市場環境の厳しさから、自動機製作の条件(Q、C、D)も非常にハードルの高い内容が要求されている。自動化機器の高速化ニーズは、時間当りの生産性向上以外に、商品の品質(外観品質など)向上のために従来工法よりも高密度な加工処理が必要となり、この高密度対応を短時間で行うための手段としても求められてくる。以下では、自動化機器の高速化対応設計について解説した。
(1)高速化対応設計の課題
自動化機器の高速駆動化に伴う課題として、次の項目を念頭に置く必要がある。
a)高速駆動対応アクチュエータの選定と使いこなし
b)高速駆動に対応できる機構部特性
ここではa) 高速駆動対応アクチュエータの選定と使いこなしについて解説する。
a)高速駆動対応アクチュエータの選定と使いこなし
・ここではハイパワーの駆動アクチュエータを採用するだけではなく、駆動時の制御安定性を得るためにサーボ剛性が高くなる構成案を選択しなければならない。
*駆動アクチュエータ(回転モータ+ボールねじ/ベルト等、リニアモータ、等)の選定
*高速駆動制御法の選定(オープン/クローズドループ、加減速制御、等)
*モータの発熱影響対策(発熱抑制、発熱伝導遮蔽、発熱冷却、等)
・この事例では、リニアモータ+クローズドループ制御を採用し精密位置決め制御を実行。リニモータの発熱対策として、熱伝導率の高いアルミ製冷却フィン(図1)をモータ部に装着して空冷方式を採用している。
・さらに、発熱部のモータコイルユニットは可動テーブル底面に締結されるため、この発熱による機構部の熱変形を回避させる狙いでモータコイルユニットと可動テーブルの結合間に伝熱遮蔽板を介し熱変形抑制を図っている(図1)。
・時間当りの加工の実働効率を高めるために高加減速制御を行い、短時間で最高速度に達する駆動制御が必要となるが、スムーズな加減速制御プログラムを採用しないと運動停止時に大きな慣性力(衝撃)が発生し、可動部の耐久性能の劣化につながる。