射出成形金型:基本設計
- ホットランナーの種類(ゲート構造) オープンゲート バルブゲート ホットランナーの種類(ゲート構造) ホットランナーにおけるゲート構造は、以下図1に示す2パターンに分けることができる。 図1.ゲート構造 1)オープンゲート(ホットチップ/サーマルゲート) ノズルチップ形状と温度制御によりゲート周辺の樹脂を固化させることでゲート開閉を制御している。
- ホットランナーとは? コールドランナーのデメリット ホットランナーのメリット ホットランナーとは? 射出成形金型において、成形機のノズルから成形品部(キャビティ)まで溶融状態の樹脂を供給するためのシステムである(図1)。樹脂温度、流速、圧力を制御することによるキャビティへの充填バランスを制御することができる。 ホットランナー化することで「廃棄部材(ランナー)が無くなる」もしくは「
- 3DCADデータアップロードで、即時見積もりと加工、最短1日出荷のmeviy(メヴィー)。
- ピンポイントゲート用カッターによる加工 型番 C−PGSRC 型番 C−PGC/C−PGTC
- 通常、キャビティ・コアは、モールドベースの型板やバッキンクグプレートに締結されますが、その締結方法として代表的な例を紹介します。 【図1】に4種類の事例の説明図を示します。 A.ボルト締結 ボルト締結は、キャビティ・コアにねじ穴やボルト固定穴が、スペース的に設けられる大きさの金型で多用されている方法です。 ねじにより強固に締結することが可能です。パーティング面側からボルト締めする方法
- エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)やスーパー・エンプラの中には、キャビティの表面温度が100℃を超える種類の樹脂が増えてきています。 キャビティの表面温度が90℃ぐらいを超えてしまいますと、水(お湯)による温度調節では通常、昇温と温度保持が困難になります。 一般には、下記の手段が採用されます。 (1)油温度調節 油による温度調節は、型板やキャビティに設けられた流路に、循環ポンプか
- アルゴリズム(algorithm)とは、計算方法のことです。金型設計を行うためには様々な技術項目を検討し、計算し、判断して最終的な設計を完成させます。この一連の設計作業は、単純にステップごとに検討を進めればよいわけではなく、一度検討した結果であっても、別の検討の結果によってはもう一度検討をやりなおさなければならないこともたくさんあり、複雑な計算判断の流れになっています。単純に流れ作業で検討を積み
- 大型のモールドベースでは市販の圧延鋼材では対応ができないため、鋳造により鋳物モールドベースを製作します。鋳物は、材料金属を溶解して、砂型等の鋳型で鋳造して製作されます。 鋳物の材料には各種の素材があり、強度や硬さによって選定がなされます。
- 前提条件 F :突き出しに必要な力(kgf) d :円筒成形品直径(cm) t :成形品肉厚(cm) l :成形品高さ(cm) μ :金型表面と成形品内側の静摩擦係数 σ :成形品の引張応力(kgf/cm2) E
- プラスチック成形品の精度を保証するためには、金型のキャビティ、コアやモールドベース等の金型部品を精度良く機械工作する必要があります。工作機械は、金型部品の形状や材質、硬度などによって選択されますが、工作機械や工作法自身の要因によって加工精度には上限があります。 どの工作機械であれば、どの程度までの精度で機械工作ができるのか?を金型設計者は熟知しておかねばなりません。 工作精度は、金型の製作コ
- プラスチック射出成形加工では、金型のキャビティ内に射出されてある程度の強度が得られるまで冷却固化がなされた成形品を金型を開いて突き出すことによって成形品を取り出すのが一般的なプロセスです。 成形品をキャビティから離型させる、あるいはコアから突き出して取り出す際には、キャビティ、コアは一般に鋼鉄製であり、成形品は熱可塑性樹脂で室温よりは高い表面温度の状態にあります。キャビティ、コアの表面は、工作
