ものづくりQ&A
- [2023/7/3公開] Question エンドミル加工での被削材ごとの切削速度について教えてください エンドミル加工で回転速度を設定しようとしていますが、回転速度を切削速度と刃径から算出するのは分かるのですが、肝心の切削速度が分かりません。被削材ごとの切削速度を教えてください。 Answer 超硬エンドミルでの切削速度の目安を被削材ごとに記載しましたのでご参照ください 1. 切削速度の目安 被削材に適したコート付き超硬エンドミルでの側面加工を前提にしています。 以下の切削速度は目安ですので、事前テストで±30%の調整をしてください。 【側面切削 切削速度表】タグ:
- [2023/7/3公開] Question エンドミルでの突っ込み加工について教えて エンドミル加工で突っ込み加工をしようと考えていますが、どのようなエンドミルで行えるか知りたい また、突っ込み加工を行うときの切削条件を知りたい Answer 以下に穴あけ加工を行う工具の選定と突っ込み加工の切削条件を記載しましたのでご参照ください 穴あけ加工を行う工具の選定 1. 被削材形状による穴あけ加工の推奨工具 通常の穴あけ加工ではエンドミルよりドリルでの加工を推奨いたしますが、傾斜面や段差面への加工、穴底面をフラットにしたい場合などはエンドミルを使用することがあります。 また、先端が平らなフラットドリルでも加工できますが、加工目的の刃径が無い場合があります。タグ:
- [2023/7/3公開] Question フライス加工での上面クランプの種類とコツを教えて フライス加工で被削材を上から固定するのにクランプをよく使います。古く傷ついたので買い換えを考えていますがどんな種類がありますか?また、特長やコツがありましたら教えてください。 Answer 上面固定クランプの種類 上面固定クランプのコツの紹介 上面固定クランプの種類 1. サポート部違いと 2. 先端形状違いで、代表的なクランプを紹介いたします。
- [2022/04/08公開] Question SUS304に小径タップ加工したがタップが折れてしまった。折れた理由と適切な加工方法を教えてほしい M3以下のタップでSUS304のタップ加工をすると加工中にタップが折れる事がある。 折れてしまう発生理由と折れないようにするための対策を知りたい。 Answer SUS304の小径タップ加工の留意点と対策 SUS304の下穴加工では加工熱により穴径が加工後に収縮する事があり、その後のタップ加工で想定以上の取り代を加工する事で工具への加工負が増え、結果的に工具の折れが発生します。 解決策としては下穴加工時に加工収縮を想定したオーバーサイズのドリルを使用し、タップ自体の負荷を下げる事です。 各サイズの選定サイズは以下の通りです。目安として刃鉄系加工時の穴径の+0.02~0.08mm程度に設定してください。 図1 SUS304加工時の下穴設定タグ:
- [2022/03/10公開] Question ミスミ品の不等リードエンドミルを購入したが再研磨はしてもらえますか? ミスミ品の不等リードのエンドミルを購入したのですが、将来的に新品通りの角度に研磨できますでしょうか? 他社研磨屋で、不等リードは角度が不明で研磨不可と言われたのですが、ミスミでは対応可能か確認したいです。 また、ミスミ以外の不等リード品は再研磨してもらえるのでしょうか? Answer ミスミ品であれば不等リードの再研磨の対応は可能です。 ミスミ品であれば、新品時の精緻な角度データを基準として再現が可能(Φ5未満は対応不可)です。 再現された不等リードの効果は新品時と同等でご使用が可能になります。 ただし、ミスミ品以外の不等リード品の再研磨は対応しておりません 図1 再研磨NC加工
- [2022/03/04公開] Question エンドミル加工の切削条件を求める方法を教えて エンドミル加工を行うために切削条件表を調べましたが、自分が加工しようとした条件が載っていませんでした。 切削条件を算出する方法を教えてください。 Answer 回転速度は切削速度から、送り速度は1刃当りの送り、切込み量は刃径より算出します 回転速度は切削速度と刃径から算出しますが、その切削速度は切削条件表または被削性指数を参考にします。 送り速度は1刃当りの送りと回転速度、刃数から算出します。 切込み量は刃径より算出します。 算出した結果をもとに、加工テストを行い切削条件の調整を行います。 回転速度の算出方法 図1 回転速度と切削速度の計算式タグ:
