材料に加えた加圧軸に直角の方向に材料がつぶされて動き、断面積を広げる加工との解説があります。【図1】に示すような加工が据え込み加工のイメージです。 【図1】(a)が基本で長さ方向に圧縮して長さを縮め、面積を大きくします。 【図1
- Q 平面度を必要とする製品加工のよい方法はないか。 A いろいろな加工(形状を作るための抜きや曲げ、成形加工)を進めることで、【図1】に示すように面の平面度は悪くなります。それを改善して平らな面にすることが求められます。 改善策として、最も単純な方法は材料を平らな面を持ったパンチ、ダイで圧縮加工することです。しかし、この方法だけでは改善が難しいことが多いです。効果のある改善策と
- Q 面付け加工をきれいに仕上げたい。 A 穴抜き加工した縁を【図1】に示すような面付け加工をすることが最近は増えています。皿ビスの座面やバリ取りを目的としたことからです。 面付けは材料をつぶすことから、【図2】に示すように、つぶされた材料は穴の周囲の膨らみとなって現れます。この膨らみは穴を歪ませると同時に穴径を減少させます。単にボルト等の軸が障害なく通ればよいものでは問
- Q 型材質の選び方を知りたい。 A 抜き型のパンチ、ダイを例として材質選定を考えてみます。パンチ、ダイに使われる材質を並べてみます。 プリハードン鋼(HPM)→炭素工具鋼(SK3)→特殊工具鋼(SKS3)→ダイス鋼(SKD11)→高速度鋼(ハイス鋼、SKH51)→超硬合金(V30) 金型にたずさわる人であれば、おおむねこのような並びとなると思います。鋼種は標準的と思えるものを
- Q カール加工で丸くならないが? A カール加工は材料の縁を小さく丸める加工です。そのときに【写真1】に示すように、丸めた一部が丸くならずに直線になってしまうことがあります。材料の縁の強度対策や安全対策であれば問題ないこともありますが、写真のようなヒンジではできるだけ軸の丸さに合っている方がよいです。また、カール部分は外から見える部分となることも多いので、外観的にもきれいな形
- Q 絞り製品の置き割れ対策を知りたい。 A 置き割れ(時期割れ、シーズンクラックとも呼ばれる)は、【写真1】のように加工後しばらくして発生するたて割れです。加工直後に現れるものは比較的被害が小さくてすみますが、組立が完了して、商品となった後に発生すると惨めです。SUS304材や黄銅材によく見られます。 原因は厳しい加工によって材料が加工硬化して、脆性が増した状態に加工に伴う
- Q 絞りビードの使い方を知りたい。 A 【図1】は角絞りのイメージを示しています。角絞りを行うと直辺部のフランジは大きく引かれ、コーナー部の材料はあまり動きません。この流動のバランスを取らないとキャニング等のひずみの原因となります。流動バランスの取り方としては直辺部のダイRを小さくしたり、材料押さえの力を直辺部とコーナー部で変える等の方法がとられます。 このような対策で不十
- Q 絞り高さとプレス機械のストローク長さとの関係について知りたい。 A 加工とプレス機械のストローク長さの関係は、絞り加工のとき、最も注意しなければいけません。【図1】で説明します。 (a)は絞り落としという加工の状態を示しています。フランジのない製品の加工のとき成立します。絞り終わった製品をダイの下に落とします。この加工では図に示すように、ダイ寸法と製品高さの合計以上のストロ
- Q 円筒絞りでしわ押さえなしで絞りができるか。 A 円筒絞り加工の難易の目安は、絞り率と相対板厚(t/D×100)で判断されます。絞りが容易になるのは、絞り率と相対板厚の値が大きくなるとよいのです(大きくなりすぎるのも問題がありますが)。この2つが条件を満たすと、絞り金型にしわ押さえが無くとも絞れるようになります。その条件を絞り率を基準に示すと、次のようになります。 絞り率0.5→
- Q 薄い材料の絞り加工でしわが発生するが? A 絞り加工では製品形状から展開計算をして、ブランク(D)を決め、絞り率から絞り回数を決めていきますが、絞り加工の難易はこの段階では分かりません。加工の難易はブランク(D)と材料板厚(t)との関係から推定します。 これを相対板厚と呼んで、次のように計算します。 相対板厚=t/D×100(%) この計算結果は0.1〜2.0の範囲にで