- 材料名 熱処理 組成 引張強さ(MPa) 純鉄 N 99.96Fe 196 SS400
- 問題 以下の設例におけるマニホールドに作用する熱応力σを求めよ。 ただし、以下の前提条件に基づくものとする。 マニホールドの全長 L = 150mm 12月の日本の成形工場の室温 = 18℃ 使用樹脂 = ABS樹脂 マニホールド鋼材 = S55C 解答例 まず、温度上昇による寸法変化量⊿lを以下の計算で求めます。 ⊿l = α・⊿t ・L α(アルファ):マニホール
- ホットランナー金型では、射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂を、ホットランナーへ分岐させるためのマニホールドが通常使用されます。マニホールドとは、ランナーの分岐をさせるための板で、加熱ヒーターが組み込まれていて、マニホールド内の樹脂は、溶融状態を保たれて流動可能な状態に保持されています。 マニホールドには、樹脂の溶融状態を保持するための大量の熱が蓄積されることになり、その結果としてマニ
- 今回は、前回解説したサイドゲートの寸法決定の計算練習をします。 問題 ポリアセタール樹脂(POM)を用いた射出成形品であって、成形品の平均肉厚が1.5mm、成形品の面積が4900mm2 の1点ゲートをサイドゲートで設計したい。 この場合、ゲートの深さhと幅Wの設計寸法の目安を求めよ。 解答例 サイドゲート寸法の決定では次の2ステップで検討します。 【第1ステップ】ゲート深さの決定
- 射出成形金型で多用されるサイドゲートの寸法の決定の方法を紹介します。サイドゲートは、最もシンプルなゲートデザインで、成形品とゲートは接合していますので、二次加工でゲートは切断されます。サイドゲートは溶融樹脂を安定してキャビティ内に流入させることができ、また保圧も十分にかけられるので成形品のひけを防止することが可能です。 サイドゲート寸法の決定では次の2ステップで検討します。 【第1ステッ
- 射出成形機の仕様は、機械メーカーによって異なっているのが普通ですが、実際には機械のサイズや大きさ、能力をメーカーごとに比較しておくことが、実務的には重要になります。 射出成形機の仕様を比較するためには、以下の仕様を確認しておくと良いでしょう。 ・機械名 ・スクリュー直径 ・射出容量 ・可塑化能力 ・射出圧力 ・射出率 ・型締力 ・型締方式 ・型締ストローク ・タイバー間隔 ・デイライト
- プラスチック射出成形金型の設計技術を体系的に習得するためには、工学の知識をできるだけ満遍なく蓄積をすることが大切です。金型設計に要求される知識やノウハウは、知らないうちにだんだん進歩しており、基礎をきちんと理解していないと周囲の状況が変化したときに着いていけなくなってしまいます。一般的にプラスチック射出成形金型の設計に必要な工学知識は次のようなものがあります。 機械設計製図 →金型部品の設
- ホットランナーは、成形材料のスクラップを発生させない射出成形技術として多用されるようになってきているが、コールドランナー金型とは異なり、金型に加わる熱の出入りについては極めて精密に温度制御が必要になる。金型の部材の熱の出入りを支配するのは、熱の伝わり方である。熱の伝わり方には以下の3つの形態がある。 1.熱伝導(heat conduction) 例)金属どうしで熱が伝導する現象 2.熱対
- プラスチック射出成形金型の取数の意志決定は、成形品の製造コストや金型投資コストを左右する大変重要な判断です。 一般に、取数が多くなれば成形加工コストは低減します。一方、取数が増大しますと金型の設計製作の難易度が上がります。金型の設計製作の難易度とは略以下の項目のことです。
