押さえ曲げで、90度以上の曲げ(鋭角曲げ)は普通の方法では難しくなります。鋭角曲げを実現するひとつの方法としてスイング曲げがあります。その構造を【図1】に示します。
金型構造は可動ストリッパ構造です。パンチはパンチプレートに支点ピンで支えられています。このパンチを「スイングパンチ」と呼びます。スイングパンチは押しスプリングで押され、ストリッパに押しつけられています。このときのパンチRとダイRのすきま(クリアランス)は、曲げ加工する材料の板厚分となるように設定されています。
【図2】は、パンチがダイの中に進入して、材料が90度に加工された状態を示しています。
このとき、パンチ斜面とダイ斜面が接触した状態でもあります。曲げ開始からこの状態までは、パンチとダイが材料に接している部分が少ないので、キズの発生も軽減できます。
【図3】は、パンチがダイにさらに進入したときの形を示しています。
パンチはパンチ斜面がダイ斜面を滑って移動します。この移動は、支点を軸としての回転運動です。この運動で、材料は横に押され、90度以上に変形をします。パンチが下死点に到達すると、材料はダイとパンチの面で圧縮されます。このとき、パンチ斜面とダイ斜面も密着しています。鋭角な曲げを比較的安定した状態で加工することができます。