Q
抜き製品からクリアランスを知る方法は無いか。
A
金型製作に際して、製品サンプルがあり、その抜け状態にあわせて製品を作りたいようなときに、製品からクリアランスを知りたいと思うことは時々あります。一般的には切り口面を観察してせん断面長さ等から推定する方法がとられますが、クリアランスの値は推定となります。
【図1】はせん断部分の拡大図です。ダイ上の材料とパンチ下の材料の断面に注目すると、それぞれのせん断面がパンチ、ダイの側面に接しています。分離されたバリの部分は、やはりパンチ、ダイに接しています。この状態が理解できていれば、【図2】に示すように、せん断面とバリの付け根部分の寸法を測定することで、数値を掴むことができます。しかし、パンチ、ダイの切れ刃部が摩耗している場合、バリの付け根は丸みを持った形状となっていることもあります。この時には摩耗状態を推定して、形状を決め測定することになります。このようにして得られた数値と、切り口面の状態からの推定とをあわせて判断するとよいでしょう。
せん断加工された切り口面からは他に、マッチングの位置などを知ることもできます。このような部分が分かると、順送り加工製品か単工程加工の製品かといったことや、更に外形形状を加工するためのパンチの分割状態も、ある程度推定することができます。むかしの製品があるり、加工方法が分からなくなってしまったようなときに、残された製品を詳細に眺めることで、工法を推定したり、工法を知るための勉強として使うこともよいでしょう。加工された製品を観察することはよいことで、多くの情報を得ることに役立ちます。