- Q 抜き製品からクリアランスを知る方法は無いか。 A 金型製作に際して、製品サンプルがあり、その抜け状態にあわせて製品を作りたいようなときに、製品からクリアランスを知りたいと思うことは時々あります。一般的には切り口面を観察してせん断面長さ等から推定する方法がとられますが、クリアランスの値は推定となります。 【図1】はせん断部分の拡大図です。ダイ上の材料とパンチ下の材料の断面に注目す
- Q 抜き型のダイの逃がしはなぜ必要か。考え方は? A 抜き型の状態を【図1】に示します。この図で説明します。 抜きダイはパンチ形状に合わせた穴が加工されますが、加工力を受けるので破損しない強さが必要です。その部分が図にSで示したところです。この部分は刃先が痛むと研削(再研削)します。そのためにある程度S部が薄くなっても耐えられるように設計します。設計の考え方で、再研削部分を長くしてお
- Q 抜き加工力の軽減策として、シヤー角があるがどのように使えばよいのかを知りたい。 A 通常の抜き加工では、パンチ、ダイともに平らに作るので、抜き輪郭形状全体が同時に力を受けます。そのときの加工力(P)の計算式は次のようになります。
- Q U曲げでフランジに凸部がある形状の凸部が変形する? A 【図1】のような形状のU曲げをすると、フランジの凸部が図のように変形することがあります。この現象は、製品形状を理解しないで金型を作ったときに起きます。【図2】に示すように、金型のパンチ・ダイが製品幅(A)より大きく作られていて、凸部の幅(B)が狭いときに発生します。パンチに押されて、ダイR面を滑って立ち上がったブランクのフラン
- Q 大きな円筒形状の作りたい。方法は? A 円筒形状は型曲げでも作ることはできますが、【図1】に示すようなロールを使って加工することもできます。このような加工方法を「ロール成形」とか「ロール曲げ」と呼びます。一般的には3本ロール加工で通用します。 ロール成形では2本の受けロール(B)に対して1本の可動ロール(A)を上側に置き、三角形に配置し、その間を材料を通すことで材料を丸め、筒状に
- Q 曲げ線の長いU曲げ加工をすると、曲げ線方向に反りが出る。原因と対策を知りたい。 A 【図1】のようなU曲げをすると図のような形状に変形し、曲げ線は図のように反ります。金型やプレス機械の剛性が十分であっても、この現象は発生します。原因はスプリングバックにあります。 通常、U曲げではフランジは外に向かって開きます。この時にウエッブ部分も図のように反ります。この現象は製品の両端部分で大
- Q 曲げ加工をすると、曲げダイに接した部分にキズが入ることがある。このキズをなくせないか。 A 通常の曲げ加工では【図1】に示すように、曲げ過程では曲げフランジはダイ肩上を移動しながら曲げられていきます。この時にダイ肩半径が小さいと、曲げフランジにキズを発生させます。加工力と材料の降伏点が関係します。曲げ抵抗を小さくするにはダイ肩半径を大きくすることと、磨きで対策することがで
- Q 曲げ内側の丸みが小さくなると、曲げたときに曲げ部に割れが発生するようになる。割れが発生しないで曲げることができる、最も小さい曲げ内側の丸みを最小曲げ半径と呼ぶ? A 正しい。曲げ内側の丸みを曲げ半径または曲げRと呼びますが、曲げ半径が小さくなるほど中立面の位置は曲げ半径側に移動します。このことは曲げ外側のR部分は大きな伸びが生じていることとなり、割れが発生しやすくなります
- Q シェービングとは、ストリッパやダイに突起をつけて加工する方法をいう? A 間違い。ストリッパやダイに突起をつけて加工する方法は、精密せん断加工(ファインブランキング)である。 解説: シェービングとは、普通抜きされた外形抜きや穴抜きの切り口面を改善する加工方法です。改善の内容としては、切り口面から破断面をなくしてせん断面としたり、板厚面と切り口面の直角度を向上するといった内容
- Q 打ち抜き力の軽減策として、刃先にシヤー角をつけるのは有効である? A 解説: 平らなパンチ・ダイを使った通常の抜き作業をすると、切れ刃全体で瞬間的に加工すると【図1】(a)に示すように、小さなパンチストロークで大きなせん断荷重が発生します。このとき、プレス機械には衝撃を与え、大きな加工音や振動が発生します。パンチまたはダイにシヤーをつけると、【図1】(b)の用のパンチス