- 今回は、プラスチック射出成形金型設計におけるチェックリスト、成形品編です。 金型によって成形加工される成形品の設計は、射出成形加工に適した内容に研ぎ澄まされたデザインレビューが重要になります。 以下に成形品に関する設計チェック項目を挙げてみます。
- 今回は、プラスチック射出成形金型設計におけるチェックリスト、ホットランナー編です。 射出成形金型のキャビティ内に溶融した樹脂を充填するためには、射出成形機の射出ノズルから樹脂を導入させなければなりません。そのためにランナーがある訳ですが、ランナーをカートリッジヒーター等で常時加温しておくことで、スクラップが全く発生させないで射出成形加工ができる、ホットランナー構造が実用化されています。
- 今回は、プラスチック射出成形金型設計におけるチェックリストのアンダーカット編です。 成形品の側面に穴形状や爪形状などの単純なパーティング面の開きだけでは成形品を金型から取り出すことができない部分の名称をアンダーカットと呼んでいます。アンダーカットを処理するためにはスライドコアなどの特殊な金型構造が必要になります。 以下にアンダーカットに関する設計チェック項目を挙げてみます。
- 今回は、プラスチック射出成形金型設計におけるチェックリスト、突き出し編です。 通常、金型のキャビティから成形品を取り出すためには、突き出し構造が必要になります。 以下に、成形品の突き出しに関する設計チェック項目を挙げてみます。
- 今回は、プラスチック射出成形金型設計におけるチェックリスト、ランナー・ゲート編です。 プラスチック射出成形金型では、成形材料であるプラスチックを溶かして金型内に射出注入するための流路であるランナー、ゲートが必要です。 以下に、以下にランナー、ゲートに関する設計チェック項目を挙げてみます。
- 今回は、プラスチック射出成形金型設計におけるチェックリスト、金型温度管理編です。 プラスチック射出成形金型は、成形加工を行う際に、樹脂固有の金型温度に保持をしておかなければなりません。そのためには、使用する樹脂の金型温度範囲を正確に把握して、適温領域に保持するための機能を金型に盛り込む設計をする必要があります。 以下に、金型の温度管理に必要な設計チェック項目を挙げてみます。
- プラスチック射出成形金型の設計は、たくさんの部品が組み合わされた金型を設計することから、様々な観点から設計内容を審査する必要があります。2または3つ以上の部品どうしの組み合わせ−はめあい関係、熱膨張による環境変化時の状態、重力による部品の位置変動、大変高い充填圧力による部品の弾性変形、樹脂から発生するガス成分による影響、熱交換効率の検討、組立性−分解性の工夫、製作工数の低減、寿命の適正化など切
- 金型図面のチェックリストは、2層構造で作成するのが効果的です。 まず、設計者自身と第三者が、それぞれチェックするチェックリストを作成します。これは、重要項目で重大な思い違いがないことを、第三者のニュートラルな目線を用いて確認するために使用します。 次いで、設計者自身の詳細な思考経路を利用した「セルフチェックリスト」を作成します。 これは、詳細な設計事項について発生したヒューマンエラーを
- 樹脂成形金型は、量産成形加工を重ねていく途上で、樹脂から発生するガス成分ややに、大気中の水分等が、金型部品の表面や入れ子分割のすき間に堆積して、成形不良を引き起こす原因となります。 したがって、金型は定期的に分解清掃クリーニングを行う必要があります。 金型の分解清掃クリーニングは、一般に下記の手順で行います。 金型の分解 ↓ 金型部品の洗浄、錆び落とし等 ↓ 金型の組み立て ↓ 金型の
- プラスチック歯車は、回転軸の伝達や制御に用いられる精密機構部品です。歯車の性能が悪いと回転が滑らかにならなかったり、騒音が発生したり、振動が起きたりします。 プラスチック成形品ですので、当然収縮や変形が生じる可能性がありますが、様々な不具合要因を最小化するために、金型の構造も設計時点で検討をする必要があります。 以下に、設計上のポイントを紹介します。 ポイント1:キャビティ−コアの位置
