全体構成の決定
- (1)かたより誤差の要因の詳細解説 ここでは実際の計測機器を事例として「かたより誤差」の要因と対策の理解度向上を図る。
- (1)かたより誤差とその基本対策 ・位置決め精度は、「かたより誤差」と「バラツキ誤差」の2つの誤差で構成されている。 位置決め精度=「かたより誤差」+「バラツキ誤差」 ・「かたより誤差」は位置計測と制御で位置決め目標に近づけることができる。一般的には位置決め初期の
- ・自動化機器の高精度化は、位置決め精度の高精度化と表現できる。しかし、位置決め精度の高精度化を劣化させる要因は多岐におよぶため非常に難しい生産技術と受け止めるべきであろう。 ・複数回(n回)の位置決め作業を行った時の位置決め精度は、n個の位置決めバラツキを持つこととなる。この場合の典型的な位置決めバラツキをグラフで表すと図1のようになる。 ・図1より、位置決め精度は、位置決め目標値に対す
- ここでは高能率化の3つ目の課題(3)ムダの削減の事例を紹介する。一般的に自動組立や機械加工の場合、X-Y-Zの3軸の駆動機構の位置制御により作業処理を行う。この3軸の駆動機構の制御の中でのムダ時間の短縮処理方法を解説した。 (1)多軸駆動テーブルの稼働制御のムダ時間 ・X軸とY軸の2軸駆動テーブルの場合、2軸を相互に駆動制御することで平面的な2次元の運動制御を行い自動化作業が実施される。
- ここではレーザ加工を事例に高能率化の課題:「2.規定時間内の機械稼働率の向上」のための対策事例を解説する。
- ・ここでは長時間連続加工時の稼働安定性を高めるために1本のレーザ光を分光したレーザ光のエネルギー分布形状の最適化について解説する。 ・1本のレーザ光を加工可能な4本のレーザ光に分光するためにはレーザ発振器のパワーアップが必要となるが、オーバーSPECを可能な限り避けて投資抑制をすることが担当技術者の重要なテーマとなる。 ・また、レーザ光のエネルギーが強すぎる場合、透過光や反射光により予期せぬ
- 能率(efficiency)とは、規定の時間に所与の仕事を果たす能力の程度を示す指標である。高能率化を実現するには下記の3項目が課題となる。 1.時間当りの生産能力の向上(タクトタイム短縮) 2.規定時間内の機械稼働率の向上 3.ムダの排除 当然、品質保証が前提となるため採用する生産方式は、精度バラツキが小さく無検査で品質が保証できる性能(いわゆる工程能力Cp)を持たなければならない。
- (1)高速化対応設計の課題 ・自動化機器の高速駆動化に伴う課題として、次の項目を念頭に置く必要がある。 a)高速駆動対応アクチュエータの選定と使いこなし b)高速駆動に対応できる機構部特性 ・2つの課題a)、b)は相互に関係して最適な高速化対応設計を行うことが非常に重要となる。 ・2つの課題が個別に対処すると、b) の機構設計者は高精度で高剛性機構を目指して、重たい構造物となりがちで、他
- 市場環境の厳しさから、自動機製作の条件(Q、C、D)も非常にハードルの高い内容が要求されている。自動化機器の高速化ニーズは、時間当りの生産性向上以外に、商品の品質(外観品質など)向上のために従来工法よりも高密度な加工処理が必要となり、この高密度対応を短時間で行うための手段としても求められてくる。以下では、自動化機器の高速化対応設計について解説した。 (1)高速化対応設計の課題 自動化機器の高
- 1)グラナイト石材の特徴 ・大型XYテーブルの素材に採用したグラナイト石材は、1.経時変化が極めて小さい、2.熱膨張率が小さい、3.振動減衰性がある、など長所がある反面、材料強度が金属に比べて小さいために曲げ剛性が弱い短所がある。 ・したがって、開発技術として、グラナイト石材を用いた高剛性化構造の考案が必要となった。以下では、大型テーブルの高剛性化構造について解説した。 2)大型化対応設計
- 以下では、改良技術を用いた自動化機器の大型化対応設計について解説した。 (1)大型XYテーブルの要求性能 ・高精度XYテーブルは、通常の自動化機器用として複数の市販品があるため、生産技術的には確立された技術といえる。この事例の場合、大型(長ストローク)で高速駆動と高精度加工を実現するため市販品以外に次のような要求性能を必要とし、この理由で開発を進めている。 *大型で軽量可動体が可能な構
- 非常に高い要求性能(Q、C、D)を有す自動化機器の実現をコンカレントエンジニアリング的に製品開発と自動機開発を同時進行的に進めることが求められる場合が多くなりつつある。以下では革新技術の採用について解説した。 (1)改良技術と革新技術 ・改良技術とは、既に類似の自動化機器に採用され実用化の実績を有す自動化要素技術を応用し、されに改良した性能を実現させる技術。 ・革新技術とは、原理的技術は
