ここではレーザ加工を事例に高能率化の課題:「2.規定時間内の機械稼働率の向上」のための対策事例を解説する。
(1)規定時間内の機械稼働率の向上
- 生産装置の稼働率は、自動組立機にしろ、加工装置にしろ、それぞれの装置毎の特徴的な停止時間が生じる。したがって、規定時間内の機械稼働率を向上させるには、各装置の停止時間の要因を見つけ出し、その対策を取らなければならない。この対策により安定した連続稼働が可能となる。
- 機械稼働率の低下対策として、装置の調整パラメータを頻繁に微調整する場合があるが、この微調整作業自体が不安定性を増長させている場合がある。機械稼働率の低下要因を把握し、影響の大きな要因順に対策を打つことが必要。
- レーザ加工の場合、次のような要因で装置調整のための停止時間が発生した。
- 加工機の温度分布安定化のためのウォーミングアップ
解説と対策事例:
・a)レーザ発振器の温度安定化、b)レーザ光の分光/エネルギー形状成形の光学系の安定化、c)リニアモータ周辺の温度安定化などが対象課題となる。
・a)は冷却システムの性能依存度が高いが、b)、c)はそれぞれ冷却ユニット増設などの対策を採用。 - 長時間稼働後に光学ベンチ部の熱変形による光軸ズレの調整作業
自動化機器の高能率化対応設計-2(自動化ノウハウ編)で解説した。 - 加工物の昇華ガスによる対物レンズの曇りによるレーザエネルギー低下の対策
解説と対策事例:
・使用レーザはYAGレーザで、熱により有機薄膜材料を昇華除去加工するが、昇華ガスが対物レンズ表面に付着して曇りを生じるため、レーザ光量が減衰してゆく。
・対策として対物レンズ前面部のエアー吸引機構を採用(図1参照)。