- 射出成形加工では、溶けたプラスチック材料が、ランナー(流路)の中を流動してゲートを通過してキャビティまで到達します。この一連の流動の過程において、圧力は徐々に損失されていきます。 溶けたプラスチックは粘性流体という流体に属し、ある粘度を持った流体です。しかも粘度はプラスチックの温度によって変動し、樹脂温度がある一定の範囲よりも低下してしまうと流動できずに固化が始まってしまうという独特の特徴を
- プラスチック射出成形金型の設計では、さまざまな切り口から設計項目を検討する必要がありますが、大局的には以下のような観点から検討をすることが推奨されます。 (1)合目的性 金型に要求されている品質、コスト、生産能力、寿命などの目的を明確に実現できること。 (2)信頼性 金型の品質保証機能、品質安定性、修理時の互換性など成形品の信頼性を確保できること。安心して長時間の連続成形加工ができ
- プラスチック射出成形金型のキャビティ、コアに使用される金属材料は、圧倒的に炭素鋼が多いのですが、一部の金型では軽量化や熱電導を考慮するために、アルミニウム合金を採用することがあります。 アルミニウムは元素番号13の軽金属ですが、亜鉛等の金属と合金にすることで、硬さや強度を改善することができます。金型に使用されるのは、このような合金タイプのアルミニウムです。 アルミニウム合金のなかで有名な
- レンズや導光板、化粧品容器などの表面の鏡面性が要求される成形品用のキャビティの製作には、適切な鋼材の選定が重要になります。 金型部品の切削加工や研削加工を終えた後に加工表面は、精密ラップ仕上げ等の磨き加工が必要になります。 精密仕上げ加工をする前提としては、鋼材の素材自身の結晶粒の状態や不純物の含有状況等が、鏡面仕上げに適していることが必要になります。 代表的な鏡面仕上げ鋼種であるSU
- プラスチック成形金型では樹脂から発生するガスや腐食成分、大気中の水分が結露することによる金型部品表面の錆びや腐食に対抗するために、耐食性の良好な鋼材を採用する必要がある場合もあります。 耐食性の良好な鋼種の代表としてはステンレス鋼があります。ステンレス鋼は、クロムが成分として13%程度以上含まれている鋼材で、表面に錆びにくい皮膜を形成することが広く知られています。 プラスチック金型用途
- 金型部品を切削加工するためには、ドリル、エンドミル、バイトなどのツールを使用します。ツールは様々な硬質素材を使用して、切削面が滑らかに仕上げられるような工夫がなされています。 主要なツール用の素材には、以下のような種類と特徴があります。 (1)高速度鋼 切削工具としては最も昔から使用されている特殊鋼です。英訳するとハイスピードスチールとなりますので、略称として「ハイス」と呼ばれること
- レンズ、導光板、導光体、透明ケース等の成形品ではキャビティ表面の面粗さによって、光透過率、光複屈折率などの光学特性は大きく左右されます。キャビティ表面の面粗さを改良するためには、刃物による切削加工条件、砥石による研削加工条件等の加工プロセスの制御によってもある程度は改善が図られますが、表面粗さが1ミクロンメートル級以下の高精度が求められる場合には、キャビティの鋼材自身の選択から考慮をしないと所
- プラスチック成形金型やプレス金型に使用される特殊鋼の規格は、世界で統一された規格はほとんど存在しておらず、実用的には各国の工業標準規格が採用されています。 ところが、実際の金型の製作や修理には、日本やアジア諸国、欧米などの地域を越えた形で金型が使用されている関係から、相互に同等の水準の鋼材であることを認識する必要性が現場では求められます。 そこで、主要な特殊鋼の各国規格の相互対応をまとめて
- 問題 【図1】に示すSKH51(高速度鋼)ピンポイントゲートブシュの側壁の厚さは、いくらに設定すれば良いか?
- 問題 【図1】に示すSKD11(冷間ダイス鋼)製スプルーブシュの側壁の厚さは、いくらに設定すれば良いか?