- Q 抜きクリアランスを大きくすると、切り口面の悪化と抜き反り(湾曲)が大きくなるが、加工力は低下する? A その通りです。 解説:
- 絞り容器を封止して使う製品は多くあります。コンデンサーや水晶振動子、ヒューズなどです。 【図1】は絞りケースを使っての封止方法です。 (a)は、外装ケースの中に小さなケース(封止ケース)を圧入して封止するものです。外装ケースの内側は、封止ケースにあわせて段形状を作っておきます。 (b)は、外装ケースは(a)同様に、内径は段絞りとして封止部品の固定部位を作っておき、外装ケース縁をネッキン
- シーミングは材料の縁を曲げて、からませて接合する方法です。ハゼ折り接合とも呼ばれます。 【図1】の(a)(b)はシーミング接合のイメージを示しています。(a)は2部品の接合をおこなうものです。(b)は材料の両端で接合して筒状の形状を作るものです。 【図2】はシーミングのいろいろな形状を示しています。
- 【図1】の(a)は丸めパイプと呼ばれる製品です。従来はパイプを切断したり、絞り加工で作られていたものを、コスト低減のために曲げ加工で作るようにしたものです。多く製品ではこの状態で問題なく使えるのですが、軸方向に圧力がかかるとか磁力線を通しやすくしたいといったときに、合わせ面を(b)のような形にして、より強固な接合とすることがあります。このときに注意することがあります。凸と凹の角に(c)に示すよ
- 【図1】に示す接合形状は一方の部品には穴を加工して、もう一方の部品には何らかの凸形状を作り接合するものです。【図1】の(a)~(d)に示す方法は、穴と凸部の摩擦力によって接合されます。具体的には穴に凸部を押し込む形を取ります。凸部が大きすぎると削りかすができたり、面が変形したりします。 この方法では2部品の接合だけでなく、積層することも可能です。モーターのローターやステータは、これらのどれか
- プレス加工の工法の内に接合加工があります。【図1】に示すシャフトのかしめは、機構部品を作る際によく使われています。この形でのポイントは、かしめ強さと面に対するピンの垂直度です。かしめ強さはピン端部の潰し方とピンと穴の関係があります。一般的にはハイスピント呼ばれるかしめ機が、かしめ作業によく使われています。垂直度は(a)の形より(b)フランジのあるピンの方が勝ります。 【図2】は2部品を
- 浅いZ曲げや切り曲げ等では、加工時に材料を押さえ、曲げ加工を行う方法があります。このときに、加工してダイに付いた製品はノックアウトで外し、ダイより取り出します。 【図1】(a)はこの曲げ構造を示しています。(b)は曲げが完了した下死点の状態を示しています。金型構造を設計するときは、通常、この状態で行いますが、ここに落とし穴があります。(c)はパンチの戻り行程で、ストリッパが材料を押さえ、パ
- U曲げ加工では、左右のフランジの大きさは同じと想定しています。そのフランジの大きさが違ってくると、【図1】のようなイメージです。 U曲げ加工はうまくいかなくなり、大きい方のフランジは角度が開き、小さい方のフランジは逆に閉じる方向に変形します。この原因を【図2】に示します。曲げ途中の状態を示しています。
- 押さえ曲げで、90度以上の曲げ(鋭角曲げ)は普通の方法では難しくなります。鋭角曲げを実現するひとつの方法としてスイング曲げがあります。その構造を【図1】に示します。 金型構造は可動ストリッパ構造です。パンチはパンチプレートに支点ピンで支えられています。このパンチを「スイングパンチ」と呼びます。スイングパンチは押しスプリングで押され、ストリッパに押しつけられています。このときのパンチRと
- 【図1】(a)に示すように、曲げ加工ではスプリングバックによって角度が変動します。その対策として、曲げ部に外力を与えて、曲げ部の内部ひずみを相殺して角度の変動を押さえるようにします。曲げ部への外力の与え方としてよく使われるのが、【図1】(b)に示す曲げ内Rのセッティングです。
