ホットランナー金型では、射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂を、ホットランナーへ分岐させるためのマニホールドが通常使用されます。マニホールドとは、ランナーの分岐をさせるための板で、加熱ヒーターが組み込まれていて、マニホールド内の樹脂は、溶融状態を保たれて流動可能な状態に保持されています。

 マニホールドには、樹脂の溶融状態を保持するための大量の熱が蓄積されることになり、その結果としてマニホールドの鋼材自身が熱膨張することになります。

 鋼材が熱膨張するということは、外形寸法が膨張しますので、それによって圧縮応力が発生します。このように熱によりもたらされる応力のことを「熱応力」といいます。

 熱応力の大きさを知らないと、金型、特に固定側の型板やモールドベース部品に大きな圧縮応力が作用し、キャビティやコアの変形、ばり、極端な場合にはキャビティの破損を引き起こす可能性があります。

 そこで、今回は、マニホールドに作用する熱応力の計算方法を学びます。

マニホールドに作用する熱応力σ(シグマ)は、次式で計算することができます。

σ
=ε・E
 
=⊿l・E/L

ε(イプシロン) : ひずみ(%)
E : マニホールド鋼材の縦弾性係数(ヤング率)(MPa,またはkgf/mm2)
炭素鋼の場合、E=20,000~21,000(kgf/mm2 )

⊿l(デルタ) : 熱膨張長さ(mm)
L : マニホールド全長(mm)

ここで、⊿lは、以下の計算で求めることができます。

⊿l
= α・⊿t・L

α(アルファ) : マニホールド鋼材の線膨張係数(mm/℃)
炭素鋼の場合、α=11.5~12.8×10-6 (mm/℃)程度になります。
⊿t : 室温からマニホールド設定温度までの温度変化(℃)

 これらの計算式で熱応力を求めることができます。