(1)かたより誤差とその基本対策
・位置決め精度は、「かたより誤差」と「バラツキ誤差」の2つの誤差で構成されている。
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・「かたより誤差」は位置計測と制御で位置決め目標に近づけることができる。一般的には位置決め初期の位置決め精度の結果を測定し、目標位置に対する誤差を位置決め補正する等の作業で補正ができる。
・なお、必要とする位置決め精度を例えば、必要精度:±0.1mmとした場合、位置決め計測センサーの分解能(最小読取目盛)は、測定精度が1桁細かな0.01mm以上の精度を持つセンサーを選定するのが好ましい。
(2)かたより誤差の変動と対策
・「かたより誤差」の位置決め中央値は色々な要因で変動する。この位置決め中央値の変動を最小限に抑えることも重要な課題となる。
・代表的な変動要因は温度変動(温度ドリフト)により生じる誤差で、計測機器の温度ドリフトや自動化機器の機構系の熱変形による位置決め誤差などである。
・したがって、温度ドリフトによる「かたより誤差」の変動を抑えるには、a)計測機器の温度安定化と、b)自動化機器の機構系の熱変形の影響を回避する対応が必要となる。
a)計測機器の温度安定化⇒ウォーミングアップ時間の設定
b)自動化機器の熱変形の影響回避⇒
(1)熱源を位置決め機構部から遠ざける
(2)位置決め部への熱の伝導を遮蔽する等の対策
(3)熱膨張率の小さな材料の採用
(4)周辺室温の安定化
・精密工作機械では、機構構造を対称型とすることで熱変形の偏りを回避することで熱変形の加工精度への影響を少なくする考えも採用されている。図1は、射出成形装置の駆動機構系の対称構造化の例である。