- 市場環境の厳しさから、自動機で製作する商品も多品種対応かつ高品質・高性能・低コスト対応が求められており、これらのニーズ対応として自動化機器への要求性能(Q、C、D)も非常にハードルの高い内容が求められている。しかし、高度な自動化機器の開発には技術的に相反する性能の実現が求められる場合が多くある。以下では失敗しない自動化機器開発の進め方について解説した。 (1)自動化機器の構想段階でなすべきこと
- 実装技術を例に、機械設計者と生産技術の関係を解説します。 (1)実装技術とは 電子情報機器やシステムの高機能・高性能化(複合化や融合化)と小型携帯化(高密度化)を実現するキーテクノロジーは、LSIを含む機能部品の軽薄短小化技術といえますが、これらを信頼度高くコンパクトに配線接続させるインターフェーステクノロジーを「実装技術(高密度実装技術)」といいます。(【図1】)
- 機械設計者といっても対象があまりにも広くなります。微小サイズから超大型、工業、農業/水産業、食品、医療など、産業ごとの特徴もあります。しかし、どの場合においても機械設計者に求められる要求は、次のように表現できます。 (1)機械設計者に求められること 機械設計者に求められる要求事項は、競合の機械設計者の機械よりも高い満足度をお客から得ることです。
- ミスミのFAメカニカル標準部品カタログには、外観が似ているものがあります。しかし、それぞれ材料・表面処理・外形寸法精度・軸端形状仕様など設計仕様が異なっています(下表)。カタログから適切な選定をするためには、設計者は選定部品の必要機能を決める能力が必要です。 =代表例:[1] シャフト、[2] 回転軸、[3] ロッド、[4] 支柱・スタンドの場合= ■解説 4部品の外観は似ていますが機能
- 治具・簡易機械化について、特に「からくり治具」に関連する話題を解説してゆきます。 コンピュータを用いたNC制御と各種の駆動モータと案内機構、機械要素部品を使えばいかなる運動も実現できるといえます。したがって、前者はまさしく「超からくり」といえますが、欠点があります。 その反面で、通称「からくり治具」と呼ばれる簡易な機構の生産手段の補助としての道具が話題となっています。からくり治具とは1個な
- 重力は搬送機構の摩擦力やワークの粘性抵抗などが無視できる場合は、等速運動用駆動源として利用できます。この駆動源は、自然法則を利用するため、まさしく「理にかなった工法」といえます。ここでは、小型の丸型蛍光灯用ガラス細管の曲げ加工への応用を事例として紹介します。 (1)事例解説 小型の丸型蛍光灯は装飾用が主な市場のため、小ロットで短納期の製品です。したがって、大掛かりな加工装置を準備するには
- 重力利用の搬送法は、駆動用装置が不要のため安価にできます。その搬送法の原理と特徴をまとめました。
- 人には機械にない以下の特性があります。LCA(ローコストオートメーション)の設計に活かすと効率化が得られます。 (1)人の特性 (1)学習 機械システムでもコンピュータシステムのように情報(データー)とプログラムを与えれば、一定のルールに従い動作やデーターの貯蔵・記録、指示などが可能ですが、人間は過去の経験を基に自分の行動を変えることができます。機械システムをはるかに上回る能力です。
- 人作業で搬送がなされる場合は最適な作業設計を行うことが最も重要です。LCA(ローコストオートメーション)はその作業の補助を狙いとします。この最適な作業設計のルールとして「動作経済の原則;ギルブレス」があります。【表1】はその抜粋です。
- 色々な搬送物の状態(重量、形態:液体や気体、微細部品など)に対応するため、機械化の度合いもさまざまです。搬送の機械化度合いを次のように分類して解説します。
- 物の位置を変える搬送は次の4種類:供給、移送、移載、貯蔵があります。それぞれの解説とLCA(ローコストオートメーション)との関連をまとめます。(貯蔵は省略) (1)搬送の機能分類 部材を組立て製品にする流れを単純化すると次のようになります。
- 「非円形歯車の応用例(搬送のLCA:ローコストオートメーション)」の非円形歯車とリンク機構のLCA(ローコストオートメーション)を例題として、ローコスト化と短納期化を実現させる標準部品仕様選定について解説します。 LCAが使われる環境により、標準部品の選定内容が大きく異なってきます。下表は例です。 ここでは、一般製造業向けとします。
- 非円形歯車は、カムの駆動制御特性と円形歯車の持つ重負荷の条件でも正確に駆動伝達できる特性を持っていますが、歯形形状の設計など一般的でない面があります。ここでは、簡便な設計の進め方を紹介します。 (1)1対の非円形歯車の基本 【図1】に非円形歯車の組合せ例をしめしましたが、次の特徴があります。
- 部材が製品になるまでの間、それぞれの生産工程で半製品の搬送形態は変化します。したがって、個別の生産工程のみで搬送機構を設計すると、その工程では効率的でも前後の工程では作業がしにくいなどの問題が生じます。このような設計アプローチは「部分最適」と呼ばれ、ハード/ソフトウェア設計者が非難される進め方です。 搬送機構の設計は、マクロな全体設計案に基づく「全体最適」を実現しなければなりません。 (1