- プラスチック成形金型で、1ショットで成形加工できるキャビティの数を、取り個数(number of cavity)と言います。 取り個数は、最小は1個取りから最大では192個取りぐらいまで実績があります。 取り個数が多ければ多いほど、1ショットあたりの成形品の数は多くなりますから、部品1個あたりの生産コストを低減させることができます。 しかし、取り個数が多くなると、キャビティごとの成形品
- 成形品にアンダーカット部分がある場合には、スライドコアや斜め突き出し、強制突き出し等の機構を利用して、金型から成形品を取り外すことが行われています。 しかし、複雑なアンダーカット形状の場合には、メカ構造で対処することが非常に困難である場合もあります。 このような場合には、「置き駒構造」と呼ばれている古典的な手法で処理することができる場合があります。 「置き駒構造」は、アンダーカット部分
- トンネルゲート(サブマリンゲート)は、パーティング面の開閉時に成形品とゲートを自動切断する構造のゲート方式として多用されています。 トンネルゲートの基本設計では、形状や寸法などのノウハウが必要になりますが、今回は、成形品とゲートとランナーの関係について基本的なバラエティを紹介します。 【図】には、一般に採用されているトンネルゲートの基本パターンを示しています。 パーティング面を挟んで、固
- 射出成形加工では、溶けたプラスチック(流体)がスプルーやランナーを通過して、キャビティの中に充填されます。 この現象を模式的に考えまてみますと、粘り気のある流体が、管の中を流れていくということに表現されます。 粘り気のある流体が、ある断面積の管の中を流れていく場合には、「流量の式」という基本的な状態を表現する計算式があります。 【流量の式】 Q=av Q:流量(m3/sec)
- 射出成形金型では、溶けている液体のプラスチックを金型内部へ注入させて、冷やして固めて、取り出します。 溶けているプラスチックを注入するためには、圧力を加えなければなりません。 どのぐらいの圧力が必要になるのかは、流体力学の計算によって、あらかた予測することが可能です。 実際には、溶けたプラスチックは、粘性(粘りけ)があって、しかも時間と伴に粘性が変化していきますので(冷たくなると粘りけが
- 今回は、射出成形金型が、成形機に取り付けられた後で、可動側金型が開閉する際に必要な力について考えてみます。(【図1】参照) 物体を移動させるためには、力が必要です。力は、有名なニュートンの運動の法則によって計算をすることができます。 【ニュートンの運動の法則】
- 射出成形金型が、成形機に取り付けられた後で、可動側金型が開閉する際の運動エネルギーについて考えてみます。(【図1】参照) 物体が、ある速度で移動するときには、運動エネルギーが必要になります。運動エネルギーの量が大きくなると、金型を停止させるためには、同等以上のエネルギーに耐えられるブレーキをかけなければなりません。また、運動エネルギーが十分に低下させられた状態で型締めしないと、金型が痛
- 金型設計は、成形品を所望の仕様で、要求されたコスト内に収まるように金型のアイデアを具現化していく思考作業ですが、検討すべき内容は、以下のような要素に分類されると思います。
- プラスチック成形金型用非鉄金属の特性について解説します。 プラスチック成形金型には、一般に炭素鋼や特殊鋼が使用されていますが、熱伝導効率や軽量化を目的として非鉄金属が使用されることもあります。 主要な金型用非鉄金属の特徴は以下の通りです。
- ゲート形状が長方形の場合(サイドゲートやアンダーゲートゲート)には、次式が使用されています。
- 射出成形加工におけるゲートシール時間を予測するためには、いくつかの経験式が使用されています。 ゲート形状が円柱形の場合(ピンポイントゲートやサブマリンゲート)には次式が使用されています。
- プラスチック射出成形品の冷却時間を計算するためには、プラスチックの熱拡散率を知る必要があります。【表1】に、主要なプラスチックの熱拡散率を示します。 α:キャビティ表面温度における樹脂の熱拡散率(mm2/sec) α=λ/(c・ρ) λ:樹脂の熱伝導率(kcal/m・h・℃) c:樹脂の比熱(kcal/kg・℃) ρ:樹脂の密度(kg/m3)
