【図1】に、L形状とU形状の曲げを示しました。この形状の加工方法について説明します。L形状が基本となると思います。加工方法については、【図2】に示すような方法があります。V曲げ加工とL曲げ加工です。
V曲げは、最も簡単なL形状の曲げ方法といえます。パンチとダイの間には決まった大きさのクリアランスがありません。パンチをダイに押しつけることでクリアランスは変化します。押し方によって曲げ角度を自由に変えることもできます。曲げ後に、材料を圧縮することもできます。板厚よりも大きなクリアランスを使い、90度以上に開いた曲げをこの金型で加工することを「自由曲げ」と呼びます(パンチ、ダイの角度が90度に作られているとしたときに)。板厚を圧縮するような曲げ方を「突き曲げ」と呼びます。自由曲げと突き曲げの両方ができるのが、V曲型曲げです。
L曲げは、押さえ曲げと呼びます。材料をパッドで押さえ曲げます。パンチとダイ間のクリアランスは一定に保ちます(90度曲げの場合、角度のついた曲げのときには、クリアランスは下死点位置で決める)。この押さえ曲げで重要なのはパッドの押さえ力です。押さえ力が弱いと、ウエッブ部分はパンチ方向に引かれ寸法が変動します。パッドの押さえ力はウエッブの面積が大きく影響します。
U曲げは、L曲げを両側に行う形とみることができます。U字形状をしたダイを使う自由曲げの構造で加工することもありますが、【図2】に示す構造で加工するのが普通です。パッドはパンチ下にきて材料を押さえます。このパッドの配置を逆押さえと呼びます。パッドの押さえ力が弱いと、ウエッブは矢印方向に反ります。この点が、片側のみ曲げるL曲げとの違いです。
L曲げではパンチ方向への引かれ、U曲げではウエッブの反りに注意が必要です。
【図3】と【図4】は、曲げ精度を安定させるための工夫です。【図3】は、2工程曲げをすることで、曲げ位置や角度を安定させる目的で使います。【図4】は、曲げ位置を安定させるために、曲げ位置に線を入れて加工する方法です。曲げ部強度が弱くなりますが、曲げ力を小さくできる効果もあります。