- 【図1】に例として示すような形状の加工では、L曲げ加工を行うとウエッブは加工方向に引かれて、図のように変形します。常識的にはウエッブの材料押さえを強くしますが、それだけでは対応が難しい場合があります。そのようなときの対応を以下に示します。 【図2】は左右対称形状のときの対策です。2個取りにしてU曲げの形とすることで、加工力のバランスを取ることで変形を防止します。曲げ後に、分断することで
- 1度の加工で作られるZ曲げ加工では、フランジ部分が曲げ戻し変形を受けることから、曲げられた部分は、ウエッブと平行なダイを用いて加工すると【図1】に示すように跳ね上がり、ウエッブ部分と平行にはなりません。SPCC材では、おおよそ2〜3度跳ね上がります。
- U曲げ加工では、【図1】に示すような変動がでやすいです。 (a)は、左右のフランジが同じ高さとならずに段差ができる現象です。 (b)は、フランジがねじれる現象です。 (c)は、フランジの曲げ角度が、開いたり閉じたりする現象です。 これらの原因と対策を考えます。 【図2】を参照して下さい。
- 曲げたときに、曲げ角度がよくても、フランジ高さやフランジにある穴までの寸法が変動する。このようなことが時々起きます。この原因と対策を考えます。 【図1】は、フランジにある穴の位置変動が起きるイメージを示しています。この変動原因として考えられる内容は、L曲げのような押さえ曲げと、V曲げのような突き曲げではようすが少し異なります。
- U曲げ加工は、製品がパンチを両側から挟み込むように曲げられます。通常はスプリングバックがありますから、製品は比較的簡単にパンチから外れます。そのためパンチから製品外しの機能を持たない金型も多くあります。 ところが、【図1】に示すような曲げ半径部分を圧縮してスプリングバック対策をすることも多くあります。このようなときに、圧縮部分で製品がパンチに食いつく。フランジがパンチ側に倒れ強く接触する。
- 曲げと割れの関係については、材料の圧延方向と曲げ線の関係があります。材料の圧延方向と曲げ線は、直角または角度で交わる関係が割れ防止となります。 【図1】に示すように、曲げ半径を大きくすることも効果があります。曲げ半径は板厚の5倍程度が大きくする目安で、それ以上大きくしてもあまり大きな変化は期待できません。
- 抜き加工では、加工された材料はダイ上に残るものと、ダイを通過して下に落ちるものとに分かれます。下に落ちるものが製品であれば、だれも丁寧に扱いますが、スクラップとなると適当に処理しなさいとなることが多いように思います。このようなことが金型段取り改善等のときに問題となることが多いように思います。【図1】は穴抜き加工の例で、金型とスクラップの関係を示したものです。スクラップはダイを通過して下に落ちま
- 絞りや成形加工はブランク外周を縮ませながら形状を作るのが普通です。そのために、成形後のフランジ輪郭形状は、元のブランク輪郭形状から変化して不規則な形状となります。例えば、円形ブランクから円筒絞りをすると、絞り後のフランジ形状はきれいな円形とならず、四角形に近い形状となるのが身近な例といえます。製品の求める輪郭形状とはほど遠くなるり、トリミングが必要となります。
- 抜き加工で、かす上がりとかす詰まりは裏表のトラブルといえます。かす上がりによって製品に打コンを作るのも問題ですが、抜きかすがダイに詰まると、【図1】に示したようなイメージとなります。 抜きかすは、頭の中では金型を通過すると、ひとつ一つバラバラになり落下するように思いますが、現実には抜き加工に使用した油やバリで付いて棒状になり、適当な長さで落下します。このときにかすが通過する穴の形状によ
- 材料の板厚に近い幅を残す加工では、左右を同時に抜くことが金型強度の関係から難しいので、左右を交互に抜き加工するようになります。そうすると、【図1】に示すような形状にできあがることが多くなります。
- 打ち抜き加工(ブランク抜き、外径抜きと呼ばれるもの)では【図1】に示すような湾曲(そりと呼ぶこともありますが、そりとは1方向に対する変形として、ここでは湾曲、全周が変形すると区別することにします)が発生します。
- 通常の抜き加工では、パンチ・ダイの切れ刃によって、材料は【図1】に示すように「だれ→せん断面→破断面→バリ」の順で、切り口面が形成されます。 プレス加工で最も多く利用されている軟鋼板(SPC材)を標準的なクリアランスで切断すると、せん断面の長さが材料板厚の1/3程度となり、バリの高さは0.03〜0.05程度が目安とされます。この程度のバリを平常な許容範囲内と考えられる場合、「かえり」と