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (7)ロケートリング用穴 7.1 直径 【表】ロケートリング用穴の直径D
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (6)ノズル 6.1 球状部の形状 ノズルの先端は、球状とし、【図】に示す曲率半径はRは、10mm、15mm、20mm又は30mmとする。 その許容差は、いずれも-0.05/-0.25mmとする。 6.2 球状部の範囲 【図】に示す球状部の範囲Hは、5mm以上とする。 また、ノズルは、球状部に外接
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (5)押出ロッド穴 5.1 押出ロッド穴の配置 押出ロッド穴を可動盤に設ける時は、【図】の配置による。 5.2 押出ロッドの直径 押出ロッドの直径は、30mm又は50mmとし、それぞれの使用場所は、【図】による。
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (4)金型取付盤の取付穴及び取付ボルト 4.1 金型取付ボルト 金型取付ボルトは、JIS B 1180のM12、M16、M20又はM24とし、金型取付ボルトと型締力との関係は、【表】による。 4.2 金型取付穴 4.2.1 取付穴の配置 金型取付盤(プラテン)の取付穴中心は、【図】に示す実線の交点と
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (3)タイバーの間隔寸法 タイバーの間隔寸法は、【図】に示すようにタイバーの内側距離(A、B)をいい、【表】による。 解説 この規格は、型締力が196〜7845kN(20〜800tf)のプラスチック射出成形機のタイバーの間隔寸法について規定されています。 タイバーの間隔寸法は、金型をプラテンに取付ける
- プラスチック射出成形金型は、射出成形機に取り付けられて使用されますが、金型を成形機に取り付ける仕様は各成形機によって異なっているのが現状です。 一方、JISでは「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」について推奨標準規格を規定しています。(JIS B 6701-1992) 今後、日本国内で生産される一般的な射出成形機については、この規格が参照されるようになると考えられます。 今回から数回
- プラスチック射出成形金型の設計製作の世界では、他の機械設計製作の分野よりも比較的早く標準化が普及してきたと言えるでしょう。 (株)ミスミもその一翼を担ってきたわけですが、あらためて設計製作の標準化がもたらすメリットとデメリットについて、比較考量をしてみたいと思います。
- オイラーの式を使って、エジェクタピンの座屈に関する強度計算の演習を行ってみましょう。 問題 【図】に示すストレートエジェクタピンの座屈強度について検討してください。 ただし、エジェクタピンの材質はSKH51とし、硬度は58〜60HRCとします。 解答例 図より、
- エジェクタピンには、溶融したプラスチックがキャビティ内に充填される際に、ピンの先端部に圧力が作用します。 エジェクタピン自体は、細長いピン形状をしていますので、このような形状の端部に強い圧縮荷重が作用しますと、ピンの途中から曲がったり、破壊したりする「座屈(ざくつ)、buckling」という現象が発生する可能性があります。 エジェクタピンのような形状の座屈に関しては、強度計算を
- プラスチック成形材料の種類と、成形品に求められる機能によって、キャビティ用鋼材の選定が行われます。 鋼材の選定が適切でないと、仕上げ面が滑らかに磨くことができなかったり、成形加工の最中に腐食が進行してしまったり、摩耗が早く進んでしまったりする場合があります。 表に、主要なプラスチックの種類と推奨鋼種の選定の目安を示します。