- ここでは建築家、エンジニア、思想家のR.バックミンスター・フラー(1895~1983)が提案した「最も軽い構造体」について解説します。 (1)最も軽い構造体 R.B.フラーの提案した「最も軽い構造体」は正三角形の梁で構成されます。正三角形の3つの各辺は、互いに引っ張りの力(張力)で支えることで安定した形が保てます。これは、蝶つがいを持つ等しい長さの棒を、つっかい棒で支えている構造で壊れま
- 搬送機構を設計することはラインコンセプトを実現することを意味します。ここではラインコンセプトを解説します。 (1)ラインコンセプトとは ラインコンセプトとは実現するラインの基本思想です。コンセプトは将来を見据えて「どうあるべきか」を簡潔に示すもので、最もオリジナリティを発揮すべき次元の課題です。 ■例1. 高度情報社会のツールコンセプト 「いつでも、どこでも、だれとでも」アラン・ケ
- 生産で取り上げる「流れ」には、「ものの流れ」と「情報の流れ」があります。これ以降、「ものの流れ:搬送」とそのLCA(ローコストオートメーション)を解説します。 (1)搬送とは 素材や部品、半製品などの品物に場所的な変化が与えられて移動している状態が「搬送」です。マテリアル・ハンドリング(略してマテハン)の言い方で専用機ユニットが呼ばれます。 一人組み立てなどのセル生産ユニットでは、人手
- 機素数(部品点数)を減らす考え方(機素数の少ない設計)はこちら (1)複数機能を統合化させる設計 下記の設計の考え方・進め方がポイントです。 複数機能を統合化した機素設計・システム設計のポイント (1)1機素に複数機能の設計を盛り込む ■設計のポイント(ヒント) a)
- 低コストで信頼性の高いLCA(ローコストオートメーション)を実現する方法として、機素数(部品点数)を減らすことが挙げられます。機素数を減らす方法は大別すると次の手段に展開できます。 機素数の少ない設計(この記事) 複数機能を統合化させる設計 (1)機素数の少ない設計 下記の設計の考え方・進め方がポイントです。
- 簡易的な治具から組立自動機、加工機など全ての機械には、次の3機能で成立っています。
- 以前に「良い設計について」を解説しました。ここでは、もう少し具体的に如何にして「確実な機構を構想するか」を解説します。 エンジニアの労務費が高い日本では、設計から完成までの時間が最短となる「確実な機構」が、短納期で低コストなLCA(ローコストオートメーション)といえます。 (1)機素の個数と機構 機素(エレメント)の組合せで出来上がる機構を、1.道具、2.備品、3.手動治具、4.自動機
- (1)動力伝達機構 動力の伝達機構は次の3種に大別できます。 (a)直接接触 歯車やカムなど原動節が従動節に直接触れることによって、動力を伝える方式です。 (b)連結 多くは原動節と末端の従動節との間をつなぐ形です。次の種類があります。
- LCA(ローコストオートメーション)メカニズムの運動を表現する方法を解説します。代表的なLCAメカニズムとして、等速回転運動を往復直線運動に変換した例です(【図1】参照)。 (1)機構の速度 原動側の速度は、機構上の固定節を基準としてその他の節の速度を知ることが出来ます。解析法には移送法、写像法などがあります。なお、LCAでは、単動的な速さよりも一連の作業全体の速さが重要です。
- LCA(ローコストオートメーション)メカニズムの正確な運動や位置決め、サイクルタイムの短縮には、起動から停止までの一連の運動をより高速化しなければなりません。併せて滑らかでぎこちなさのない静かなメカニズムの選定が必要です。そのためには、各種の運動の特徴とそれらの運動を実現させるメカニズムを理解しておくことが重要です。ここでは運動の種類と関連する機構を解説します。なお、実際のLCAでは複数個の運
- メカニズム構想案を単純で論理的な運動体として現す手法にスケルトンがあります。機構の機素の特徴を理解して、スケルトン図法を利用しましょう。 【図1】aは、LCA(ローコストオートメーション)メカニズム例の部分機構【図1】bを、スケルトン図法で類似的に表現したものです。
- 高い信頼度と安価なメカニズムを構想するためには、構想案を単純で論理的な運動体として頭に描けることが助けとなります。ここでは、メカニズムを単純な運動機構図として現す手法を解説します。
- これまでにアクチュエータとしゅう動案内の機械要素の代表として、空気圧シリンダ、リニアモーションガイドを解説しましたが、多種多用な機械要素の解説に入る前にメカニズムの構想法を解説します。メカニズム設計の進め方を理解した上で、その部分を構成する機械要素を理解することが効果的と考えます。 (1)手作業と機械運動の違い 組立用機械(治具、半自動機、自動機)の開発設計の発想の基は、手作業による組付