- バーリングは、板材に穴をあけ(この穴を下穴と呼ぶ)、下穴に大きなパンチを押し込み下穴の縁を広げながら立て、フランジを作ります。【図1】に示す形です。 この形がバーリング形状を作る基本です。ここで注意することがあります。【図1】の(a)→(b)の形で加工すると、下穴のバリがバーリング形状の外側となり、伸ばされる部分が割れやすくなり、加工限界を下げる形となります。単工程加工であれば穴抜きを反
- しごきバーリングは板厚より小さいクリアランスを用いて加工します(【図1】参照)。普通バーリングではフランジ部の厚さが先端に行くほど薄くなりますが、クリアランスを小さくすることで材料は圧縮され、均一な厚さのフランジが作られます。クリアランスは、材料板厚の70〜60%位とすることが多いです。
- 普通バーリング加工は、材料の板厚と同じ寸法でクリアランスを取り、加工するバーリングです。製品図に表されるバーリング寸法は、穴径(通常はパンチ径に相当する径)と高さが示されています。この寸法を元にして【図1】に示すような形に置き換えて、下穴の寸法を求めます。式はバーリング中心直径(dm)の面積から下穴径(d)を求めるものです。 バーリング加工は下穴を押し広げて、材料の伸びを利用してフランジ
- バーリング加工は【図1】に示すように、穴の縁にフランジを成形する加工方法です。 穴フランジ加工と呼ばれることもあります。伸びフランジ成形です。バーリングは丸形状のイメージが強いですが、穴の縁にフランジを作る形であれば、四角や楕円の穴であってもバーリングです。代表的なものが丸形状ということです。四角や楕円は直線部分があり、その部分は曲げとなるので丸形状に比べ条件がよくなります。そのようなこ
- 絞り製品のトリミングで、【図1】に示すようなフランジを持ったものでは、フランジ部分を普通の抜き条件で加工すればよく、特に問題となることはありません。 しかし、フランジのない絞り形状ではトリミングが問題となることが意外とあります。カムや特別な方法を採用しないでトリミングする方法を、以下に示します。
- 【図1】にヘミング曲げ形状を示します。ヘミング(折り返し曲げ)は端部の強化や手等が触れたときに、なめらかなタッチとなるようにしたい(含む安全化対策)ときに使用します。接合手段として使うこともあります。 【図2】は、2工程曲げの工程です。鋭角なV曲げを行い、2工程目では平潰しして密着させます。
- 【図1】にカール曲げ形状を示します。カールは端部の強化や手などが触れたときに、なめらかなタッチとなるようにしたい(含む安全化対策)ときに使用します。 加工工程の特徴としては、1工程目の先端曲げ(ニップ曲げともいう)です。この工程によって、加工が容易になり、仕上がり形状もきれいになります。 cは2工程加工を示しています。
- Z曲げ形状を【図1】に示します。Z形状は垂直部分の長さ(H)寸法によって加工方法が変化します。 【図2】は1工程での加工方法の種類を示しています。
- 【図1】に、L形状とU形状の曲げを示しました。この形状の加工方法について説明します。L形状が基本となると思います。加工方法については、【図2】に示すような方法があります。V曲げ加工とL曲げ加工です。
- 曲げで、【図1】に示すように、バリ面が外側にあると割れが発生しやすくなります。特に曲げ線の両端に現れやすいです。イメージしやすいバリを表現に使いましたが、曲げの両端面(切り口面)の状態が悪いと材料の伸び限界が下がり、割れが発生しやすくなる。ことを言いたいのです。 曲げの内側のR(曲げ半径)が小さいと得に割れがでやすいです。そのために材料には最小曲げ半径として、加工限界値をJIS等で示して
- 切り曲げは、特殊な曲げ方法といえます。【図1a】に示すように、抜き加工の切り込み(スリット)と曲げを一体化した加工方法です。抜きの面から見ても、鋭角な先端を持ったパンチで加工するので、破損しやすくなります。曲げも、桐ながら曲げていくために、曲げ部の材料の伸びが不自然になり、割れやすくなります。また、加工後の製品がダイについて取れにくくなったりします。 その対策が【図1b】です。