- キャビティやコアの設計を進める上で、部品形状の変更を検討した方が良い場合があります。例えば、下記のような場面が考えられます。 コアピンの破損を防止したい場合 成形品の離型をしやすくしたい場合 金型の組み立てをしやすくしたい場合 金型のメンテナンスを工夫したい場合 キャビティサイズをコンパクトにしたい場合 このような場合には、一般に次のような形状変更の手法が検討されます。
- ピンポイントゲート先端形状のデザインについて解説します。 ピンポイントゲート構造を採用するときに、金型設計をなさる方が最も苦心されることの1つに、ゲート先端部のデザインがあります。 ゲートの先端形状は、キャビティ内部に溶融樹脂を注入する際の流入状態を左右します。また、樹脂の充填された後の保圧のかかり具合や、ガラス繊維入り樹脂の場合には、繊維の配向状況なども左右します。 さらに、ゲート
- キャビティ・コアに使用する鋼材の材質は、機械加工性、鏡面磨き性、価格、耐摩耗性などを総合的に判断して決定されます。 今回は、耐摩耗性を中心として金型寿命を考えた場合の鋼材の選定基準の目安を、以下に示します。
- ピンポイントゲート構造で問題となる点としては、下記のような内容が挙げられます。 1) ゲート先端部が成形品の表面に突起として残存してしまう、あるいは成形品の一部をむしり取ってしまう。 2) 充填圧力や保圧が高い割には、充填がスムーズに運ばない。 このような問題は、ピンポイントゲートを採用する度に金型設計者が悩まなくてはならない課題となっています。 以下に、これらを解決するた
- ピンポイントゲート構造でのランナーロック形状は、様々なパターンが採用されておりますが、一般的に多用されているパターンは、【図1】に示すタイプでしょう。 【図1】のタイプは、頭部にアンダーカット形状を有するランナーロックピンを、ランナー根本に配置し、固定側型板とランナープレートの間が開く際にランナーとゲートを強制的に離型させる方式です。 ランナーロックピンは、ランナープレートにすきまばめで
- 分割された入れ子を組み立てる際には、管理された入れ子の寸法公差の下でないと、組立の際に穴に入らなかったり、大きな隙間が生じてしまったりする可能性があります。 このような部品同士の寸法公差の管理の考え方として「はめあい」があります。 「はめあい」は、軸と軸受けの関係に代表されるように、軸形状と穴形状のクリアランスの許容寸法公差の管理の考え方であり、下記の3つのはめあい方法があります。 (
- キャビティ、コアの構造として入れ子分割構造が多用されています。分割は、下記のような事項を目的としています。 1. 機械加工が困難な部分を別部品として分割し、機械加工しやすくする。 機械加工コストが低減され、加工品質が向上できる。 2. 分割面からエアーやガスを排出させるエアーベント機能を持たせる。 3. 破損しやすい部品を交換しやすいようにあらかじめ分割しておく。 入れ子分割のパターン
- ランナーは、スプルーから成形品まで、溶融樹脂を流すための流路です。ランナーの断面形状は、成形品の大きさや樹脂の種類、想定される成形条件などによって選択がなされます。 今回は、ランナーの断面形状を選択するための基本的な基準を解説します。 【図】には、代表的なランナーの断面形状を紹介しています。 ランナーは、以下の3タイプから選択されます。
- 前回解説した可動側型板の受け板厚さの決定について、ケーススタディを行ってみましょう。 問題 右図に示す構造の可動側型板において、受け板の厚さhはどのぐらいとするのが適当でしょうか。 ただし、型板その他の部材の材質は、S50C、使用する樹脂は、HIPSナチュラル材である。 解答例 受け板の厚さhは、次式で計算されます。
- 前回は、可動側型板(受け板)のたわみ量の計算方法を紹介しましたが、今回は、逆に型板(受け板)の厚さを計算する方法を解説します。 金型設計をする際には、むしろこちらの計算方法の方が有益かもしれません。 基本的には、前回に使用した計算式を受け、板厚さhについて整理します。 したがいまして、次式で計算が可能です。
- 問題 右図に示す構造の可動側型板は、最大どのぐらい、たわみが発生すると予測されますか。 ただし、型板その他の部材の材質は、S50Cとする。 解答例 最大たわみδmaxは、次式で計算されます。
