絞り加工(円筒絞りをイメージ)の工程検討では、ブランク展開、絞り率からの絞り回数決定と進めますが、板厚を省略しても検討を進めることができます。しかし、実際の絞りをイメージすると、ブランク計算で得られたブランク直径が100mmとしたときに、板厚が1mmのときと0.1mmのときでは絞りやすさが同じであるとは誰しも考えないと思います。
ブランク直径と板厚の関係から絞りの状態を判断しようとするものが「相対板厚」です。相対板厚(【図1】参照)は次のように表されます。
相対板厚=t/D×100(%)
通常の製品での計算結果は0.1〜2.0の範囲に収まってきます。数値の小さい方が絞り難しく、数値が大きくなると絞りは容易となります。
ブランク直径100mmで板厚が0.1mmは相対板厚が0.1となり、難しい絞りです。どのようなことかというと、しわ押さえ力等の少しの条件変化で、しわがでたり割れたりします。
ブランク直径100mmで板厚が1mmは相対板厚が1.0、この数値であればしわ押さえ付きの絞り型でそれほど苦労なく絞ることができます。
相対板厚が3以上になると、しわ押さえなしの絞りが可能となります。
相対板厚が更に大きくなると破断してしまい、絞りは難しくなります。
相対板厚でこのような判断が可能となります。絞り率と組み合わせることで更に細かな条件を知ることができます。