Q
押し出し加工について知りたい。
A
押し出し加工は、「据え込み加工とはどのような加工か(プレス加工と金型のQ&A Q21)」で示した据え込み加工と並ぶ、圧縮加工の代表的な加工方法です。
加工の内容を【図1】で説明します。圧縮加工される材料(ブロック状の材料、ビレットと呼ぶ)を遊びのないダイの中に入れ、パンチで加圧して成形します。
【図1】(a)は、パンチの加圧方向と同じ方向に材料が動き、ダイ穴で形状が作られます。このように押した方向と同じ方向に加工をする方法を前方押し出しと呼びます。断面の減少率は条件のよいもので80%程度とされています。ダイ径(D)との関係で示すと、D≦0.45dが目安となります。 【図1】(b)は、リング状の材料を押し出す方法もあることを示しました。
【図2】は材料を底のあるダイに入れ(実際には加工された製品がダイの中に残り、取り出しが必要となるので、ノックアウトが組み込まれる)、パンチで加圧して、パンチの加圧方向と逆の方向に材料を動かし形状を作ります。前方押し出しとは逆の方向に材料を動かすことから、後方押し出しと呼びます。飲料カン等はこの方法で作れれることが多いようです。【図2】(a)が基本形いえます。
ここでのダイ寸法(D)とパンチ寸法(d)の関係は、d≦0.86Dを目安として、(D-d)/2=TはT≧d/5の関係に収まっていることが必要です。【図2】(b)は中空パンチを用いた後方押し出しもあります。
上記の内容が押し出し加工の基本で、実際の加工では両者を組み合わせて加工する等、多くの変化があります。
- ※参考文献
- :『図解プレス加工辞典』P166(宮川松男 日刊工業新聞社)