- 射出成形品のパーティング面の周囲にバリが発生したり、成形品のスプルー付近の高さ寸法がプラスしてしまった経験はありませんか。 計算の前提となる可動側型板の形状を【図1】に示します。 最大のたわみδmaxは、型板の中心線上に発生します。 計算式は、下記の通りです。
- 「円筒型キャビティ」の強度計算の演習問題です。前回解説しました「円筒型キャビティ」の側壁厚さの強度計算について、演習問題を解いてみましょう。
- 「円筒型キャビティ」についての側壁厚さの計算方法を解説します。 キャビティ側壁の強度計算の最終シリーズとして、円筒型のキャビティについての 強度計算を説明します。 今回取り上げる例題は、「円筒型キャビティ」についての側壁厚さの計算例です。 例題のキャビティ形状を【図1】に示します。 【図1】におけるキャビティの外形半径R(キャビティ側壁の厚さ)は、下式で求めることができます。
- 前回解説しました「底面が一体構造の長方形キャビティ」の側壁厚さの強度計算について、演習問題を解いてみましょう。
- 前回までは、「底面が分割されている長方形キャビティ」の側壁厚さの強度計算について説明をしてきましたが、今回からは異なる構造のキャビティについての強度計算を説明します。 今回取り上げる例題は、「底面が一体構造の長方形キャビティ」についての側壁厚さの計算例です。 例題のキャビティ形状を【図1】に示します。 【図1】における側壁の厚さhは、下式で求めることができます。
- 前回解説しました「底面が分割されている長方形キャビティ」の側壁厚さの強度計算について、演習問題を解いてみましょう。 問題 【図1】に示すSCM440系プリハードン鋼製キャビティの側壁を厚さは、いくらに設定すればよいか? ただし、キャビティ側壁の許容最大たわみは0.01mm、成形材料はABS樹脂を使用するものとする。 解答例 キャビティ側壁の厚さhは、次式で計算をします。
- 前回はキャビティ(固定側入れ子)の外形寸法の決め方について説明をしましたが、今回からはキャビティ側壁の厚さの強度計算の実際について解説をします。 今回取り上げる例題は「底面が分割されている長方形キャビティ」についての側壁厚さの計算例です。 例題のキャビティ形状を【図1】に示します。 【図1】における側壁の厚さhは、下式で求めることができます。
- キャビティ(固定側入れ子)の外形寸法はどのようにして決めていますか? 多くの場合は、過去の類似金型の寸法を参考にしたり、経験と勘で決めているのが実状のようです。 正しい寸法の決定手順を知っておけば、金型が樹脂圧力で破壊する事故の危険性から解放され、また必要以上に頑丈でしかも大きな金型を製作する無駄を省くことができます。 以下に正しい寸法の決定手順を説明します。 手順1:最小壁厚さの計
- 射出成形金型を成形機に取り付け、溶融樹脂を射出ノズルから金型内部へ注入しますと、キャビティ内部には高い充填圧力が作用します。この圧力によって金型のパーティング面は開こうとしますので、これを瞬間的に開かないように締め付けておく必要があります。 もし、パーティング面がほんの少しだけでも開いてしまったならば、バリが発生してしまうことは容易に想像ができると思います。 この金型を締め付けておく力の
- 前回の解説では、基本的なキャビティ寸法の決定方法を説明しましたが、今回は、応用編を解説したいと思います。 応用例1:成形品の寸法公差が片側公差の場合(±公差でない場合) 成形品の寸法公差が22の場合を取り上げてみます。
- 今回は、成形収縮率を利用して、キャビティの寸法を決定する方法を解説します。 まず、成形収縮率αを決定します。 例)α=0.005 次に、決定しようとする成形品の寸法を選びます。(寸法公差が±公差の場合) 例)22±0.05 続いて、求めようとするキャビティの寸法を【式2】を用いて計算します。 L0=(1+α)×L…【式2】 ただし、
- プラスチック成形金型に使用される鋼材は、鉄-炭素系の合金(いわゆる鋼(はがね))が基本的な材料になります。 代表的な鋼の種類については、基礎知識としてその化学成分を知っておくと、熱処理や機械特性などを考慮する際に有益です。 こちらにその一覧データを紹介します。