- Question 超硬ボールエンドミルを再研磨に出す時の最適な摩耗状況を教えてほしい 社内規定で一定加工時間にて再研磨に出しているが、個人的にはまだ使える気がしている。また、R部の摩耗や欠けが大きいと想定より研磨代が高く、研磨不可などが発生している。 再研磨に出す最適な摩耗状況がわかる基準があれば知りたい。 Answer 超硬ボールエンドミルの再研磨に出す最適な摩耗状況 下記の3つのポイントを参考に、再研磨に出すタイミングを検討してみてください。 摩耗幅は0.4~0.8mmであれば切断せずR部のみの研磨で対応可能(図1-1) 摩耗幅が0.2mm未満であれば再研磨は対応可だが、中仕上加工レベルならそのまま使用可能(図1-2) 欠け含め先端摩耗が1mm以上になる場合は切断が発生しコスト増(図1-3) 切断後にR研磨を再現する十分な刃長が取れない場合は再研磨不可(図2) 図1 刃の摩耗の正面図タグ:
- Question フェイスミルアーバー選定の注意点を教えて フェイスミルアーバーの買い替えを検討していますが、選定の注意点があれば教えて下さい。 Answer アーバーのインロー高さに注意してご選定して下さい アーバーのフェイスミル取付け部はFMA、FMB、FMCで、同じインロー径でも高さが異なる場合があります。 インローの高さが合わないと、止めねじが届かない、キーが嵌合しない、フランジ面が密着しない等で正しく組付きません。 お手持ちのフェイスミルのインローの深さを確認して、適したものをご選定下さい。タグ:
- [2022/02/24公開] Question インサートネジ用タップを選ぶポイントを教えて インサートねじ用のタップは専用のものが必要と聞きましたが、普通のタップとどの様な違いですか? またどの様に選べばよいですか? Answer 先ずは使用するインサートネジを確認して、インサートネジ用タップを選びます インサートネジの種類と呼び寸法を確認します。インサートネジ用タップをネジの呼び寸法から選定します。 インサートネジの確認 専用タップが必要なインサートネジはE-サート(ヘリサート)と呼ばれるヘリカルコイルタイプのインサートです。 図1 専用タップが必要なインサートネジ
- Question 調質鋼の加工精度を向上させるポイントは? [被削材例] NAK55、NAK80、HPM7、HPM38、STAVAX ESR、PX5 Answer 調質鋼の特性 調質鋼は熱処理を施した鋼材で、主に金型部品に用いられます。調質鋼の硬度は、HRC35~45程度であり、高硬度鋼の中では比較的に切削特性が高い鋼材です。 そのため、金型材として多く適用されており、金型部品の切削加工ではポピュラーな材料として知られています。
- Question 高硬度鋼を切削加工するときのポイントは? [被削材例] SK105(旧SK3 HRC56~58)、SUJ2(HRC60~63)、SKD11(HRC58~60)、SKH51(HRC60~63)、STAVAX(HRC50~52) Answer 高硬度鋼の特性 焼入れ処理により硬度を増した被削材を切削すると、工具摩耗が急速に進むため、従来は、放電加工か研削加工で加工することが一般的でした。最近、高速ミーリングの普及により高硬度鋼の切削が可能となり、切削のみで加工を終了させることが可能となりました。
- Question アルミ合金を切削加工するときのポイントは? [被削材例] A2017、A5052、A6061、A7075 Answer アルミ合金の特性 アルミ合金は一般的に軟質で被削性は良好ですが、材料溶融点が低いうえ延性の大きい性質のため、仕上げ面や工具に溶着しやすく、バリが発生しやすいという欠点があります。 高Siアルミ合金は、含有している結晶シリコンが工具摩耗の進行を促進させる難削材であり、切削時には各種対策が必要になります。
- Question ステンレス鋼を切削加工するときのポイントは? [被削材例] SUS303、SUS304、SUS316、SUS440C、SUS420J2 Answer ステンレス鋼の特性 ステンレス鋼は熱伝導率が低く、切削時に発生する熱(800℃~1200℃程度)が工具刃先に集中します。そのため工具摩耗が急速に進展し工具寿命は短く、難削材と呼ばれています。また、ステンレス鋼は、加工硬化現象の発生も懸念されるため、切削時のトラブルが多い被削材です。
