これまでにアクチュエータとしゅう動案内の機械要素の代表として、空気圧シリンダ、リニアモーションガイドを解説しましたが、多種多用な機械要素の解説に入る前にメカニズムの構想法を解説します。メカニズム設計の進め方を理解した上で、その部分を構成する機械要素を理解することが効果的と考えます。
(1)手作業と機械運動の違い
組立用機械(治具、半自動機、自動機)の開発設計の発想の基は、手作業による組付け作業が一般です。しかし、手作業の動きそのままをメカニズムで実現するのは不可能に近いといえます。人間が持つ知覚センサー・脳による制御・多自由度の関節と、軟らかい指によるハンドリングを機械で真似ることは得策では有りません。
メカニズムには、次の特徴の運動に適しています。
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したがって、手作業をメカニズム開発設計の発想の基としながらも、手作業そのものの動きをメカニズムに置き換えるのではなく、上記1〜4の特徴を利用した機械要素の構成で手作業の置き換えを構想します。
(2)機械(LCA:ローコストオートメーション)の基本構成
機械は素材・部品など(INPUT)を目的の製品(OUTPUT)に変換する手段です。その構成は【図1】が基本形です。(INPUT)に組付け作業や加工、移動操作により(OUTPUT)に変えてゆく主な構成部分がメカニズム(機構)です。
エネルギはアクチュエータ(駆動部)で、情報はコントローラ(制御部)で処理されて、メカニズムを合理的に動かします。
メカニズムは機械のあらゆる部分を構成するものですが、(OUTPUT)の付加価値を生み出すメニズムが特に重要で、狭義に「メカ」や「機構」と呼ばれる部分です。