- 曲げに伴う形状の変化(変形や割れ)は、抜き形状(ブランク形状や穴)が関係することが、意外と多くあります。主な原因要因は、曲げ部分に発生する材料の伸びに伴う影響(割れや引け)です。以下に代表的な問題形状を示します。 【図1】は、曲げ線と外形線が一致した場合に起きるものです。曲げ端部は材料の伸びがついてこられなくなり、割れが発生することがあります。対策としては図に示したように、曲げ線
- ヘミングは180度折り返す曲げ加工です。その展開計算の方法は【図1】に示す簡易的な方法が一般的によく知られています。この方法ではヘミング寸法AとBを足し算して、補正値fを引くものです。補正値の中身は、180度曲げ部の展開長さと板厚減少寸法を考慮したものです。
- カール曲げ形状は【図1】のようになります。展開計算では、3/4円を形成する部分(L1)と、残り部分(L2)に分けて計算して、L=L1+L2として展開長さを求めます。
- 【図1】に示すような形状の曲げ展開をするには、直線部分(図にA、Bで示した部分)と曲げ部分(Xで示した部分)に分けて計算します。直線部分は変化が無いのでそのままの数値を使います。曲げ部分について計算して、直線部分と合計して、展開長さ(L=A+X+B)を求めます。 X部分は、曲げた内側の周長と外側の周長では長さが違います。元の長さより、外側は伸び、内側は短くなっています。しかし、板厚のどこかに
- 抜き加工のバリはでるものであり、無くすことは難しいです。そのために、加工後にバリを面打ちして取ることはよく行われています。PL問題があり、最近ではバリ取りは増える傾向にあります。 バリを無くす加工方法の一つがここに示す方法です。一般的には「平押し法」と呼ばれる方法です。 この方法はまず【図1】に示すような半抜きを行います。通常、パンチはダイより少し大きくします。このような状態を「マイナスク
- 仕上げ抜きは、きれいな切り口面を得るための抜き加工です。仕上げ抜きではクリアランスをほぼゼロにします。そして、パンチまたはダイの刃先に丸みを付け破断の発生を遅らせることで、きれいな切り口面を作ります。 ブランク加工の時には【図1】に示すようにダイの刃先に丸みを付けます。穴抜き加工の時には、逆にパンチの刃先に丸みを付けます。 刃先に付けるのは丸みが基本ですが、面取りでもOKです。加工力が
- 普通の抜き加工は【図1】(a)のような切り口面となります。この面が、きれいなせん断面の形で欲しいときがあります(輪郭形状や穴または形状の一部)。このようなときに【図1】(b)に示すように、切り口面をわずかに削りきれいな面に仕上げることをします。このような加工方法を「シェービング加工」といいます。 シェービング加工で大事なのは【図1】(b)に示した、取りしろの大きさです。1回の加工で削れる
- アウトカット加工では、サイドカットや送り装置を用いて、送り長さ(送りピッチ)ずつ材料を移動させて(送って)加工していきます。この時に、送りピッチのバラツキは製品に影響します。送り誤差を加工の直前に修正する目的で使用されるものが「パイロット」です。 パイロットは基本的には丸穴を利用して、その穴に先のとがった軸(パイロットパンチ)を挿入して誤差を修正します。 穴の利用の仕方に2通りあります。
- アウトカット加工は、カットアンドキャリーとも呼ばれることもあります。材料を送り長さ(送りピッチ)で移動させ加工するからです。送りピッチが正確でないと加工形状はばらついたものになり、製品とならないこともあります。送りピッチを安定させる目的で使用されるものがサイドカットです。 【図1】はサイドカットの使い方を示したものです。材料の端を送りピッチ分だけ切り欠き、切り欠いた部分をストッパに突き当て
- 順送加工等で外形形状をアウトカット加工で作ると、【図1】に(a)〜(d)で示した切りつなぎ部ができます。切りつなぎ部は、2つのパンチで交叉して作られる形状部分のことをいいます。このような部分を一般的には「マッチング部」といいます。 【図1】で(a)で示した部分は、90度に直交する部分のマッチング部です。(b)で示す部分は直線部にできるマッチング部です。(c)は角度部のマッチング(d)はR