- Question 耐熱合金を切削加工するときのポイントは? [被削材例] ニッケル基超耐熱合金、コバルト基超耐熱合金、チタン合金 Answer 耐熱合金の特性 熱伝導率が低く、高温強度、加工硬化、工具材料との親和性などの大きい材料です。特にニッケル基合金をはじめとする超耐熱合金やチタン合金などの難削材は、硬い、粘い性質を有しています。熱伝導率が低いと、切削熱が切りくずに伝導しにくく切削ポイントに集中して、切れ刃への熱影響が大きくなります。
- Question 樹脂を加工するときのポイントは? [被削材例] MCナイロン、ポリエチレン、ポリカーボネイト、GFRP、CFRP Answer 樹脂の特性 繊維を含まない硬質ゴムやエンプラは、軟らかくて被削性は良好ですが、材料溶融点が低いうえ延性が大きいため、工具に溶着が発生しやすい欠点があります。 強化繊維を含むFRPなどの複合材料は、アブレシブ物質や硬質物質を含有し、切削性が悪い材料です。強化繊維の特性、大きさ、含有量によって被削性は異なりますが、一般的に、工具切れ刃が強化繊維を切断するたびに、切れ刃が擦り減っていく現象が見られます。
- Question グラファイトの特性 グラファイトは、炭素を主成分とする粉末焼結体です。微小な炭素粒子が超硬材料のバインダーを削除するため、チッピングなどによる工具寿命の低下が懸念されます。 Answer 工具選定のポイント ダイヤモンドコートやDLCコートなどのコーティングが施された超硬合金工具を選んでください。 刃形状としては、すくい角が大きく、切れ刃のシャープな工具を選んでください。グラファイトは脆性材料のため、摩耗やチッピングによって切れ刃の鋭さが鈍るとワークに欠けが生じやすくなります。
- Question 銅電極を切削加工するときのポイントは? [被削材例] タフピッチ銅、無酸素銅、テルル銅、銅タングステン Answer 銅電極の特性 銅および銅合金は、延性が大きく、切れ味の悪い工具で切削すると仕上げ面粗さ精度の低下や加工変形などが懸念されます。さらに、軟質のためバリが発生しやすいことも特徴です。 工具選定のポイント 切削時の溶着、および仕上げ面粗さ精度の低下を防ぐために、すくい角が大きく切れ刃のシャープな工具を選んでください。
- [2022/02/20公開] Question エンドミルに中ベコとフラットという説明の記載がありますが、どういう意味ですか? スクエアエンドミルや自由指定直刃エンドミルには中ベコやフラットというものがありますが、どういう違いでしょうか。 また、どのように使い分けをするのですか? Answer 中ベコ・フラットとは、底刃の形状のことです 底刃の形状の違いを表しており、用途によって使い分けます。 それぞれの特徴や使い分けのポイントは、以下の通りです。 スクエアエンドミルの中ベコとは 中ベコとは、すかし角と呼ばれる底刃を中心に向けて1~3°程度へこませて、逃がしている形状のことです。 切りくずの排出性をよくし、また切削抵抗も少ないので、特に記述がない限り一般的なエンドミルは、中ベコ形状になっています。 図1.底刃が中ベコのスクエアエンドミル
- Question 曲面加工を高精度に仕上げるには? 金型の曲面形状を仕上げる際、手作業による磨き工程にかかる時間を減らすために、切削加工で、できるだけ高精度に仕上げたい。どのような方法が有効でしょうか? Answer 高速ミーリングの有効性 ボールエンドミルによる曲面形状切削で良好な加工面粗さを得るには、1刃あたりの送り量とピックフィードを小さくしなければなりません。ところがそのような切削条件では、実送り速度が低下し、ツールパスが伸びるため、加工時間は長くなってしまいます。そこで、加工時間の延長を抑えながら加工面粗さを向上させるには、回転数を高める必要があります。回転数を高めると刃先の切削特性が向上し、バリの発生も抑えられ、加工面は高品位になります。 このような、微小な切り込みと高速回転を条件とする高速ミーリングは、小さい切削抵抗で安定した加工が可能になるため、工具摩耗の進行が遅いことも特徴です。ツールパスが長い仕上げ加工においても高精度な加工が長時間維持できます。
- Question ねじれ角の違うエンドミルをどのように使い分ければよいか? エンドミルのねじれ角は30°・45°・50°と種類がたくさんありますが、どのように使い分ければよいでしょうか? Answer ねじれ角の効果 エンドミルのねじれ角が大きくなると、ワークと切れ刃の接触長が長くなり、単位長さ当たりの切れ刃にかかる負荷が減少するため、工具寿命に有利になります。反面、切削抵抗は大きくなるため、保持剛性の高いホルダの適用など配慮が必要です。