しごきバーリングは板厚より小さいクリアランスを用いて加工します(【図1】参照)。普通バーリングではフランジ部の厚さが先端に行くほど薄くなりますが、クリアランスを小さくすることで材料は圧縮され、均一な厚さのフランジが作られます。クリアランスは、材料板厚の70〜60%位とすることが多いです。 |
同じ下穴でもしごき量(クリアランスの大きさ)でフランジの高さが当然のことですが変わります。また、パンチ先端形状によっても変わります。その違いを【図2】に示します。
テーパ形状から平底で肩半径が小さい方向に向かってフランジが高くなっています。これはテーパで滑らかに変化させるより、小さなRで急激に変化させる方がフランジが高くでることを示しています。ちなみに加工力は、平底で肩半径が小さいものが一番大きくなります。
クリアランスが板厚の70%付近より大きくなると高さの変化が少なくなりますが、伸びの影響でボリュームが減少していることが影響しているためと思われます。
しごきバーリングはフランジ部の板厚が薄くなりますが、内径、外形の精度を高めることができます。フランジの高さも高くできます。これを利用して【図3】に示すように、位置決めのだぼ(突き出された凸部)として利用したり、かしめ用のピンとして利用することなどができます。
タップ加工をする穴として、バーリング加工はよく使われています。タップ用のバーリングをしごきバーリング加工とすると、フランジが薄くなっているところにねじが加工されるため、バーリング部がさらに弱くなり、ねじ部の強度不足となることがありますから注意が必要です。