- アウトカット加工では、切り欠き加工を中心に外形形状を加工します。そうしますと、【図1】に示すように、ブランクの中央でブランクどうしがつながるのが自然です。この形を「中央キャリア」または「センターキャリア」と呼びます。 キャリアとは、材料送りのための材料のつなぎ部分のことをいいます。キャリアは材料送りで変形せずに材料を移動できる強さが必要です。センターキャリアではつながりが少ないと曲がってしま
- 【図1】は、切り欠きと切断を利用した外形形状加工の例を示しています。材料の幅方向の形状は切り欠き加工で加工して、送り方向の形状は切断を利用して材料節約をする考え方です。切断加工を用いていますから、加工された製品のバリ方向は部分的に異なります。 【図2】は、切り欠き加工と分断加工を用いた外形形状加工の例です。この形では、加工された製品の全周のバリ方向は同じになります。アウトカット加工での
- 抜き加工の基本的な加工は【図1】に示すような内容になります。ブランク抜きと穴抜きは内容は同じで、使い方が違うだけです。この基本的な加工方法を組み合わせて、外形形状加工をします。
- スリット加工は切り込み線を入れる加工です。スクラップを出さずに形状を作ることができます。スリット加工の使い方を覚えて下さい。 【図1】はスリット加工のイメージを現しています。材料の端から切り込みを入れるものと、料の中に切り込みを入れる方法があります。スリット加工はパンチに角度をつけてせん断する加工です.パンチの先端から切り始め傾斜角の途中で止めることで、切られない部分が残るのです
- 切り欠き加工は地味な加工ですが、大変多く利用されている加工法です。その特長を学んでください。 【図1】は切り欠きを示しています。切り欠き加工の寸法設定は、穴抜き加工と同じです。切り欠き寸法=パンチ寸法とします。したがって、クリアランスはダイ側に取ります。 切り欠き加工の特徴は、全周を抜かないで【図1】から分かるように、パンチに加工しない面があります。ここに問題があります。
- 【図1】は分断加工を現した図です。切断加工とイメージが似ていることから、よく比較されます。切断は製品の左右のバリ方向が逆になりますが、分断では揃います。その代わり幅で(2本線で)切るので、スクラップがでます。切断より材料の利用率は多少悪くなります。基本的な使い方のイメージは、左右のバリ方向を同じにしたいときに使うことです。
- 切断加工はシンプルなせん断加工です。この加工方法が使えれば、簡単な金型で歩留まりの良い加工ができます。 【図1】は切断加工を現した図です。切断は1本の線で材料を切ります。そのため切った左右のバリ方向は逆になります。製品によってはバリ方向指定があり使えないことがありますが、使えればスクラップレスの加工ができ、材料の利用率を格段に高めることができます。 1本の線で加工することは
- 穴抜き加工は抜き加工の基本です。条件設定と加工上の問題点を把握しておきましょう。 穴抜き加工はブランク抜き加工と同じ加工ですが、金型の条件設定が違います。【図1】にその内容を示します。パンチ寸法=穴加工とします。そして、ダイにクリアランスを取ります。ブランク抜きのときと設定が逆になります。製品はダイの上に残ります。スクラップはダイを通過して下に落ちます。 一般的には穴抜き加工
- 抜き加工の基本は打ち抜き加工です。打ち抜き加工では、プレス加工製品の輪郭形状を作ることが多いです。輪郭形状を作る加工を、外形抜き加工とかブランク加工(ブランキング)と呼びます。 そのイメージが【図1】です。材料から抜かれた部分が製品です。 ブランクを作るために材料は少し大きくします。材料の大きくした部分を「さん(bridge)」と呼びます。 さんには「送りさん」と「縁さん」があります
- 曲げフランジの高さがだんだんと低くなると、曲げがうまくできずに変形します。何とか形状を保てるフランジ高さの最小値の目安が【図1】です。変形の状態を説明したものが【図2】です。
- クリアランスとは【図1】に示すパンチとダイのすきまのことです。 クリアランスが大きくなると、打ち抜きに要する力は小さくて済みますが、【図2】に示す切断面のだれ及び破断面の傾きが大きくなります。 【表1】に、抜き加工のクリアランスの価を示します。