切り欠き加工は地味な加工ですが、大変多く利用されている加工法です。その特長を学んでください。
【図1】は切り欠きを示しています。切り欠き加工の寸法設定は、穴抜き加工と同じです。切り欠き寸法=パンチ寸法とします。したがって、クリアランスはダイ側に取ります。
切り欠き加工の特徴は、全周を抜かないで【図1】から分かるように、パンチに加工しない面があります。ここに問題があります。
【図2】に示すような側方力(スラスト荷重)がパンチに働きます。するとクリアランスが広がりバリ発生原因を作ります。この対策としてパンチをバックアップします。
その1つの方法がバックアップヒールです。バックアップヒールは加工に先行してヒール部分がダイに入り、側方力が働いたときにこの部分でその力を受け、パンチが動かないようにします。
バックアップヒール以外の対策としては、ダイ側を凸にして、その部分で側方力を受ける方法もあります。この方法をバックアップブロックと呼びます。
どちらも同じ目的に使用します。そのときの加工内容によって使い分けをします。
【図3】は切り欠き加工の利用例を示しています。
(a)はブランクの一部にスロット(細い幅の切り欠き形状を特にこう呼びます)があり、ブランク抜きではスロット部分のダイが破損してしまうような形状です。このようなときにブランクはスロット部分を外して作り、別工程で切り欠き(このような加工をスロッティングと呼ぶこともある)します。製品に穴があるときには穴加工の中に切り欠きを組み込みます。
(b)は切り板(スケッチ材)から四角形状の絞り加工をするようなときに、コーナーをカットする事で絞りのトラブルを防ぐことがよく行われます。このときのコーナーカットは切り欠き加工です(図のような直線でのカットは切断とする人もいるかもしれません。両者の判断の分かれる形状です)。
(c)は大きな形状の輪郭(ブランクまたはトリミング等)を1度に加工すると、スクラップの処理に困ることがあります。このようなときに図にしますように、切り欠きを用いて、何回かに分けて加工することがよくあります。切り板を使ってのプレスラインでの加工等に、比較的多いように思います。