【図1】に示す接合形状は一方の部品には穴を加工して、もう一方の部品には何らかの凸形状を作り接合するものです。【図1】の(a)~(d)に示す方法は、穴と凸部の摩擦力によって接合されます。具体的には穴に凸部を押し込む形を取ります。凸部が大きすぎると削りかすができたり、面が変形したりします。
この方法では2部品の接合だけでなく、積層することも可能です。モーターのローターやステータは、これらのどれかで積層されています。
個別に説明します。
(a)は突き出しを利用した接合です。通常の突き出し高さは板厚の70%程度です。あまり高くするとちぎれてしまうことがあります。突き出しと穴を別々に加工して接合する方法もありますが、多くは穴あけされた部品の穴を突き出しのダイにみた立て突き出し加工をして、接合します。
(b)は張り出し絞りを利用して凸形状を作り、接合します。凸形状を作るのには突き出しより手がかかりますが、高さを高くすることができます。凸部の内側が空間なので弾性力を利用することも可能です。
(c)は凸形状の加工に穴抜き加工かランシングを用いているものです。ランシングで説明すると、ランシングで平行面を作り、それを山形に成形して凸形状とします。凸形状を穴に押し込み接合します。
(d)は凸形状の作り方としては(c)と同じですが、成形を両端がつながった山形とせずに、片側のみのつなぎとしたものです。凸の高さはかなり自由に作ることができます。
【図2】は摩擦力だけでなく、更に強力に接合をするものです。個別に説明します。
(e)は穴とバーリングを利用しての接合です。穴径とバーリング径で位置決めをして、バーリングの縁を開くことで一体化します。バーリングはしごきバーリングを使います。
(f)は張り出し絞りで凸形状を作り、それを穴にはめ、かしめる接合方法です。接合と気密を必要とするときに採用されます。飲料カンのプルトップのリップル部分の接合がこの方法です。
(g)は凸形状は突き出しとして、穴に接合してかしめます。この方法では、穴のある部品の板厚は凸形状のある部品より薄くします。